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死にたい自分と生きたい君 (完結)

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死にたい自分と生きたい君 (完結)

4 - 死にたい自分と生きたい君 「過去」

♥

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2022年03月26日

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トントンの過去話

セイカ

それでは勉強の時間を終わります

セイカ

休憩時間は五分

セイカ

そしたら庭へ来なさい

スイ

はい、お母さま

昔の俺の名前はスイ

この名前だとこの時を思い出してしまうから名前を変えた

ここは城の中

俺はこの城の王子

そして、セイカは俺の母親だ

俺の能力はない

だから、お母さまは俺が周りに最低限舐められないように

育ててくれているんだと

そう思っていた

そしてこれが俺の「普通」でルールだった

セイカ

それではテストを始めます

セイカ

制限時間は一分

セイカ

始め!

ルールは簡単

この広い庭の中に隠されたボタンが5個ある

それを制限時間内に見つけるだけだ

ボタンは、水の中、木の上、隠し通路

どんなところにでも置いてある

隠し通路は問題を解かないとドアが開かないようになっている

ちなみに俺はまだ小学5年だった

スイ

っはぁ…はぁ…

セイカ

思考回路 90点

セイカ

運動神経 80点

セイカ

知識  100点

セイカ

前回よりも点数が下がっています

セイカ

次のテストの時には点数を上げれるよう練習しておくように

スイ

…はい、お母様

言葉遣い、姿勢、服装、全てが完璧でないとダメなのだ

フウ

お帰りにゃー

こいつは俺の勇逸の話し相手だった

どうやらフウはこの城から何らかの理由で出られないらしい

大人にはカメラでしか見えないが、子供は何もなしで見える

不思議な奴だった

スイ

ただいま

フウ

また怒られたのかニャ?

スイ

…うん

スイ

でも、僕が意地悪されないように

スイ

お母様は守ってくれているんだ

スイ

だから、僕のために怒ってくれているんだ

スイ

怒られても文句は言えないさ…

フウ

そうかにゃあ?

セイカ

…あの子がちゃんとしてくれないと私の評判が落ちる

セイカ

なんで能力が何もない子を産んでしまったのかしら

ドアの向こうから小さくつぶやく声が聞こえる

あんなことを言われたのは初めてだった

時には優しく、時には厳しかった母親に

フウ

…スイ、大丈夫かにゃあ?

俺は地面にうずくまった

流れそうな涙を隠すように。

スイ

フウ

スイ、ここから出たくないかニャ?

スイ

出れないよ、出ても怒られるし

フウ

外の世界に行ってみたくはないかにゃあ?

スイ

行ってはみたいけど…

フウ

スイの知識、運動神経、それなら外の世界に出れると思うにゃーよ?

スイ

本当?

フウ

本当だにゃぁよ

この時はまだこの部屋に窓があった

フウ

ついておいで

窓を開けて、夜風が部屋に入ってくる

フウの後を追うように俺も外に出る

フウ

さぁ、もうすぐだよ

スイ

ここ?

フウ

ここから出たら、もう外の世界にでる

フウ

スイの知識があったら生きていける

フウ

その小さな一歩を踏み出してみな

フウ

お前の普通が普通じゃなくなる

フウ

でも、怖がることはない

フウ

誰かがお前を守ってくれるさ

スイ

また会おう、フウ

フウ

いつかな?w

「王子様がいないです!」

「早く探し出せ!王子様が危険だ!」

フウ

俺は一仕事してくるかにゃあ

フウ

よいしょ

フウ

早く行きな

スイ

靴がボロボロになるまで遠くまで走った

明るく光る満月が俺を照らすように

俺の目は明るく輝いていた

ゾム

そこにいる奴は誰や?

スイ

狐?

ゾム

なんや、子供か

ゾム

でもここは町から遠いし、なんでここにいるん?

スイ

…走った

ゾム

うーん、いまいち分からんから取り合えず保護するか

ゾム

こっちおいで~

スイ

ゾム

見慣れからして結構いい服着てるけどなぁ

俺は、顔も知らない奴に手を握られて

そのままどこかへと連れていかれた

どうやら俺は走りすぎて家の2つ隣の国まで来ていたらしい

そのまま俺はここで暮らすことにした

友達は、いつもお金目当てで近寄ってきたから

遊んでも、仲良くしても楽しくなかった

でも、ここは違ったんや

俺を仲間だと思ってくれて、

俺が知らない色々なことを教えてくれた

だから俺は、名前を変えた

あの事を思い出さないために

大切な仲間からもらった名前

だからもうあいつとは出会わないと思っていた

思っていて、今日も平和な一日が終わるはずだったんだ

なのに…

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