一つ
みなみ
一つ
ぺぺ
一つ
みなみ
一つ
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みなみ
みなみ
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真っ暗な講義室
そこには男女の姿があった
真っ暗とゆうのは 電気が消えているからではない
カーテン越しに入る陽の光が 一切無いのだ
そんな遅い時間に この2人は何をしているのかと言えば
みなみ
みなみ
みなみ
肝試しと称して とある都市伝説を試しに来たのだった
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みなみ
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みなみ
2人の温度差が広がっていく中、 男はゴソゴソと鞄から何かを取り出す
コロンと机の上に転がされたのは 白くて細い棒状の物
女はそれを一見し、 これから試す都市伝説に溜め息を吐いた
みなみ
ぺぺ
ぺぺ
みなみ
近くの椅子に腰掛け、 女は男の様子を観察する
さっき男が鞄から取り出した物は 蝋燭であったが、 いつの間にか机には蝋燭以外の物が ズラリと並べられていた
赤い紐、ライター、磁石、 粘土、水の入ったペットボトル、 昨日今日の日付けが書かれた新聞
今から何かの実験でもするかのような ラインナップ
女は汚い物を摘む様に 赤い紐をひょいと持ち上げた
みなみ
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みなみ
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男女は都市伝説の検証を 初めてやるわけではなかった
今までに3つ 他の都市伝説を試した事がある
そのどれもが失敗に終わり、 都市伝説は都市伝説だな と2人の中では落ち着いていた
今回試す都市伝説は"赤紐蝋燭"
男が友達から仕入れた マイナーな都市伝説だ
陽が完全に落ちた頃
窓も閉め切った暗い部屋で行うこと
赤紐蝋燭を行うと 大切な人に幸運が訪れるらしい
どんな幸運かは やってみてからのお楽しみ
手順はとても簡単で まずは道具を用意する
蝋燭、赤い紐、ライター、磁石、 粘土、水の入ったペットボトル、 昨日今日の日付けが書かれた新聞
蝋燭は白い物が好ましい
磁石はU字の物で、 ペットボトルはラベルを剥がしておく
新聞は切り抜いたりせず まるっと1部を用意すること
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みなみ
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みなみ
女の気の無い返事を聞きながら 男は蝋燭に赤い紐を巻き付けていく
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みなみ
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道具を用意したら 赤い紐を蝋燭の下の部分から 上に向かって巻き付ける
大体、蝋燭の半分くらいに 赤い紐を巻けたらOK
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男は粘土を袋から取り出して 形を整える事もせず そのまま蝋燭を粘土に突き刺した
取り出したばかりの粘土は硬く、 ぐぐっと力を込めて差し込む
蝋燭のおよそ1/3が埋まった所で 男はそっと手を離してみる
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みなみ
みなみ
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みなみ
紐が巻けたら粘土を用意する
粘土はどんな物でも大丈夫
好きに形を作って、 巻いた赤い紐が隠れるぐらい 蝋燭を粘土に差し込む
差し込んだ後、 手を離して蝋燭が倒れてしまったら このおまじないはお終い
その日は諦めて 次の日にまた挑戦すること
赤紐蝋燭は同じ日に 複数回行ってはいけない
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みなみ
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みなみ
ここから少し地味な作業になる
ハサミを渡された女は 丁寧に日付けの部分を切り抜いていく
その横で、 男はビリビリと素手で昨日の新聞の 日付け部分を切り取っていた
誰もいない部屋に 紙が裂かれる音だけが響く
これが意外と手間作業で、 2、3分は掛かってしまう
昨日の新聞と今日の新聞を それぞれ1部ずつ用意をする
新聞はどこのものでも構わないが 必ず同じ所の新聞で揃えること
用意した新聞の 日付けの部分だけを綺麗に切り抜く
切り抜く形は何でも良いけど、 日付けの文字に 切り込みが入らない様に気を付けること
切り込みが入ってしまったら おまじないはお終い
全てのページの日付けを切り抜いたら 昨日、今日、昨日、今日 と交互になるように重ねておく
