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54話目です!

nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作

ご本人様には一切関係ございません!
苦手な方はback推奨!

では!

どうぞ!

第54話『声の交差』

朝。

目覚ましが鳴る前に、らんは自然と目を覚ました。

昨夜の「影」との会話がまだ胸の奥に残っている。

偽物の記憶の理由。

みんなに姿を見せられない現実。

そして「強い記憶」という言葉。

らん

(……俺は、ちゃんと前に進めてるんだろうか)

布団から起き上がり、洗面所で顔を洗う。

鏡に映る自分を見つめると、そこにはやはり「もう一人のらん」がいた。

らん

今日も……俺を見てるな

もう一人のらん

お前が俺を求めてるからだ

短く、冷静な答え。

その声に少し苛立ちながらも、らんは小さく呟いた。

らん

……夜は、邪魔しないでよ

らん

みんなと配信、やるから

影のらんは一瞬だけ目を細めたが、否定も肯定もしなかった。

ただ淡く笑みを浮かべ――

もう一人のらん

……お前次第だ

それだけ残して消えた。

午前。

リビングでは、いるまが食パンをかじりながらスマホをスクロールしていた。

いるま

お、起きたか

らん

ん……おはよ

らんはコーヒーを注ぎ、いるまの向かいに座った。

何気ない日常の空気。

それが今の自分をかろうじて支えている。

いるま

今夜、配信だからな

らん

……うん

らん

20時から、だよね

いるま

ああ

いるま

雰囲気は、まあ、俺達が何とかすっから

いるま

こさめの誕生日について話す時、補助的な感じで

いるま

台本は送ってあるから

いるま

それ読め

らん

……うん

いるま

大丈夫か?

短い問いに、らんは少しだけ笑みを作った。

らん

……多分ね

その笑顔に、いるまは何も言わずパンをかじり続けた。

それが逆にありがたかった。

午後。

らんは自室に籠もり、マイクのチェックや資料の整理をしていた。

机の上には、みんなと話す予定のメモ書きが散らばっている。

らん

(……キーホルダー……アクスタ……)

らん

(……どんなふうに話したら、笑うかな)

考えるうちに自然と口元が緩む。

久しぶりに「わくわく」に近い感覚を抱いている自分に気づき、らんは胸の奥で小さく息をついた。

――そのとき。

視界の端に影が揺れた。

振り返ると、もう一人のらんが壁際に立っていた。

腕を組み、じっと見ている。

らん

……またか

らんは眉を寄せる。

らん

言ったでしょ

らん

邪魔するなって

もう一人のらん

……邪魔をする気は無い

もう一人のらん

ただ……

らん

ただ?

もう一人のらん

声を使う場は、境界が薄くなる

もう一人のらん

お前の“奥”に、別のものが触れるかもしれない

らん

……は?

もう一人のらん

忘れるな

もう一人のらん

俺が制御しているからこそ、お前は今、普通に声を届けられる

らんは拳を握りしめた。

らん

……それでも、俺はやる

らん

みんなと一緒に

影はしばし沈黙し、やがて低く笑った。

もう一人のらん

強情なやつだ

その声を最後に、気配は再び薄れていった。

夕方。

空はオレンジ色に染まり、街のざわめきが窓越しに流れ込んでくる。

らんは机に向かい、深呼吸を繰り返した。

らん

(……緊張してるな)

らん

(なんだよこれ、久々だろ)

こさめ

久々の公式配信、よろしくねー!

なつ

おー、あ、そっか今日か

みこと

なっちゃん、もしかして忘れてたんじゃ……

なつ

んなわけねえわ笑

トーク画面が盛り上がっている。

それらの文字を見て、心臓の鼓動がさらに速まった。

らん

(大丈夫)

らん

(俺は俺の声を届ければいい……それだけだ)

夜。

19時55分。

マイクの前でヘッドフォンを装着する。

ディスプレイには配信の管理画面。

カウントダウンが進んでいく。

らん

(もうすぐ、始まる……)

深呼吸。

心の奥で影の存在を感じる。

らん

(……見てろよ)

らん

(これは俺の時間だ)

20時。

カウントがゼロになり、配信がスタートした。

いるま

……6月5日、お久の公式配信、今回もMCを務めますはシクフォニラップ担当いるまです!

