こういうのを満員電車の二歩手前っていうのかな。 そう考えていると停車していた地下鉄が動き出した。私の前に立っていた体格のいい男性が降車したため、幾分自由に車内を見渡せるようになった。
そうすると、まず、デニム地のバックパックを背負った女子高生が視界に入った。丈の短いスカートに、小麦粉色の肌。これ以上の視察は意味がないから辞めておこうかな。
私は再びスマホに目を通す
...あの女子高生の動き変じゃないか? いつの間にか私の前方に移動していた。きょろきょろ視線を動かしながら、立ち位置を調整している。ようやく止まったのが、スーツを着ている男性の前だった。
私はさりげなくその女子高生に近づいた。彼女はなにかしようとしている。身体の向きからすると財布が狙いではないみたい。そうだとしたら...
周りを見渡しても協力者らしき人は見つからない。単独犯なのかな?それにしてはリスクが大きすぎる。
そのとき、電車が揺れた。男性がバランスを取るために身体を動かし、ジャケットのフラワーホールに留めてあるバッジが目に写った。そのバッジがどういう意味なのかはすぐに分かった。このまま犯行に及べば、返り討ちに遭う可能性が高い。そんなのは自業自得。 だけど__、ほつれたスカートの裾。踵がすり減ったローファー。小刻みに震える指先。 これは、あれだね。確信し、女子高生の右手を掴む。
女子高生
彼女はか細い声でそういった。 そこで、次の駅に到着したので、女子高生の右手を引っ張り電車が降りた。
女子高生
警戒と戸惑いが混じった表情だな、これ。私はそんなことを思いながら彼女に話しかける。
椎名
女子高生
男性は弁護士の紀章を付けていた。それは、法学部生なら知っていることだろう。
椎名
女子高生
そりゃそうなるよね
椎名
女子高生
椎名
女子高生
好きにすればいい、と言いたいところだけど、生憎この後用事があるから大事にはしたくないな
椎名
つい、言ってしまった。この後用事があるのに、
女子高生
椎名
女子高生
椎名
女子高生の視線が左右に揺れる。こんな理解不能な展開に急になって動揺してるよね。
女子高生
そう言い、女子高生は身を翻して階段を上っていった。まぁ、無理もないよね。それより、用事間に合いそうにないなぁ、 ぼんやりそんなことを考えていたら、本人が目の前の階段から降りてきた。
椎名
女子高生
椎名
女子高生
どこに連れていかれるのかと思ったのか、彼女は駅前のカフェを指定した。
椎名
女子高生
椎名
言うことがなかったので、とりあえず名前を褒めておいた
佐倉
一応君よりも年下だけどね
椎名
佐倉
椎名
佐倉
素直じゃないなぁ、この子
佐倉
椎名
佐倉
佐倉は小首を傾げた。 そろそろ認めればいいのに そんなことを思う。
椎名
佐倉
佐倉が身構えた。
椎名
佐倉
椎名
予想もしていなかった初めて聞く単語に思わず笑ってしまった
椎名
佐倉
椎名
佐倉
椎名
佐倉
想像していたよりも、返事が返ってくるのが早かった。根は真面目な子なのかな
椎名
椎名
佐倉
椎名
佐倉
椎名
佐倉
椎名
軽く咳払いをする
椎名
佐倉はテーブルを軽く叩く
佐倉
椎名
佐倉
椎名
他の客の様子を伺う
椎名
佐倉
佐倉はけらけらと無邪気に笑った。面白い子だな
椎名
佐倉
椎名
女子高生
椎名
佐倉
佐倉がミルクティーを飲み干し、溶けた氷が、からんと音を立てる
女子高生
椎名
この子は根っからの悪人ではない。だからこそ、あのとき彼女の右手を掴んだ
佐倉
椎名
佐倉
椎名
佐倉
椎名
椎名
昼前のカフェでこんなことを話しているなんて、周りの客には想像もつかないだろう
佐倉
椎名
佐倉
椎名
椎名
佐倉は下を向いて、ぼろぼろの制服や、すり減った靴を眺めた
女子高生
これまでとは違う、芯の通った声だった
椎名
佐倉
椎名
佐倉
椎名
佐倉
椎名
椎名
プロフィール 名前:江戸川 椎名 エドガワ シイナ 性別:女 年齢:19 性格:不思議、乱歩さんと似ている 乱歩さんの従姉妹。 ナニカであり、どんなお願いごとでも叶えることが出来る。
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