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コメント
2件
今回も最高でした! 語彙力がないから説明できないけどほんと好きです! ♡1000押させていただきました!
rara🎼
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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 兄弟パロ
rara🎼
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3 ただいまのあと、ひとりじゃない場所
午後の陽が少しずつ傾き始め、六奏学園の校門の前に黒塗りのリムジンが音もなく滑り込んできた。
車体は鈍く光を映し、周囲の生徒たちの視線を自然と集める。
けれど、乗り込む三人の姿には、慣れた風の落ち着きがあった。
らん、みこと、こさめ。
由緒ある血を引く三兄弟は、制服の袖を整えながら車内に静かに身を沈める。
車のドアが閉まると、喧噪は切り離され、リムジンの中には穏やかな静寂が流れた。
誰もが言葉を発することなく、けれど、どこか居心地のよい沈黙がそこにはあった。
らん
ぽつりと、らんが呟く。
その声は、誰かに聞かせるためのものではなく、自然と零れ落ちたようなものだった。
みこと
みこと
隣の席に座るみことが、ややオーバーに肩を落とす。
その言葉に、こさめがくすりと笑って、前の座席から振り返った。
こさめ
こさめ
らん
らん
穏やかな笑い声が、車内の静寂に柔らかく溶けていく。
特別なことのようで、けれどそれが“日常”であるということが、三人の表情から自然と伝わっていた。
────生徒たちの憧れ、注目の的、学園の象徴。
そう呼ばれることに、もう驚きはない。
ただその分、日常の「普通」が、どこか遠くなっていくことを、彼らはうっすらと感じていた。
やがてリムジンは、広大な敷地の奥に佇む屋敷のロータリーへと到着する。
タイヤの軋む音もなく停車した車のドアが開くと、そこにはきっちりと整列した三人の姿があった。
────なつ、いるま、すち。
それぞれの専属執事たちが、まっすぐに主人を見据え、静かに頭を下げる。
いるま
すち
なつ
三人の王子たちは、それぞれの執事の前に立ち、ふっと表情を緩めた。
らん
らんのその一言に、他のふたりも自然と続く。
けれどその短い言葉が、何故か今日だけは、少しだけ特別に響いた。
屋敷の中は、いつもと同じ静けさと整頓された美しさに包まれている。
けれど、家族が帰ってきたことで、ほんの少し空気が和らいだように思えた。
こさめの部屋の扉が閉まる音が、静かに響いた。
淡い水色のカーテンが風に揺れ、机の上には朝に飲み残した紅茶のカップがそのまま置かれている。
制服の上着を脱ぎかけたこさめが、ベッドのそばに立って振り返った。
なつ
なつがすっと手を差し出すと、こさめはジャケットを預け、少しだけ顔を綻ばせた。
こさめ
こさめ
こさめ
なつ
なつ
てきぱきとハンガーにかけるなつの手元を見つめながら、こさめはベッドの端に腰掛ける。
屋敷に戻ってきた途端、張っていた肩の力がふっと抜けた気がして、少しだけ気が緩んだ。
こさめ
なつ
こさめ
こさめの声は、普段よりも少しだけ高く、少しだけ甘えるように揺れていた。
その気持ちを隠さないところが、こさめらしい。
なつはそんなこさめの気配を感じ取りながら、ゆっくりと隣に腰を下ろした。
なつ
なつ
こさめ
その言葉に、なつのまなざしがわずかに柔らぐ。
執事としての立場を崩さぬようにと日々気を張っている彼にとって、そんなふうに言われることは、何よりの報酬だった。
なつ
なつ
こさめ
なつ
なつ
なつ
その言葉に、こさめは静かにまばたきをして、まつげを伏せた。
頬がほんのり色づいているのを、なつは気づかないふりをした。
一方その頃、みことの部屋では、すちが丁寧に着替えの準備を整えていた。
やわらかな灯りのもと、静かな空気が流れている。
すち
みこと
みこと
すち
みこと
みことが首を傾げると、すちは微笑みながらみことの前髪をそっと撫でつけた。
その手のひらは、屋敷に戻ってきたことで、よりやさしく、穏やかな温度を帯びている。
すち
すち
唐突な言葉に、みことは思わず照れて視線を逸らした。
それを見て、すちがくすっと小さく笑う。
みこと
すち
みこと
その“好き”が、どんな“好き”なのか。
言った本人にも、まだはっきりとはわからなかった。
けれど、すちには十分すぎるほど響いていた。
らんの部屋。
机の上には、整然と並べられた文具と明日の時間割。
それはいるまが、事前にきっちりと準備したものだった。
いるま
いるま
らん
らん
いるま
いるまはらんのすぐ隣に控えながら、整った姿勢のまま表情を崩さない。
けれど、長年仕えてられてきたらんにはわかる。
その声の端に、ほんの少しだけ“柔らかさ”がにじんでいることに。
らん
いるま
らん
いるま
らん
らんが肩をすくめるように言うと、いるまは珍しく黙り込んだ。
その反応に、らんが小さく笑う。
らん
いるま
ふたりの間には、他人には測れない距離感がある。
けれどその距離は、いつだって“近くにいる”ための距離だった。
夜が深まり、屋敷の明かりが一つ、また一つと落ちていく。
三人の王子と三人の執事。
それぞれの部屋に、それぞれの光が灯り、静かに一日が終わっていく。
けれど、心の奥底では、確かに何かが芽生えていた。
“主と従者”という関係の、その少し先にある、誰かを想う気持ち。
まだ、それを恋と呼ぶには早すぎる。
けれど────忠誠の、その先へ。
そんな夜が、今夜も静かに更けていった。
第3話・了
rara🎼
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡40
rara🎼
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