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月曜日の朝、教室に入ると、緑はすでに席に座っていた。

いつものように、机に肘をつけて外を眺めている。

桃 。

おはよ、緑

緑 。

おう、桃。おはよ

今までと同じやり取りのはずなのに、胸がきゅうっと締め付けられる。

きっとそれは、緑の"視線の先"が、もう私じゃないから。

彼の目は、数秒後には教室のドアをちらりと見る。

次に誰が入ってくるのか、それが"あの子"なのかどうかを。

私の席は、緑の隣。

距離にして、わずか数十センチ。

でも、その距離が今は遠く感じる。

緑 。

この前、橙と映画行ったんだ

授業の合間、ノートにいたずら書きをしていた緑がぽつりといった。

桃 。

うん、どうだった?

緑 。

めっちゃ楽しかった。

緑 。

橙、めっちゃ怖がりだった

緑が楽しそうに話す度、私は笑顔を作る。

でも、胸の奥は痛い。

ほんの少しずつ、彼の世界から私がはじかれていく気がする。

緑 。

桃ってさ、そういうの平気だっけ?

桃 。

うーん……わりと、かな。

桃 。

怖がりだけど、隣に誰かいると大丈夫

緑 。

へー、じゃあ今度、みんなで行く時誘うわ

"みんなで"。その言葉が、胸に刺さる。

私はきっと、これからもその「みんな」の中に居続ける。

緑の隣の席にいるのに、心の距離はもう埋まらない。

気づけば、ノートの端に無意識で書いていた言葉が目に入った。

《好きになっちゃ、だめなのに》

すぐにそれを、シャーペンでぐしゃぐしゃに塗りつぶした。

君が笑うたび、心臓が痛い

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