死神の婚約者

今日は指輪を買いに来た

結婚して2ヶ月

未だに指輪を着けてないのは流石にやばいだろうと思い

買いに来た

1つの宝石店に入り、店内を見渡すと沢山の指輪やネックレスが置いてあった

どれがいいのか全く分からない

そう言うと彼女はムッとした

驚いた

彼女の好きな物を選んであげれば喜ぶと思ったのに、注意されてしまった

店員さんは私達を見ると驚いた顔で固まってしまっていた

それも当然だ、巷では噂の結婚だったらしいし

しかも結婚2ヶ月目で指輪を買いに来る夫婦なんて中々いないのだろう

真剣にショーケースを見つめる彼女

本気で向き合ってくれようとしているのが伝わってきてとても嬉しい

彼女の肌は真っ白だ

その白くて細い指に似合うのはきっとプラチナの細い…指輪

ショーケースから出された指輪を取る

彼女の左手を取って薬指に指輪を通した

顔を見ると彼女は頬を染めて少し震えていた

可愛いっ…！！！

少し困ったような、恥ずかしそうな

そんな表情で私にお願いするのがとんでもなく可愛い！！

カッコよくて可愛いなんてなんなの？！

ずるい！！

選んでみせますわ、最高の指輪を！！！

袋に入った箱を見つめて 何故か少し心がソワソワする

ニコッと微笑む彼女に胸がキュッと掴まれたような、そんな感覚がした

この子はヨル

私が3年前に戦闘帰りのスラム街で拾ってきた男の子だ

ここの執事をやってもらっている

年齢は15歳と歳下だが物分りが良くてよく働いてくれるから助かっている

夕食が終わり

お風呂も済ませて部屋でくつろいでいると扉が鳴った

寝間着姿の彼女が中に入ってきた

机の上に置いてあった袋から箱を取り出し中の指輪を掴んだ

彼女の手を取って指輪を指に通した

お慕いしている…それは尊敬の意……もしくは恋心…

沢山勉強してきた、皆に追いつきたくて

そんな中で見つけた言葉

ロザンナ様が私を…？

彼女はもう1つの指輪を掴むと私左手を取って薬指に通した

彼女は私の指に着いてる指輪を撫でてから私の手を自身の頬に添わせた

大人な余裕を醸し出して私を見るその表情に私は戸惑ってしまっていた

こんな感情…知らない…

そんなうるうるとした目で見つめられて「嫌だ」と言う人間なんて居るのか…？

どうも、貴女には敵わない様です

家族なんて

いらないって思っていたのに