テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
注意 御本人様とは全く関係ありません。 地雷様おかえりくださいませ。 通報御遠慮ください。
初連載です。
赤side 真っ青に済んだ空の下に 誰よりも真っ直ぐに走る姿に 一瞬で恋をした。 でも好きになってはいけない人だった。 分かってるのに、諦めきれない。 生まれて初めてのどうしようもない"好き"だった。 こんなに、こんなに大切なのにどうして俺はあなたを傷つけてしまうんだろう。 こんなに、こんなに好きなのに、どうして俺は君のとなりにいられないんだろう。 彼と出会って俺は、友情の苦しさと、恋の痛みを知った。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 『赤、?一緒に自販機行こ~』 教科書を鞄に入れて帰り支度をしていると 親友の黄くんが近づいてきた。 俺は『うん』とうなずいて席を立った。 放課後の喧騒の中を歩き、生徒玄関の階段を下りてしばらく行ったところにある自販機に向かう。 階段の先にはグラウンドがあって、 すでに部活が集まっていた。 野球部、サッカー部、テニス部、そして陸上部。 自販機の前まで来て 特に飲みたいものはなかったけど 俺だけ買わない訳にもいかないので、 紙パックのいちごミルクを選んだ。 『あ、赤。またいつもの買ってる。 美味しいの?』 『味は普通。 なんとなく、気になるというか。』 『へ~w』 俺たちはグラウンドの横を通って、 教室練に戻る階段へと向かう。 前を歩く黄は、目を奪われたようにグラウンドの方を見つめていた。 それから足を止めて 『ごめん、ちょっと見てもいい?』 黄が唐突に恥ずかしそうに言った。 一瞬『は?』とは思ったけど 俺はすんなり受け入れた。 『いいよ、なんかあるの?』 『いや、、ちょっと。』 そう言いながら黄と俺はグラウンドを取り囲むフェンスの前に立った。 その目がうっとりと校庭の片隅を見つめている。 その横顔を見ながら俺は 恋する人の目だ と思った。 『あ~。やっぱかっこいい。。』 黄は小さく叫んだ。 いつもの黄じゃない? と思ったけど 次の瞬間それが分かったような気がした。 ただ真っ青だった俺の視界に、彼が入ってきた。 伸びやかな背中をすっと伸ばし 綺麗に真っ直ぐ、走っていく彼の姿。 そのまま羽ばたいて空の彼方へ飛んでいってしまいそうに見えた。 俺は目を大きく目を見開き、息を呑んだ。 心臓が一瞬止まった気がした。 目も心も全て奪われて、俺のものではなくなった。 スローモーションで真っ直ぐ走っていく彼の姿を無意識に目で追い、見つめ続けた。 なんて綺麗なんだろう。 何も言えずに、ただひたすら感動していた。 恋に落ちた、と俺は自覚した。 一目惚れなんてありえない、 と思っていたのに、 俺は彼を初めて見た瞬間に、彼のことを好きになってしまったのだ。 そして、次の瞬間には、失恋した。 『あれがね、僕の好きな人。』 隣で囁く黄の言葉が耳に入った瞬間に、 俺はひっそりとその恋を終わらせた。 彼の姿から目を背けて、 もう二度と見ない、 と心に決めた。
~~続く~~
コメント
1件
フォロー失礼します