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若井
大森
仕事終わり、元貴といつものバーに来ていた。 ここは所謂そういう界隈のバーで、 客は男しか居ない。
若井
若井
大森
大森
機嫌を損ねた元貴はおれから離れて行く。
きっと、その辺にいる男に声を掛けに行ったんだろう…
また、元貴の病気が始まった。
おれ達が腐れ縁ってのは本当の話。
まあ、お互いの需要と供給が合ったから、 たまに“そういう事”もしているけど…
だからこそ分かる。
元貴の恋愛観は昔からねじ曲がっていた。
まず、特定の相手は作らない。
でも、顔がいいから色んな人から誘われるし、元貴も簡単にその誘いに乗る。
元貴が特定の相手を作らないのは界隈では有名な話だから、相手もそのつもりで来るけど、 たまに厄介な事に本気になる奴も居て、 その時は容赦なく切り捨てられる。
でも、更に厄介なのは、元貴が気に入った場合。
相手をその気にさせて最後は捨てる。
なんでそんな事するのか意味が分からなくて、 一度聞いた事があった。
“始まりがあれば終わりがあるでしょ?” “始まらなければ終わりはないから” “でもお気に入りは手に入れたいじゃん” “それで始まる前にさよならするだけ”
言いたい事は分からなくもないけど、 歪んでるし、寂しいとも思う…
若井
目の前でグラスを拭いてた馴染みの店員につい愚痴ってしまった。
店員
若井
結局傷付くのは自分自身だって事、 いい加減気付いて欲しい。
お気に入りを手離したあとは、必ず荒れる。
そして、それをなだめるのが、 腐れ縁のおれの役目…
ずっとそう…
ただ、それだけ。
店員
若井
おれは思わず苦笑いをした。