亮平
あれ、これはまずい気が……。
ジェシー
「あー、ゴホンッ、じゃ、じゃー俺ら
、先に外で待ってるっす」
、先に外で待ってるっす」
亮平
ジェシーさんもそれに気づいたのか、
わざとらしく咳をしてそそくさと
みんなを連れて出ていった。
わざとらしく咳をしてそそくさと
みんなを連れて出ていった。
涼太
「亮平、ちゃんと着こめ」
亮平
涼太さんはそう言って、コートを僕に
ポイッと投げた。
よかった、涼太さんの怒りが爆発しなく
て。
ポイッと投げた。
よかった、涼太さんの怒りが爆発しなく
て。
亮平
「あのー、こんなに着こまないとダメ
ですか?」
ですか?」
亮平
涼太さんに渡された冬物のコートを見つ
める。
まだ10月だし、ここまで着こむほどの
寒さじゃない。まぁ、もう日も沈んだ
から寒いかもしれないけど。
める。
まだ10月だし、ここまで着こむほどの
寒さじゃない。まぁ、もう日も沈んだ
から寒いかもしれないけど。
涼太
「バイクに乗ってると、風邪が冷たい」
涼太
「風邪でも引いたら困る」
亮平
そう言って、涼太さんは自分の準備
なんてそっちのけで僕の手に手袋を
つけていく。
涼太さん無表情だけど、世話好きだよね
心配性だし、すごく……。
あの日、広い世界の中、当てもなくさま
よっていた僕のことを見つけてくれた。
涼太さんが見つけてくれてなかったら、
今頃どうなってたんだろう……。
ひとり、不安に震えていたかもしれない
……。
なんてそっちのけで僕の手に手袋を
つけていく。
涼太さん無表情だけど、世話好きだよね
心配性だし、すごく……。
あの日、広い世界の中、当てもなくさま
よっていた僕のことを見つけてくれた。
涼太さんが見つけてくれてなかったら、
今頃どうなってたんだろう……。
ひとり、不安に震えていたかもしれない
……。
亮平
「……優しいですよね、涼太さんは」
亮平
手袋まで甲斐甲斐(かいがい)しく
つけてくれる涼太さんに、僕は小さく
笑う。
すると、涼太さんは困ったように笑った
つけてくれる涼太さんに、僕は小さく
笑う。
すると、涼太さんは困ったように笑った
涼太
「お前くらいだ、この俺にそんな事言うのは」
亮平
「そうなんですか?」
涼太
「あぁ」
亮平
そう言って涼太さんは黒い革のジャケットを羽織る。
それは、涼太さんが暴走族の総長だから?
最初は、無表情だし、言葉数も多いほう
じゃないし、あげく暴走族の総長ってだけ
で怖かったけど……。
僕はすぐに涼太さんは言葉で語らない分
、心配そうな目をしたり、さりげなく頭
をなでてくれたり、涙を拭ってくれたり…
行動に示してくれるから。
それは、涼太さんが暴走族の総長だから?
最初は、無表情だし、言葉数も多いほう
じゃないし、あげく暴走族の総長ってだけ
で怖かったけど……。
僕はすぐに涼太さんは言葉で語らない分
、心配そうな目をしたり、さりげなく頭
をなでてくれたり、涙を拭ってくれたり…
行動に示してくれるから。
涼太
「亮平、ボーッとするな」
亮平
先に靴を履いて玄関で待っている涼太
さんに、慌てて駆けよる。
さんに、慌てて駆けよる。
亮平
涼太さんの優しいところは、僕が知って
ますからね。
いつか教えてあげよう。
涼太さんが、どれだけ僕の心を救って
くれたか。
ますからね。
いつか教えてあげよう。
涼太さんが、どれだけ僕の心を救って
くれたか。
亮平
「おまたせ」
涼太
「行くぞ」
亮平
そう言って歩きだす涼太さんにくっつい
て、家を出る。
―ブロロロロッ!!
マンションの前には、さっき家に来た
4人も含めざっと15人ほどのバイク集団が
集まっていた。
なんというかすごい光景だった。
圧倒されていると、カポッと頭からヘル
メットを被せられた。
て、家を出る。
―ブロロロロッ!!
マンションの前には、さっき家に来た
4人も含めざっと15人ほどのバイク集団が
集まっていた。
なんというかすごい光景だった。
圧倒されていると、カポッと頭からヘル
メットを被せられた。
涼太
「乗れ」
亮平
そう言って、先にバイクにまたがる涼太
さん。
僕もその後ろにまたがって、前に乗った
時みたいに涼太さんの腰に手を回した。
―ブロロロロッ、ブンブンブーンッ!!
