ふたつの主役第5章～絡み合う種族～

＊天使の教会＊

天使が減り、ステンドグラスが紫単色に光っており、そこにはソファーリが居た

天使界隈最強の医療技術を持つ ラファエル家当主ソファーリ

彼女は過去に1度 ”神殺しの容疑者”として名があげられていた

”神殺し” 名の通り神を殺す行為の事であり、その行為に罰則が付かないのは全知全能神と邪神だけだった

なぜ、ソファーリがそのような疑いを掛けられたのかと言うと

天使医療軍だけが出動していない戦争時に、トップだった医療神レイが消息を絶ったからだった

天使医療軍だけでも戦場治癒は十分だったが、天使程度の治癒では軍神が万全に回復するところまでは治癒できない

霊力と神力は似ているようで異なるからだ

例えば、櫻の国を守護しているとされている走りの神、韋駄天は武器となるのは自身の脚

その脚に神にとって重要な神力が使われ、それ以外の部位は霊力で補填する事が可能

つまり、天使如きでは軍神の武器までの治癒ができないのである

その治癒を行っていたのが、彼女の上司であった医療神レイ

軍神にとって戦場で舞う為には神力での治癒が必要となる

その医療神が消息を絶ったのはかなりの痛手だった

しみじみと、ソファーリは昔の事を思い出したく

この当時、わたくしはまだ”七つの美徳”に入っていませんでした

当主としてもまだまだで、先代である母も隠居した身ですので助けを頂いていました

そんな時に、レイ様の消息が絶たれ疑いを掛けられたのです

数多の神器で攻撃を受ける

神の武器は天使による反抗で壊す事は出来ないし逆らえない

だが、無実の罪なのだから弁明しなければならない

突然でした

使用中の世界に介入してくる天使が

リア様が入ってきたのは

神界の拷問世界

龍族全てを支配する聖獣 帝王龍 冥界の王 ハーデス

この2名により作られた暴力主義の世界

そこに入ることを許されるのは、軍神・全知全能一族そして上位の天使だけ

リアは当時からその立場にいた

オーディンは悔しそうな顔をしてリアの横をすり抜け世界から出ていった

リアはソファーリを捕らえていた工具を全て外し、ソファーリと同じ目線になるようにしゃがんだ

天使一族の野望…と言えば大袈裟かも知れないが

天使一丸の目的は

”神を減らし、天使が神界を統べる”

という大きな目的

これはわたくしが産まれる前から掲げられていたモノ

発案者兼反逆の首謀者は分からないが、現在反逆の準備を進めているのはリア様率いるミカエル家と傘下の天使

ミカエル家は存在する天使全てを管理し支配する

傘下の天使は天使界で生活する天使全員の事を指すのだ

そうして、元々わたくしが指揮を執っていた天使医療軍を傘下組織とし正式な象徴の天使になった

七つの美徳は神と同等の地位であり、その傘下組織は本家の要請以外では動く事を禁じられている

つまり、神が治癒の為に天使医療軍を使おうにもわたくしの許可がないと回復できないようになったのです

天使の教会に入ってきたシンにより、紫単色だった空間に赤が混ざる

天使に必ず与えられる一人一色

それは代々受け継がれる天使も居るが、家系と関係の無い力を持った天使は、力に合った色が配分される

ただ、それだけの事だ

今、住処である天使の教会は天使王の城の劣化型拠点

天使王の城では各自支配するアビリティーと持つ色によって部屋がわかれ、そこに傘下組織在籍の天使を従属として住まわせることが出来る

だが、天使の教会ではそのような制度もなく部屋は別れていない

ましてや支配権は分配されていて霊力回復の為にしか使用できない

いわば、天使専用の休憩所で絶対的な支配権を持つ天使王優遇の拠点

だが、天使は種族内で差別はしない

だからこそ、天使の教会より天使王の城の方が使い勝手が良いのである

2色が混じった天使の教会は再び1色だけとなった

そして数分もしないうちに色が消え、教会の中は真っ白となった