いつか君が還る場所

院内も広く、土日なのでザワザワとしている。

周りからつけられるジロジロという目線が痛い。

携帯は持ってきていないので、特に何もすることが出来ずぼうっと天井を見つめる。

横を見ると隣におばあちゃんが座っていて、笑っている。 どこか懐かしい感じがした。

〝何とかなる、何とかする、大丈夫！〟

小さい頃に、私は祖母を亡くした。祖父は産まれる前から両方亡くしていた。 その祖母に会う度に言われていた言葉

この言葉は私にとって辛いときのおまじないだった。

一瞬だった。振り返るともう、おばあちゃんの姿はなかった。

ただ最後に 〝頑張って〟 と声だけ聞こえた気がした。

そっと千鶴さんの手に、手を添える。

憂一郎が、優しく千鶴さんのお腹を撫でる

そしてこれまでに見たことの無い、覚悟と希望に満ちた表情。

全て が 順 調 に

心臓を思いっきり締め付けられたような 激痛が全身に走り そのまま私は

気絶した。

ここはどこなんだろう。

暗く、生温くてどこか懐かしく心地いい…

まるで羊水の中にいるようだ。

下の方から、何やら金属音が聞こえてきて

ズブリ と銀色に光る何かが侵入してきた。

何かわからないけど、生理的に嫌な感じがする。

心拍が上がり、クラクラする。

銀色に足を掴まれ、割かれそうになる。

どれだけ抵抗しても離れない。 それどころかどんどん深く刺さっていく。

下から差し込む光は、まるで私を排除するかのようだった。

痛みが限界に達したと思いきや、意識が切れた。