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「Insanity」

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「Insanity」

10 - 第10話-大丈夫-

♥

30

2024年12月12日

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10話-大丈夫-

2人とも

目の色を変えて

狂気じみた顔をして

さっきよりも激しく

お互いを傷つけあう。

シエル

…ッははっ…。…

M

…ッ…ぐ…、

両方、全身から血を流して

掴み合いを続ける。

エリオ

…ッ…ふ、ぅ"……

腹に刺された角を掴んで

思いっきり引き抜く。

エリオ

っ、ぅ"…ぐ……。

血の流れる腹を抑えて

壁にもたれ掛かる。

エリオ

…っ"は、…ぁ"…はぁ、…

ニブ

グゥ…、ゥゥ…

目が潰れ、傷だらけの

ニブも呻き声を上げながら

床に横たわる。

エリオ

…はぁ"……、ッ…、

M

ッ…ぉ"前…っ…

M

急に"…。なんな"んだ、っ…

豹変したシエルに動揺し始める

M

…ッ"…。ぐ…っ…

シエル

ッ…。ふは、っ…

シエルが血反吐を吐き

Mは息が荒れ、無意識に鼻血を出す。

もう既に2人の身体は限界。

エリオ

…っ、…!

痛む腹を抑えたまま

争う2人の間に割り込む。

M

っ"は、ッ…はぁ"、っ…!

2人の手が離れると

Mは崩れ落ち、座り込む。

シエルは立ったまま

まだMに向かって行こうとする。

シエル

っぐ、…ぅ"ッ…!

エリオ

…ッ…シエル…っ、…!

エリオ

もういい、!やめろ…!

止める声は

シエルの耳には届いていない

エリオ

おい"!シエル!!

叫ぶ度に、腹に激痛が走る。

エリオ

ッ…!

バチンッ!!

シエルの頬を

思いっきり叩いた。

頬が赤くなるほど

シエル

…っ、…ふぅ"……ッ…!

ーーーーーー

エリオ

ッ"ぅ"っ…!!

シエルが首元に噛み付いてきた。

エリオ

…っ、…ぅ"。…

シエル

ッぐ…っ…、。

首元から血が溢れ

シエルは驚いたのか動きが止まり

小刻みに震えだす。

エリオ

…ッ、。…、

シエルの背中に手を回し

優しく撫でる。

エリオ

…っ、大丈夫…、大丈夫……

シエル

っ、ふ…。…ぅ"…ッ…

エリオ

…落ち着け、シエル……

シエル

っ、…ぐ…

ぎゅぅ…

エリオ

……っ、…ん…、。

シエル

っ、ご…め"……

エリオ

…ん、…

シエルの震える声が耳元で響く

ピッ……ピッ……

シエル

…っ…エリオ…

「大丈夫」

そう言っていたものの

腹を突き刺され、首も噛まれて

大丈夫なはずがない。

シエル

……っ…ごめん、……

そう言って

目を閉じたままのエリオの手を

ぎゅっと握りしめる。

すると、弱い力で握り返される。

シエル

……っは、…。!

その途端

ピーーーーー。

機械の音が途切れなくなる。

シエル

…ェ"リオ、っ…。!

シエル

ダメだよ、っ…!!

シエル

死"んじゃダメだっ…!!!

エリオの手をまた握るも

今度は握り返してくれない

目から涙が溢れ

頬を伝う涙が手の甲に落ちる。

こんな経験、人生で初めて

シエル

エリオ"っ…!!!

シエル

…ッ…、!!

病院の窓に手を伸ばした途端

後ろから身体を掴まれる。

代表取締役

…落ち着いてシエル

シエル

…っ、離せよ"…!

代表取締役

君も軽傷じゃないんだ、

代表取締役

大声を出すと傷が開くよ

そう言われ椅子に座らせられる。

シエル

……ッ…、ぐ…っ…

シエル

俺の、っ…

シエル

俺の"せいで…っ…、

代表取締役

…ううん、

代表取締役

…君のせいじゃない。

俺の手をぎゅっと握って

涙を拭ってくれる。

代表取締役

…大丈夫、大丈夫

シエル

っ…ぐ…ッ…

ニブ

ギュゥ…

片方の目に包帯を巻いていたニブが

俺の顔を舐めて、擦り寄ってきた

シエル

ん、っ…ぅ"……、

ニブ

グゥ…

代表取締役

…君が飛び降りて死んだって

代表取締役

エリオくんに会えるとは限らないし

代表取締役

彼は喜んだりしないと思うよ

シエル

……っ…、

シエル

…っ、なら"…!

代表取締役

しーっ…

代表取締役

…傷が開くよ

シエル

……っ……

代表取締役

…もう、混沌屋は閉めたよ

代表取締役

…君もニブも、仕事は終わり

ニブ

ギュゥ

代表取締役

こんな結果で申し訳ないね

シエル

……。…

代表取締役

全ては僕の管理不足だ

代表取締役

すまない

シエル

……ぃぇ……

代表取締役

私はニブを連れて

代表取締役

この街を出て行く

代表取締役

…君も一緒にどうだい?

シエル

…ん、……

ニブ

……ギュゥ…

ニブが俺の目を見つめて訴えかける。

シエル

…いきます、……

代表取締役

…それじゃあ、

代表取締役

エリオくんも連れていこう

代表取締役

1人は寂しいだろうから

シエル

……はい……

ニブ

グゥ…

_𝐞𝐧𝐝_

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