嫌われ者の王子様がメイド化した話

痛みを与えるのは愛情だと

あいつに言われた

だから俺は

苦しいそうだった…

その姿は昔の俺とは違う

微笑んでも、彼は絶望の顔を見せるだけ

俺はこいつの理想の愛情を与えることはできなかった

あの時、お湯をかけられそうになった

昔あいつにされていたと言うのに

もう慣れたと言うのに

俺はずっと震えた

でも、これこそがこいつの愛情なのだろうと俺は思った

これで死ねるなら…愛してあげられる

そのはずだ

もういっそのこと殺して欲しかった

なのにこの馬鹿は

お湯をかけようとするのをやめた

愛を与えてくれなかった

俺はその行動にムカついて…

あいつの手を掴み、自分にお湯をかけた

俺なりの

愛情表現だ

こいつのことがよく分からない

あの時、俺にお湯かけたの分からなかった

あの時微笑んだのも分かんなかった

あの時、自ら熱湯を浴びたのがよく

分からない

ただ、その綺麗な顔がムカついた

白い肌を見た俺は…すんげえムカついた

俺には一生残る傷を与えといて

ふと…持ってきたスープが目に入った

まだ熱いスープをかければ

こいつは一生残る跡が残る

またあの時みたいに…失敗しないように

手が震えた…

やっぱり、今の俺には

今のお前を

傷つけることはできない

目を開けると

そこには泣いている紫が居た

手にはスープの入ったお皿

きっと俺のご飯を持ってきてくれた

なんでこいつが泣いているのかよく分からなかった

なんで泣いているんだろうと

その姿は……昔の俺に似ていた

だから俺は、彼に…

抱きついた

撫でると、彼はまた涙を流した

彼の表情は幸せそうだった

彼の声も…、

これが、本当の俺なりの

愛情表現なんだ