杏
?
?
私の耳元から誰かの声がした
驚いてびくりと肩を震わせる
?
その人はぱっと私を離した
杏
全身に力が入らないため、 重力に逆らえずに崩れ落ちる
?
グイッ
杏
身体が地面に打ちつけられる ギリギリで再び引き寄せられた
?
杏
杏
まふゆ
まふゆ
朝比奈さんはそう言って ふわりと微笑んだ
?
後ろから、優しくて柔らかい 声が聞こえた
顔を向けると、こちらに メイスを差し出している 雫さんが立っていた
左手には弓を持っている
杏
まふゆ
雫
私は雫さんからメイスを 受け取ろうとした
まふゆ
杏
杏
まふゆ
朝比奈さんに お姫様抱っこをされた
お姫様抱っこを………、、、
杏
まふゆ
雫
まふゆ
まふゆ
杏
ひとつの木下に下ろしてもらい、 雫さんからメイスを受け取った
そのまま木にもたれかかる
雫
雫さんがさっきまで怪獣が いたところに視線を向けた
つられて私たちも視線を動かす
雫
まふゆ
まふゆ
まふゆ
雫
杏
杏
……矢だけで、さっきの奴が 消えたってこと……?
雫
杏
雫
まふゆ
ふと、朝比奈さんが 道の奥の方を指差した
まふゆ
まふゆ
杏
まふゆ
まふゆ
雫
杏
雫
杏
まふゆ
雫
……ふたりが責めることじゃない
あの時、朝比奈さんと雫さんが 来てくれなかったら、私は……
杏
私は重苦しい雰囲気を壊すように 明るい声を出した
急に声色を変えた私に、 ふたりは目を丸くする
杏
杏
杏
まふゆ
雫
雫さんが柔らかく微笑んだ
破壊力がすごい
まふゆ
まふゆ
杏
“頼って”
“仲間”
本来ならば嬉しいはずの 言葉だった
ただ、今の私には…………
……一番頼れる、仲間がいない
杏
私はわざと声を明るくした
しかし、そんな私を ふたりは変に思ったらしい
杏
雫
まふゆ
朝比奈さんの言葉に、 若干の間が入った
雫
雫
杏
これは……無理って言うのかな
まふゆ
まふゆ
杏
…言うべきなのかな………
……そうだよね
“仲間”だもんね
杏
杏
ガサッズザザッ
雫·杏·まふゆ
私の右側、離れたところから、 誰かが道に放り出された
その人は木に身体を 打ちつけられ、 そのまま地面に崩れ落ちる
杏
雫·杏
私と雫さんは 同時に駆け出した
全身がまだ痛むのを無視して、 荒い息をしている 天馬先輩の元へ走る
まふゆ
杏
杏
雫
近くまで駆け寄ると、 天馬先輩がゆっくりと顔を上げた
何かを話そうとしたのか 小さく口を動かしたが、
司
声に出すことはなく、 表情を歪ませる
まふゆ
今まで口を噤んでいた 朝比奈さんが息を呑んだような 音が小さく聞こえた
そして、
まふゆ
私たちを背に隠し、 何かから守るようにして 目の前にサッと立った
朝比奈さんは 木の奥の一点を睨んだ
杏
__ガサッ
雫·杏
朝比奈さんの視線の先に、 再び影が現れた
その影は、フード付きの 真っ黒なローブを身に着けている
フードに隠れて目は見えないが、 少し幼気な顔つきに見える
まふゆ
朝比奈さんが 私たちを庇うように ばっと両手を広げた
まふゆ
低く言い放たれたその一言に、 ローブの子はぴくりと 肩を震わせた
ローブの子
その子は小さく首を横に振った
そしてまっすぐに右腕を上げ、 人差し指を伸ばす
その先は__
まふゆ
ベルトの銃に右手をかけた 朝比奈さんだった
…………いや、
司
その後ろにいる 天馬先輩かもしれない
どちらにせよ、私と雫さんは 狙いではないということを たった一つの動作で示された
まふゆ
片手銃を取り出した朝比奈さんは 銃口をローブの子に向けた
雫
ローブの子
ローブの子は変わらずに 指先をこちらに向けていた
ローブの子
パァンッ!!!
すぐそばで銃声が鳴り響いた
その先を見た
まふゆ
杏
影は消えていた
雫
まふゆ
次の瞬間、
ローブの子
朝比奈さんの目前に、 光に包まれて ローブの子が現れた
まふゆ
ローブの子は 朝比奈さんの足をすくい上げる
ドサッ
バランスを崩した朝比奈さんは、 そのまま尻餅をついた
杏
私は反射的に 朝比奈さんの前に立った
メイスを盾にするように構える
ローブの子
杏
そう言って睨みつけると ローブの子は小さく口角を上げた
ローブの子
それでもなお、 言葉を発することはしない
まふゆ
雫
雫さんがローブの子に 問いかける
ローブの子
その子は口角を上げたまま 首を横に振り、
そのまま右脚を少しだけ 後ろへ下げた
その一瞬_
杏
ローブの子は再び姿を消した
辺りを見渡すと、 後ろに風を感じた
振り返った先は…
ローブの子
司
横から蹴飛ばされた 天馬先輩だった
ズザザッ
まふゆ
雫
ローブの子
ローブの子は隙を与えず、 朝比奈さんの目の前に立った
まふゆ
ローブの子
ダンッ
まふゆ
蹴られた朝比奈さんは、 地面を転がった
杏
雫さんとアイコンタクトを取り、 朝比奈さんの元へ走る
雫さんは天馬先輩の方へ走った
まふゆ
杏
まふゆ
まふゆ
朝比奈さんの一言にはっとし、 慌てて辺りを見渡した
が……
杏
杏
影は見当たらなかった
まふゆ
朝比奈さんがゆっくりと 起き上がった
杏
まふゆ
杏
朝比奈さんと共に 二人の元へ走る
雫
司
雫さんの後ろで 踞った体制の天馬先輩が 朝比奈さんへ問いかけた
まふゆ
まふゆ
困ったように朝比奈さんが言った
司
司
木に手をつきながら 立ち上がった天馬先輩は、 お腹を抑えて僅かによろめく
司
雫
まふゆ
司
杏
司
木にもたれかかった 天馬先輩を横目に、私は 朝比奈さんに目を向けた
杏
まふゆ
雫
杏
杏
まふゆ
私たちの言葉に 目を丸くした朝比奈さんは、 眉を下げて微笑んだ
まふゆ
朝比奈さんも座ったのを確認し、 私の目は自然と雫さんに向いた
雫
杏
雫さんと顔を合わせて頷き、 ふたりを挟むように座る
もちろん、武器は 構えたままで
司
左隣から、小さな ため息が聞こえた
司
静かに自嘲するような言葉は、 私たちの耳にしっかりと届いた
杏
私はあえて話題をそらす
ここであの言葉を否定したら、 彼は余計に自分を 責めてしまいそうだから
雫さんと朝比奈さんも、 複雑そうな顔をしていた
司
雫
司
杏
司
コメント
4件
ふぁああああ!!!!!!!今日も今日とて最高です!!!!!!! プロセカってすっごいキャラ数いるのにちゃんと個性を出し切れてるところとかほんと尊敬します……!!!!!!!