｛wrwrd｝叶わない恋の行く先

病気になって2週間が経過した

体調も安定して楽しい学校生活を送っている

部活にも復帰することができて今が一番楽しい

胡桃が席に立って1人になってしまったが

このお店は本当に雰囲気が良かった

とても安心できて…不思議な気持ち

そう思って窓からの景色を眺めていると…

と、声をかけられた

誰だろうと思って見てみると

清楚って感じの人だった

胡桃の知り合いだろうか…

間違われる事はたくさんあったから こういうときは

心臓がﾄﾞｸﾝと音を鳴らした

チーノ君が、そこにいた

チーノ君と清楚な女の子は腕を組んで仲良さそうにしていた

行動の一つ一つが丁寧で可愛い…というよりキレイな女の人で

私とは比べ物にならないくらいチーノ君とお似合いだった

顔色も変えず、今まで通りに話しかけられ 一瞬戸惑った

あぁ…彼はもう、恋人だった時の彼じゃないんだと確信して

また傷ついた

でも悟られたくないから 平然を装って

前のように接した

ナイスタイミング胡桃！

ビクッ…

体が電気が走ったみたいに止まって、息を飲んだ

必死に笑顔を作ってチーノ君の方を向いた

チーノ君は怒ったような、悲しいような表情をうかべて

何かを言いたげに口をパクパクとした

そう言って美咲ちゃんの方に目線を向けたあと

チーノ君は 何もなかったかのように自然な態度になっていた

お店を出たあと、成海ちゃんは怒っているような感じで

胡桃はこれ以上ないほど気まずかった

……どうして？

どうしてそんなこと聞く必要があるの？

だってもう恋人同士じゃないんだよね それなら… 別にそれを聞いても成海ちゃんには関係ないよね

でも成海ちゃんはまだチーノ君が好きだから

気になるのは…仕方ない、よね

なんだろう、さっきからずっと モヤモヤしたりチクチクしたり

こんな感情は初めて…？

いや、違う これはずっと…ずーーっと前からこの感情があった

でもそれが何を表してるのか分からなくて…分かろうとしても、言葉に表せなくて もどかしい

この感情は…

少し前から胡桃の元気がないことは分かっていた

…私達が別れてから

その時期に、胡桃も元気がなくなった

私とチーノ君がつき合えたのは胡桃のおかげ だったから…別れたって言うときはとても辛かった

そんなことを考えてるうちに私は…

ポロッと言葉に出てしまった

「なんだか胡桃には申し訳ないな…」

なにそれ…

どういう意味の申し訳ない？

胡桃が成海ちゃんのために衣食住を用意してあげていること？

成海ちゃんの病気を看病してあげていること？

チーノ君をゆずったこと？

胡桃は今まで1番に成海ちゃんを考えていた

どんなに学校が忙しくても、辛くても

成海ちゃんを見るとすぐに元気になって

あぁ、胡桃は本当に成海ちゃんが大好きなんだって

そう思うことができた

だけど今は違う

成海ちゃんの顔も声も、見たくもないし聞きたくもなかった

あ…

胡桃は、

胡桃はずっと、

成海ちゃんに 怒っていたんだ