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ちょい百合2

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ちょい百合2

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2019年06月18日

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しおりのいい所は、前回会った時に何となく気まずい感じで別れたとしても、翌日には何も無かったかのように明るく振舞ってくれるところだ。

しおり

でもさぁ!そうたくんと別れたその足で、城山先輩に告りにいくなんて、かなも勇気あるよねー!

ゆうな

うん、そうだね

しおり

もうー!ゆうなってばさっきから返事がうわの空!もっとさぁ、喜んでよー!

正直、かなが彼氏と別れて、新しい彼氏がすぐに出来て、しかもそれが私としおりが一芝居打ったのがきっかけで、っていうのがすべてどうでもよかった。何と言うか、「恋愛」自体がよく分からない。高校2年にもなるのに、異性と交際したことも無いし、ましてや片思いすらもしたことがない。

そういえば、しおりには彼氏はいるのだろうか

ゆうな

ねえしおりさぁ

しおり

ん?なになに?

ゆうな

しおりって、彼氏いるの?

しおり

えー!急に何聞くのー!もうびっくりするじゃーん!

と、ここでタイミング良く一限目を告げる予鈴が鳴った。

しおり

あ、一限目始まっちゃうね!じゃ、またね!ゆうな

半分はぐらかすかのように、相変わらず廊下をダッシュするしおり。その向こうからはまたも臼井先生の怒鳴り声が聞こえる。

放課後。 いつものように、しおりが駆け寄って来る。

しおり

ゆうな!一緒に帰ろー!

ゆうな

うん、いいよ、一緒に帰ろ

朝の質問、つまりしおりに彼氏にいるかどうかについては、忘れてしまったかのような態度のしおり。しかし

しおり

ねえねえ、今朝さ、彼氏いるかってゆうな聞いてきたじゃん?
私、いないよー!

ゆうな

え?そうなの?

しおり

うん、いない。今まで、彼氏とか出来たことないしー!

ゆうな

うそ!意外!

しおり

意外ってなんだよー!こう見えてウブなんだからねっ

しおりは学年の中でもトップに入るくらい美人だし、明るい性格もあって男子からも人気があった。当然彼氏くらいいると思っていただけに、かなり意外だった。

しおり

なんかね、かなと城山先輩がくっついて嬉しいって気持ちはあるんだけど、いざ自分はどうかってなるとさ、よくわかんないんだよね。レンアイカンジョーとか?

ゆうな

へぇー...

驚いた。しおりも私と同じような感じだったとは。

しおり

だからね、告られてもわたしにはそんな気持ちないからって、いっつも断ってたんだー。

ゆうな

ゆうな

えっ、もったいないよ!

しおり

もったいないって?何が?

ゆうな

え、えっと...

「もったいない」それは少なくとも二つの意味があった。ひとつは、せっかく好意を持って告白してくれている人がいるのに、無下に断ってしまうしおりの態度。もうひとつは、こんなに美人なしおりに彼氏がいないということ。

私は、その瞬間言い知れぬ胸の疼きを感じた。何故かわからない。胸が苦しくて苦しくて、たまらないのだ。

しおり

ゆうな?大丈夫?

ゆうな

あ、うん...大丈夫...

しおり

顔色悪いよ?少しそこの公園で休もうか

しおりに腕を支えられ、すぐそばの公園へ入った。なんとなく「しおり、腕柔らかいな」とふと思った。木陰に備えられたベンチに並んで座ると、しおりがおもむろに駆け出した。

しおり

はいっ、これ飲んで。少し気分が落ち着くかも

ゆうな

あ、ありがと

しおりは、近くの自動販売機でスポーツドリンクを買ってきてくれた。それを飲んで少し公園内を眺めてゆっくりしていたら、だんだんと胸の苦しさが落ち着いてきた。気づけば、しおりはずっと私の背中をさすってくれていた。

しおり

大丈夫?ゆうな。だんだん顔色良くなってきたね

ゆうな

うん、ありがとう。落ち着いてきたかも

しおり

ここ最近、暑かったからね。体調くずしちゃったかもね

ゆうな

うん、そうかも。でも、もう大丈夫。

しおり

そっか、良かった!ゆうなが元気ないと、私も元気ないから!

ゆうな

何それー笑

そのまま公園をあとにし、いつものように私鉄の駅まで歩き出した。いつもならしおりは二駅先の駅で降り、私はそこからさらに三駅先で降りて帰る。

しおり

ね、ゆうな一人で家まで帰れる?

ゆうな

うん、もう大丈夫だよ

しおり

ほんとにー?心配なんですけどー

ゆうな

もう、子供じゃないんだから、大丈夫だって

しおり

んー...あ!ねぇ、心配だからさ、ゆうなの家まで送って行くよ!

ゆうな

え!いいよ、しおりの家から遠くなっちゃうじゃん

しおり

いいのいいの!それともあれ?ご両親厳しくて家に友達呼ばないで欲しいとかいう感じ?

ゆうな

いや、そんなことないけど...

しおり

じゃ、送ってく!任せて!

うちの両親は厳しいどころか、どんどん友達を連れてきなさいというスタンス。それどころか、今日はお父さんは出張、お母さんは町内会の打ち合わせで夜遅くなるとかで、二人ともいない。4つ上の姉は、大学進学とともに実家を出てるから、実質今日は家には誰もいない。

そんなこんなで、しおりが家まで送ってくれることになった。

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