冬瀬 柚季
ここがその雑貨屋さんだね。

琥珀 雪華
可愛い雑貨が沢山ありますのね。

琥珀 雪華
こちらは有名なインテリア用品店の物と似ていますわね。お値段は…

琥珀 雪華
税込550円!?

琥珀 雪華
いいんですの!?こんなに素晴らしいのに!?

阿部 叶奏
ここのお店可愛いのにお手頃価格だからよくアタシも行くんだー

阿部 叶奏
妹ちゃんも好きだったよね?

冬瀬 柚季
そうそう、雪ちゃんの誕生日はここで買いたいって思ってたんだよね

冬瀬 柚季
あ、勿論。雪華ちゃんのプレゼントも用意するから!!

琥珀 雪華
ありがとう、楽しみにしてますわ。

阿部 叶奏
雪華のプレゼント忘れるなんて有り得ないからね

阿部 叶奏
雪華のプレゼントを忘れるなら、呼吸を忘れるのもセットにしてよね

冬瀬 柚季
き、肝に銘じておきます……

琥珀 雪華
ちょっと、叶奏ったら……

阿部 叶奏
勿論アタシは雪華の誕生日はしっっっかり準備させてもらうからね!!

阿部 叶奏
もう364日から、ずっと楽しみに生きてきたんだよね〜雪華の誕生日!!

琥珀 雪華
前の誕生日の次の日から楽しみにしていますの!?

琥珀 雪華
本当に私の事を大切にしてくれていますのね……

阿部 叶奏
当たり前じゃんか、親友だもん

冬瀬 柚季
(叶奏さんって、本当に雪華ちゃんの事好きなんだな……)

冬瀬 柚季
(これで付き合ってないんだよね?)

琥珀 雪華
柚希君は今のところ何にするか決めていますの?

冬瀬 柚季
えっと、そうだな……

冬瀬 柚季
雪ちゃんは最近アクセサリーに興味があるみたいで、300均でアクセサリーを爆買いしてるんだよね

冬瀬 柚季
でも、置き場所に困ってるって言ってたから、アクセサリーケースと、トルソー型のアクセサリースタンドをプレゼントしたいんだよね。

阿部 叶奏
へぇ〜、確かにこんくらい可愛けりゃインテリアとしても使えるし、いんでねぇの?

琥珀 雪華
雪ちゃんの事、ちゃんと見てくれていますのね。

琥珀 雪華
本当に、貴方が妹の恋人で良かったわ

冬瀬 柚季
なっ、何……急に

冬瀬 柚季
照れるんだけど……

阿部 叶奏
(私も雪華から『貴女が私の恋人で良かったわ』とか言われてみたいよ)

阿部 叶奏
(……付き合ってないし、絶対叶わないけどね)

阿部 叶奏
あとさ、なにかお揃いのものあった方が妹ちゃんも喜ぶんじゃない?

冬瀬 柚季
それ思った、何がいいかな

琥珀 雪華
お揃いと言っても、沢山ありますわよね。

阿部 叶奏
あ、この栞はどうよ。

冬瀬 柚季
え、可愛い。

阿部 叶奏
柚希さんは部活で台本使うし、妹ちゃんはライトノベルよく読むから丁度いいんじゃないかな。

琥珀 雪華
いいアイディアですわね!!

冬瀬 柚季
じゃあ、そうしようかな。

琥珀 雪華
いい買い物になりましたわね。

冬瀬 柚季
喜んでくれるといいなぁ

琥珀 雪華
喜ぶに決まってますわ!

琥珀 雪華
プレゼントを貰えるのもそうですし、好きな人が自分の為に選ぶのに悩んでくれるというのは、とても幸せなことですのよ?

冬瀬 柚季
雪華ちゃんの言う通りだね。

冬瀬 柚季
それじゃあ僕はお会計してくる!

阿部 叶奏
はいはーい、んじゃあアタシたちはレジ出たとこで待ってるから

阿部 叶奏
行こ、雪華

琥珀 雪華
ええ。

琥珀 雪華
……羨ましいわね、愛する人が自分の為に悩んで、大切なものを送ってくれるなんて

阿部 叶奏
雪華?

琥珀 雪華
え、あっ、ごめんなさい!なんでもありませんわ!!

琥珀 雪華
私は、人から愛されるタイプではないと知っていますし、私は私を愛したらそれでいいって思ってますのに、

琥珀 雪華
私らしくありませんわね

阿部 叶奏
……少なくとも、アタシは雪華はもっと愛されるべきだと思うけどね

阿部 叶奏
アタシが面食いだって言うのは、そうだけど中身もすんごく惹かれたもん

琥珀 雪華
叶奏……

阿部 叶奏
正直、アタシらが大人になって、雪華が誰かの女になるのが怖くて仕方ない

阿部 叶奏
雪華が選ぶ人だから、いい人だとは思うけどね。でも、きっと恨むよ

琥珀 雪華
……何言ってるのよ。

琥珀 雪華
私は誰の女にもなりませんわ。

琥珀 雪華
私はずっと私の女でいたいもの。

阿部 叶奏
……だよね。

その時の叶奏の笑顔は、少し憂いという膜が張っていた気がした。
まだ、自分を心から愛せない私が、誰かを愛するなんてきっと出来ない
叶奏の気持ちを受け取るには、まだ時間がかかりそうで、私も眼に憂いを浮かべて、目線を落とした。