テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
遠くに見える海
窓側の席は相変わらず羨ましがられる
──自分はそんなにこの席は好きじゃない。
窓からは海が見えるから
黄
赤
桃
ふいっと海から目を逸らす
あの海は
見てるだけで切なくなるから嫌い
嫌いになった理由は覚えてない
紫
橙
紫
桃
いつの日か橙は俺を拒むようになった
いつの日かは記憶になくて
その理由すらも記憶にない
自分自身なのに、なにも解らない
紫くんはそんな橙を独りにさせないさせないようにか、橙を見守るようにそばに居る
桃
〝5人〟
そうだ、5人で__。
桃
自分の大切な部分を無くしているような気がする
それに黄と赤__橙と紫くんもその「大切な部分」を知っている、そんな妄想を働かせる
実際、みんなは何かを知ってる
黄
桃
赤
__放課後
先生
桃
先生
そう言って先生はおそらく職員室に向かった
橙に──か。
紫
桃
紫
桃
抵抗がないと言ったら嘘になる
紫
桃
紫
桃
なんて返せばいいんだろう
いつもの道
浜辺へ繋がる並木道
木の間から海が見える
桃
まだ夏では無いし
そもそもここは夏でも人は来ない
岩が複数出ているからか、海水浴として利用されないから。
思わずそんな海へ足が動いた
桃
風が一瞬だけ荒く吹いた気がした
桃
そこに立つ人は
桃
深く青い瞳に青い髪
砂浜の砂より白い肌
誰よりも海が似合う
いや、海そのもの__
海を擬人化したような、それほどの美しさ
桃
思わず声をかける
彼が信じられないと訴えるかのように目を見開いた
一瞬涙目になったように見えたけど
見間違いか否か、その考えをねじ曲げられるほど優しく微笑んだ
桃
何も考えないで話しかけてしまった
桃
青
微笑んだ彼の顔が
寂しそうにまつ毛を伏せて俯いた
桃
毎日見るけど
人なんて見かけないから
青
桃
桃
桃
出会ったばかりなのにこんな話をするのはおかしかった
でも
この人なら何でも打ち明けられるような気がした。
少し、妙な安心感があった
青
青
青
桃
彼は
どうしようもないくらいに儚かった
この海のように見てるだけで切なくて
なにより、なんとも言えない安心感。
この海もそんな安心感があるから
その感覚と同じ
桃
青
青
桃
嫌いな海だけど
嫌じゃない
───次の日の放課後
いつもの海へ足を運ぶ
昨日と変わりない彼の姿
そうだ、名前聞き忘れてた......
桃
青
桃
微笑みが眩しい
この笑顔
好きだな
桃
青
青
青……か
___なんだろう。
この感覚は___
青
桃
青
くすりと笑ってから
青
懐かしさに似た安心感を帯びた、愛らしい声色で言った
青
青
桃
桃
少し
この海が好きになれた気がしたよ
桃
桃
青
この人にだったら
何だって打ち明けられる、そんな気がした
桃
桃
頼るなよ
情けないじゃんか
桃
彼は笑わず黙って話を聞いてくれる
同情とか
そういうのじゃない
妙にきっぱりと言葉を放った
青
桃
桃
桃
海を眺めて寂しそうに笑った
青
桃
なんだよ
それ
桃
青
青
青
桃
砂辺に座り込んで
海の音がただ響く
青
青
綺麗事とか、そういうのとはまた程遠い言葉な気がした
桃
黄
桃
赤
桃
黄
桃
桃
赤
妙に改まって赤がそう言う
それに同意するように黄が静かに頷いた
『なんだよ…っw』なんて、茶化して言うつもりだった
けど、2人が妙に改まって言うから勢いは止まる
桃
自分の幸せを願ってくれてるんだって
我ながらわかりやすい勘違いをした
紫
橙
紫
橙
紫
紫
橙
紫
紫
─青Perspective─
青
波が押して引いてを繰り返す
風に煽られているのだろうか
青
風に吹かれる感覚さえも忘れてしまいそう
潮風は
僕を無視してきっと優しく吹いている
静かに浅瀬に足をつける 水は跳ねずに再び引く
世界から、見捨てられてるよう
そんな重い孤独感
___実際そうなのだろうか
青
もう7月
気温に適した冷たくて気持ちいい水温だろうね
実際みんながそう思うのかはわからない
青
そろそろ下校時刻
ただ一人海で
君の帰りを待つ___,
コメント
10件
神作品ありがとうございます✨ 桃くんの忘れている所、何なんでしょう…🤔 多分、青くん関係なんじゃないかなって思ってます!笑笑 毎回書くの上手すぎるし、分かりやすくてとても読んでいて桃くんたちの感情が伝わってきちゃうの みくさん書き方上手すぎです👏✨ 続きも楽しみに待ってます😚
桃君は何を忘れてるのかな🤔この感じだと青君はもう亡くなっているとか…? めっちゃくちゃ続きが気になります…!