僕が死んだ後の世界

ﾊﾟﾁ

起きたら誰もいなかった。

いふくんと寝たはずが、 いふくんもいなかった。

微かに耳を澄ませると、 怒鳴り声が聞こえた。

もう慣れちゃった

初兎ちゃんがいなくなってから。

こんなの日常茶飯事だった。

りうちゃんも、ないちゃんも。 いふくんも。アニキも。

みんなギリギリだ。

だから、別に。

仲良し家族ってわけじゃ無かった。

え？僕はって?

う〜ん、

僕はあまりないかな。

ｶﾞﾁｬ

見つけたのは僕が最初だった。

自分の部屋と間違えて入った。

でもそこは、僕の部屋じゃ無かった。

僕はひどいトラウマをおった。

元々初兎ちゃんの事は大好きだった。

だからこそ苦しくて、

何も覚えてない。

ドアに入って、何をしたんだろう。

何も覚えていないから。 フラッシュバックする機会は あまりない。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

大好きな初兎ちゃんを感じられるのは この縄の赤色だけだ。

でも、 それでも。

心残りがたくさんあった。

あの時の初兎ちゃんの顔は、 「やっと死ねた」の顔だった。

苦しみから解放されたような、 そんな顔だった。

また会いたい

でもそれは叶わない

叶うはずがない。

本当に世の中は不公平だ。

あの時の事を謝りたくても、 謝る事はできない。

どんなに足掻いても、 どんなに悔やんでも。

死んだ人は帰ってこない。

どんなに

大切な人でも…、