いるま

よろしく〜

いるま

ってことで、もう早速、メンバーに来てもらいましょうか

いるま

シクフォニメンバー、カモン!!

いるま

自己紹介してもらうか

台本通りに読む。

らん

……こんばんは、シクフォニリーダーピンク担当LANと!

なつ

赤色担当暇72と

こさめ

水色担当雨乃こさめと!

いるま

紫担当いるまと

すち

緑担当すちと

みこと

黄色担当みことです!

こさめ

よろしくお願いしま〜すっ!!

画面の向こうには視聴者たち。

コメント欄が次々と流れ、6人の声が重なっていく。

いるま

……ってことで、まあゲームも終わったし、告知入るか

こさめ

ん、はい!

こさめ

前に配信した時にもちょろっと話したんだけど

こさめ

こさめの誕生日に向けて、グッズを発売します!

きっと、視聴者の画面には、こさめのグッズが画面いっぱいに映っているだろう。

こさめ

キーホルダーと、アクスタと……

こさめ

他にも結構あるっ!

途中、コメント欄に「アクスタ欲しい!」と書き込みが流れた。

すち

アクスタ欲しい人、多いみたいだねえ

いるま

やっぱ、祭壇とか組んでくれる方とかもいるからか?

なつ

俺はアクキーとかカバンに付けられるし、いいんじゃね?

みこと

まあ人それぞれやろ!!

その笑い声がマイク越しに響き、コメント欄も盛り上がった。

らん

(……ああ、やっぱりこういう時間だ)

らんの胸に、熱いものがこみ上げる。

配信は順調に進み、気づけば時計は22時30分を指していた。

いるま

じゃ、まあ今回はこの辺で

いるま

久々の配信でも、来てくれてありがとな〜

いるま

これからもまあ神出鬼没でやるかも知らねえけど笑

こさめ

来てくれてありがと〜う!

こさめ

また次の配信でっ!!

こさめ

いつかは知らないけど!!

なつ

じゃ、らん

なつ

あれで締めろ

らん

う、うん

らん

お、おつふぉに!

台本に書かれた言葉を、そのまま読み上げる。

何故か、そう、とても口に馴染んでいた。

マイクを外した瞬間、らんは大きく息を吐いた。

らん

……ふぅ

達成感と同時に、胸の奥に奇妙なざわめきが残る。

背後を振り返ると――やはり、影のらんが立っていた。

もう一人のらん

……やったじゃん

らん

……見てたんだ

もう一人のらん

声だけの世界は、お前にとって救いだ

もう一人のらん

同時に……危うさも孕む

らん

危うさ?

もう一人のらん

お前の“記憶”と“今”が混じりやすい

もう一人のらん

さっきも、ほんの一瞬だが……別の映像が揺れた

らんの背筋がぞくりとした。

らん

……っ

もう一人のらん

安心しろ

もう一人のらん

まだ俺が抑えてる

影はゆっくりと告げた。

もう一人のらん

ただ、忘れるな

もう一人のらん

声は境界を曖昧にする

もう一人のらん

それでもやりたいなら──覚悟をもて

その言葉を残し、影は闇に溶けていった。

布団に横たわりながら、らんは今日の時間を思い返す。

みんなの笑い声。

コメントで盛り上がった視聴者たち。

そして、影の警告。

らん

(……俺は、声で繋がりたいんだ)

らん

(それが危ういとしても……それでも)

まぶたを閉じると、笑い声がまだ耳に残っていた。

温かく、どこか切ない響き。

らんはその余韻を胸に抱きながら、深い眠りへと沈んでいった。

第54話・了

おかえりなさい!

次回!

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡550

では!

ばいばい!

桜の記憶は散ってしまう

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