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もう泣けます( *¯ ³¯*)いい話すぎます!!
素敵な話しです!
JK_.🐰𓈒𓂂𓏸様 リクエストありがとうございます💜
この世に完璧など存在しない。
すべてのことに、 「代償」が発生する。
それでも、 貴方に会いに行きたい。
貴方に言えなかった言葉を 伝えるためにー。
嘘だと言ってくれ。
ドッキリだよ、って
いつもみたいに
騒がしく笑い飛ばしてくれよー。
Prrrrrrr.....
けたたましく鳴る電話。
朝日が昇り始めた早朝。
今日は大学も休みで、 ゆっくり寝られると思っていたのにと
電話の主に毒づきつつも、
無視するわけにも行かず 携帯を手に取る。
スマフォの画面に 「ジン」と表記がある。
彼は
最高の親友であり、
そして俺のー。
好きな人。
何かがおかしい、と直感が知らせる。
あいつはこんな時間に 電話をかけてくるやつじゃない。
胸騒ぎを抑えながら、 受信ボタンを押した。
電話越しの声は、ジンではなかった。
彼の、両親。
一人暮らしの俺を よく家に招いてくれる、
優しいおじさんとおばさんだった。
しかし、電話越しの彼らの声は
俺が知っているものではなかった。
「ジンが死んだ。」
そう、ポツリと言っただけだった。
ユンギ
ユンギ
明るい性格のおばさんのことだ。
きっと俺にドッキリを 仕掛けているだけ…
それでも、おばさんの
ジンそっくりな茶目っ気たっぷりの 「あらバレちゃった?」 が聞こえない。
乾いた俺の声が、 空虚に部屋に広がる。
沈黙を破るように、
父親が ジンが今朝未明、 首を吊った状態で発見されたと言った。
嫌な汗がじっとりとまとわりつく。
すぐ行きます、とだけ言って 俺は電話を切った。
彼の死はほんとうだった。
あの美しい顔は、 生気をなくした彫刻のようだった。
帰りの電車の中、 俺は嗚咽を抑えきれずに
人目を憚ることもなく泣いた。
どうして俺に相談してくれなかった?
一緒に立ち向かうことだってできた。
一緒に逃げることだってできた。
お前が望むなら 高級焼き肉を奢ってやっても良かった。
死だけは、 選んでほしくなかった。
あいつからの最後のメッセージ。
カトクを見ると、そこには
「愛してたよ。」
とだけ。
受信時刻は、 彼の死亡推定時刻だった。
俺だって言いたかったのに。
一人で勝手に告白してきて、 勝手に死にやがって。
俺もだよって笑って、
それから手をつないで、 二人で旅行に行って…。
ジンの葬式が終わって、
四十九日が終わって。
3ヶ月が経とうとしてる今も、
俺は立ち直ることができていない。
いや、 時が経てば経つほど
色濃く蘇る、あいつとの思い出。
悪化していると言ってもいい。
髪もひげも爪も伸びて、
鏡を見るとそこには 俺じゃないみたいな俺がいた。
あんなに葬式で涙していた奴らも、
すっかりジンのことを忘れたみたいに
スキーだスノボだ合コンだと 騒ぎまくっている。
彼が消えても流れる時間に、 俺は憔悴しきっていた。
起きては泣き、 泣きつかれて眠る。
そんな生活の繰り返しだった。
大きな木が、一本。
ここはどこだろうか。
とりあえず木元まで歩く。
踏んだ心地がしない草、 薄く曇った空気。
それでも歩いて木に近づくと、 そこには微笑みながら座る
ジンがいた。
ユンギ
ユンギ
狂ったように叫ぶ俺。
首を傾げながら微笑む君。
無我夢中でジンのもとまで走る。
溢れ出す涙。
「愛している」って言って、 キスをしたい。
息を切らしながら駆け寄り、 必死で手を伸ばす。
まさに手を触れようとした、 その時。
ユンギ
伸ばしかけた手に激痛が走る。
それと同時に、 どこからか低い声が聞こえだした。
???
低く、しわがれた声。
男の声でも、 女の声でもないような声だ。
ユンギ
ユンギ
必死に叫ぶ。
地団駄を踏み、手足を振り回す。
ユンギ
するとまた、 電流のような激痛が体を走った。
???
???
ユンギ
舐めているのかこいつ。
死神なんて信じるような柄じゃないし、 そんなの現代人の妄想でしかないだろう。
死神
ユンギ
死神は、 厳かに話しだした。
要約すると、 どうやら死神というのは 本当のようだった。
俺がジンに言いたい言葉。
それを伝える機会を、 与えてくれるという。
この際どんな方法でもいい。
俺はただ、 ジンに愛していると伝えたいだけ。
ユンギ
ユンギ
急かす俺。
それに対し、 「条件がある」と言って
死神はまた語りだした。
死神
ユンギ
死神
死神
ユンギ
死神
死神
ユンギ
死神
ユンギ
予想外の言葉に絶句する。
死神
死神
死にたくなんてない。
やり残したことだってある。
でも、俺の答えは…。
ユンギ
死神が驚いたように目を見開く。
向こう側で、 ジンがふるふると首を横に振っている。
やめて、と必死に伝えているようだ。
死神
死神
ユンギ
ユンギ
たとえ命に変えてでも。
貴方にどうしても伝えたいから。
死神
死神は大きくうなずくと、
この契約は 俺とジンしか知らないこと、
元の世界ではジンは 死ななかったことになっている、
ということを俺に伝えた。
死神
そう言って死神は、 俺の足首を爪で引っ掻いた。
ユンギ
足首の違和感で目が覚めた。
なんの変哲もない風景。
ユンギ
先程のことを思い返しながら ふと足首に目をやると、
たしかにそこには傷があった。
驚いてあたりを見回すと、 すぐとなりに 気持ちよさそうに昼寝をしている、
ジンがいた。
これから、 俺の最後の一ヶ月が始まる。
to be continued... Next⇒♡500
気に入らなかったらごめんなさい(汗)