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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

医師

一生熱を感じることはないでしょう

……

生まれてきて一度も熱を感じる事ができなかった。 でも

佐久早君の手、あったかいね

佐久早

お前は冷たいな

へへっ、ごめんね

10秒くらいで私は佐久早君の手を離した。 意外にも彼は嫌がっていなかった。 昨日はあんなに怖い顔してたのに。

佐久早

……もういいのか?

へ?

佐久早

チッ、可哀想だからまだ触っててもいいって言ってるんだ

そしてまた彼は手を差し出した。 何だろう。 彼の印象がガラリと変わった気がした。

ふふっ

あはは!

佐久早

は?

佐久早君、ツンデレだね!

佐久早

…触らせねえぞ

ふふっごめんごめん!

ほんとにいいの?

佐久早

私はまた彼の手に触れた。 じわっと広がる心地いい感覚。 あったかくて落ち着く。

佐久早君って潔癖性ってイメージだったけど案外違うんだね

佐久早

ちゃんと後で手を洗うつもりだ

ふふっ

ねぇ。また次もこうして手を握ってもいい?

佐久早

……あぁ、

ありがとう!

これまたびっくり。 まさか次も潔癖のその手に触れていいなんて

うわ、佐久早君って関節柔らかくない。いや柔らかいすぎ。うわうわここまで…

佐久早

人の手で遊ぶな

彼の指が尋常じゃないくらい曲がったり歪んだりして面白かった。 そして他愛もない話をして、彼のことを少しだけ知れた。

バレー部のエースで、潔癖性で、あと下の名前がきよおみと言うことも。 その間も私は佐久早君の手を握っていた。 佐久早君も最初は眉間にしわが寄っていたが、諦めて時々握り返してくれた。 この時、完全に彼は私にとって

【特別な存在】になっていった。

君に触れると温かい

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