ゆりあ
ゆりあは辺りを見回した 真っ暗で 暑くて そして何より 臭い 汗とか尿とかいろいろ混ざった つーんとする臭い
ゆりあ
ゆりあ
いつも通りの毎日だった。 いつも通り、家に帰って、ご飯食べて、お風呂に入って……?
ゆりあは、どうしてここにいるのか 、ここはどこなのか考えた…しかし…
ゆりあ
異常な暑さが思考を邪魔する。
今は2109年。日本、いや世界は おかしくなっていた。 地球温暖化が進み、地球のあちこちで 砂漠化、水質汚染、酸性雨など 環境問題が起こっていた。 1月なのに30度を超える日々だ。 食料も枯渇し、今では野菜も牛、豚、鶏も高騰していた。
ゆりあ
考えることを放棄し、耳をすませてみた。
ゆりあ
…コクコクコク …ドクドクドク
見えないが、気配があった。 …何かいる。
ゆりあ
ゆりあはパーカーのポケットの中を漁った。お菓子のゴミとともにスマホを取り出した。
スマホの小さなくぼみを手さぐりで探す。 あった。ぽちっと小さく音がなる。
スマホの画面が眩しい。 しかし、あたりを少し明るくしてくれるスマホは心強い味方だ。 残りのバッテリーはあとわずかだが、圏外ではない。
ゆりあ
コール音が小さく鳴る。 祈るように母が出てくれるのを待った。
母
ゆりあ
母
ゆりあ
ゆりあ
ゆりあ
母
ゆりあ
母
母
母
ゆりあ
母
ゆりあ
母
ゆりあ
バッテリーが切れた。 また暗闇がゆりあを包む。 心の支えだったスマホは、もう 使えない、ゴミ同然だ。
コメント
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続きはまた今度気が向いたら書きます。