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みなみ
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U字の磁石を机に置き、 その上に蝋燭を立てた粘土を置く
途中で蝋燭が倒れたら もちろんその時点で おまじないはお終い
同じ日に複数回行ってはいけない
このおまじないで 最も重要と言っても良いルールだ
____カツン____
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みなみ
みなみ
みなみ
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みなみ
倒れてしまった蝋燭を 男は再び粘土に突き刺す
今度はさっきよりも深く、 蝋燭も半分以上埋まる勢いだ
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みなみ
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女の冷た〜い視線を避ける様に 男はスイーッと女に背を向ける
いよいよ手順も終わりが見えてきた
2人は気楽に行っている風だが、 手順が進むにつれて体温が上がり 緊張しているのは 誰が見たって明白だった
過去に数回 検証に失敗しているものの、 男も女も都市伝説を まるっきり信じていない訳では無い
怖いもの見たさに 何度も検証を行ってしまうのだ
男はライターを手を取り、 ちゃんと火がつくのか確かめる
チャッとギアを回せば シュボッと力強く火はついた
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みなみ
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みなみ
みなみ
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それから少しだけ沈黙が続いた
黙っていても時間が過ぎていくだけ
2人は意を決して蝋燭に火をつける
次は蝋燭に火をつける
この時、風が吹いていないか 水が落ちてこないか 火が消える原因が無いか 充分に確認してから火をつけること
1度蝋燭に火をつけたら 蝋燭が全て燃えるまで 絶対に火を消してはならない
火が消えたらその時点で おまじないは失敗
火をつけた後は 蝋燭が倒れてもおまじないは失敗
新聞が破れたらおまじないは失敗
おまじないが失敗したら___
ぺぺ
みなみ
みなみ
みなみ
ぺぺ
ぺぺ
みなみ
少し冗談でも言っておかないと 震えて動けなくなりそうだった
火をつけた途端 2人の中には"恐怖"が生まれていた
喉の奥からじわじわと 這い上がって来るような 気持ちの悪い恐怖だ
蝋燭の火は順調に燃え輝き、 時折切なそうに揺れ動く
フッと一息吐いて男は女に視線を送る
ぺぺ
ぺぺ
みなみ
女も一息吐き、 蝋燭の火を見詰めながら 呪文の様な言葉を口にする
蝋燭に火をつけたら おまじないの呪文を唱える
一つ、火が消えると命が消える
一つ、火が消えると明日が消える
一つ、火が消える前に命を燃やせ
一つ、火が消える前に明日を掴め
呪文を唱える時は もちろん間違ってはいけないし 言葉に詰まってもいけない
正確に唱えられなかったら おまじないは失敗
みなみ
女の声は震えていた
目に見えない何かが迫っている感覚
それは男も同じだった
ぺぺ
この講義室はこんなにも暗かったか?
蝋燭の火を中心に見える部屋が 先程よりも暗く...いや、黒く見える
更に夜が深まったからなのか
恐怖から来る幻覚なのか
みなみ
蝋燭の火が揺らぐ度に 恐怖のゲージが上がっていく
もう、ここから一歩も動けないし
このまま時間が止まって 永遠をさ迷うのではないかと 考えてしまう
そんな事、あるわけないって 頭の片隅では思っている
だけど...あったとしたら?
ぺぺ
呪文を全て言い終わった
特に変わった事は起こっていない
蝋燭も変わらず のんびりと揺れているだけだ
心細くなった男は そっと女に手を差し出す
恐怖でパニックになりかけていた女は 何も言わずにその手を取った
ギュッと少し強めに繋がれた手は この真っ暗な空間で 唯一の救いの様に感じる
2人は声も出せないまま ただ燃えて溶けていく蝋燭を 見詰める事しか出来なかった
___ブヅッ___
何かが千切れる音がした時
私は黒い何かを見ました
何かが千切れる音がした時
俺は真っ暗な何かを見ました
火をつけたら 新聞の切り抜きを順番に燃やしていく
昨日、今日、昨日、今日
そして最後の1枚に 『明日』の日付けがあったなら
おまじないは大成功
あなたの大切な人に ささやかでも幸せが訪れるでしょう
もしも明日の日付けが無くても 最後まで燃やしたら おまじないはお終い
ここまでが"赤紐蝋燭"の手順となる
お終いだったら___
___マタ、アシタ...チョウセン...シ、テネ___
失敗だったら___
ーENDー
コメント
10件
なんか久しぶりの都市伝説、めっちゃ良かったです!!
都市伝説系、好きです!🐰✨✨ ありそうな感じがゾクゾクしました〜