けたたましいエンジン音とともに、
バイクがゾロゾロと走りだす。
顔をあげれば、茜空の向こうに、
うっすらと星が顔を出している。そして
また見つけられた一番星にうれしくなっ
て涼太さんの背中に頬を寄せた。
ブオオオオッと、風が私たちの服をバタバタと
揺らす。
並列しているなんて、ダメなことだと思う
のに、今はそれすらどうでもよく思える
くらいの解放感に包まれていた。
まるで、自分が風になったみたいで、嫌な
ことも全部忘れられる気がした。
さん。
僕もその後ろにまたがって、前に乗った
時みたいに涼太さんの腰に手を回した。
―ブロロロロッ、ブンブンブーンッ!!
けたたましいエンジン音とともに、
バイクがゾロゾロと走りだす。
顔をあげれば、茜空の向こうに、
うっすらと星が顔を出している。そして
また見つけられた一番星にうれしくなっ
て涼太さんの背中に頬を寄せた。
ブオオオオッと、風が私たちの服をバタバタと
揺らす。
並列しているなんて、ダメなことだと思う
のに、今はそれすらどうでもよく思える
くらいの解放感に包まれていた。
まるで、自分が風になったみたいで、嫌な
ことも全部忘れられる気がした。
亮平
「潮の匂いだ……」
亮平
しばらく走ると、涼太さんは速度を落と
した。
した。
亮平
風の音が小さくなったのを見計らって、僕
は「涼太さんっ!!」と声をかけた。
は「涼太さんっ!!」と声をかけた。
涼太
「体は大丈夫か」
亮平
「うんっむしろ元気になったみたい!」
亮平
こんな風に、どこか知らない場所に来ら
れたことが、あの息苦しい世界から抜け
だせたみたいで……。
はじめて息をしている、生きていると
思えた。
れたことが、あの息苦しい世界から抜け
だせたみたいで……。
はじめて息をしている、生きていると
思えた。
涼太
「はしゃぐな……落ちるぞ」
亮平
「はぁーい」
亮平
涼太さんの背中にギュッとしがみつけば
涼太さんの匂いがする。
あぁ、なんでこの人のそばはこんなにも
落ち着くんだろう。
涼太さんの匂いがする。
あぁ、なんでこの人のそばはこんなにも
落ち着くんだろう。
亮平
守られてるって感じるんだ。
亮平
しばらくして港に着くと、僕たちは
バイクを降りて、目の前の倉庫のような
場所へと向かう。
中に入れば、どうしてこんなところに?
と目を疑いたくなるような光景が広がっ
ていた。
ソファやテーブル、テレビまで揃って
いる。
綺麗な部屋……とまでは言えないけど、
かなり広いリビングみたい。
バイクを降りて、目の前の倉庫のような
場所へと向かう。
中に入れば、どうしてこんなところに?
と目を疑いたくなるような光景が広がっ
ていた。
ソファやテーブル、テレビまで揃って
いる。
綺麗な部屋……とまでは言えないけど、
かなり広いリビングみたい。
涼太
「亮平、ここに来い」
亮平
そう言って、涼太さんはソファにドカッ
と座ると、隣をポンッとたたいた。
と座ると、隣をポンッとたたいた。
亮平
「うん」
亮平
涼太さんの隣にちょこんと腰をかける
と、涼太さんは足を組んで、パンッと
両手をたたいた。
その瞬間みんなが涼太さんの座るソファ
を囲んでバッと頭を下げる。
と、涼太さんは足を組んで、パンッと
両手をたたいた。
その瞬間みんなが涼太さんの座るソファ
を囲んでバッと頭を下げる。
亮平
「わぁ!」
亮平
その勢いに僕はつい、驚きの声をあげて
しまった。
あ、知らない人たちもいる。
さっき一緒に来た人たちとは違うメンバ
ーだ。涼太さんはそんな僕の声を気にす
る様子もなく、ゆっくりと口を開く。
しまった。
あ、知らない人たちもいる。
さっき一緒に来た人たちとは違うメンバ
ーだ。涼太さんはそんな僕の声を気にす
る様子もなく、ゆっくりと口を開く。
涼太
「……狼牙の総長、宮舘涼太の大事な
男だ」
男だ」
涼太
「絶対に傷つくことがねぇように、守
るべき存在だと心に刻め、いいな?」
るべき存在だと心に刻め、いいな?」
狼牙の全員
「「「うっす!!」」」
亮平
こんな風に涼太さんに紹介してもらえる
なんて、思ってもみなかった。
なんか認められたみたいでうれしい…。
なんて、思ってもみなかった。
なんか認められたみたいでうれしい…。
亮平
「あらためて、よろしくお願いします」
亮平
僕は立ち上がって、ペコリと頭を下げる
すると、みんなが暖かい目で僕を見つめ
ていることに気づいて、なんだか照れく
さくなった。
困って涼太さんを見ると、涼太さんまで
同じような目で見てくるから、僕は両手
で顔を覆(おお)うしかなくなっていた。
すると、みんなが暖かい目で僕を見つめ
ていることに気づいて、なんだか照れく
さくなった。
困って涼太さんを見ると、涼太さんまで
同じような目で見てくるから、僕は両手
で顔を覆(おお)うしかなくなっていた。
狼牙A
「総長、総長の男だとわかったら、」
狼牙A
「紅嵐(くらん)が黙っていないんじゃ
ないっすか?」
ないっすか?」
涼太
「そうだな……」
涼太
「俺らがここら辺を制圧してからは、
だいぶおとなしくなったが……」
だいぶおとなしくなったが……」
亮平
…………紅嵐?
亮平
聞きなれない言葉に、僕は首を傾げる。
ジェシー
「紅嵐のヤツらは俺らがここを縄張り
にする前にのさばってた族のことっす」
にする前にのさばってた族のことっす」
亮平
そんな僕に気づいてか、ジェシーさんが
コソッと教えてくれた。
族って、たくさんいるんだ……。
コソッと教えてくれた。
族って、たくさんいるんだ……。
狼牙A
「総長がここら辺一帯を治めるように」
狼牙A
「なってからだいぶ治安がよくなった
んすよ」
んすよ」
亮平
「へぇ……」
亮平
他の仲間の人がそう教えてくれる。
狼牙A
「俺たちは昔の、ただ人に迷惑かける
ような族じゃないっす」
ような族じゃないっす」
狼牙B
「ここら辺がほかの族に荒らされない
ようにまもってるんだぜ」
ようにまもってるんだぜ」
狼牙C
「そんな総長を俺らは尊敬してるし、
どこまでもついて行くって決めてるっ
す」
どこまでもついて行くって決めてるっ
す」
亮平
狼牙のみんなから聞く涼太さんの話に、
僕までが鼻が高くなる思いだった。
涼太さんが、どれだけみんなに慕われて
いたのかがわかる。
やっぱり、涼太さんはすごい。
僕までが鼻が高くなる思いだった。
涼太さんが、どれだけみんなに慕われて
いたのかがわかる。
やっぱり、涼太さんはすごい。
涼太
「亮平、お前はあんまり俺から離れるな」
涼太
「そばにいれば安全だ。」
亮平
「うん……」
亮平
゙俺から離れるな゙
亮平
その言葉に胸がときめいた
狼牙C
「総長の隣ほど安全なところはねぇか
らな」
らな」
狼牙B
「たしかに!!」
亮平
そう言ってみんなが笑った。
涼太
「俺からは以上だ、好きに過ごせ」
亮平
涼太さんの一言で、バッとみんなが散る。
亮平
お菓子を出したり、トランプを手に個々
で好きなことを始めた。
で好きなことを始めた。
狼牙A
「亮平さん、トランプやりましょーよ」
亮平
「えっ」
亮平
すると、トランプを手にソファの周りに
わらわらとみんなが集まってくる。
あっという間に、僕と涼太さんは囲まれ
てしまった。
また、トランプ……。
暴走族って怖いイメージしかなかったけ
ど、トランプとかやるんだ。
ちょっと意外……。
みんなノリノリだし、トランプ好きなの
かな?
わらわらとみんなが集まってくる。
あっという間に、僕と涼太さんは囲まれ
てしまった。
また、トランプ……。
暴走族って怖いイメージしかなかったけ
ど、トランプとかやるんだ。
ちょっと意外……。
みんなノリノリだし、トランプ好きなの
かな?
ジェシー
「総長は強制参加っすよ」
涼太
「おい……」
亮平
ジェシーさんから、強制参加通告を受け
る涼太さん。
げんなりした顔をしているのに、毎度の
ことなのか、諦めた様子でトランプを
受け取っている。、
なんとなく、人の多い場所が苦手そうな
涼太さんが、みんなのそばにいる理由
がわかる気がした。
ここのみんなは、涼太さんを怖がらない
し、裏がない。
素直で、まっすぐなんだ……。
る涼太さん。
げんなりした顔をしているのに、毎度の
ことなのか、諦めた様子でトランプを
受け取っている。、
なんとなく、人の多い場所が苦手そうな
涼太さんが、みんなのそばにいる理由
がわかる気がした。
ここのみんなは、涼太さんを怖がらない
し、裏がない。
素直で、まっすぐなんだ……。
樹
「じゃあ、ババ抜き初めっぞ!!」
狼牙でトランプやる人達
「「「ォーッ!!」」」
亮平
ただのババ抜きなのに、声を揃えて叫ぶ
みんなに、なんだかおかしくなってしま
った。
それから終始笑いながら、ババ抜きして
いるとあっという間に時間は過ぎ、時計の
針は8時を指している。
みんなに、なんだかおかしくなってしま
った。
それから終始笑いながら、ババ抜きして
いるとあっという間に時間は過ぎ、時計の
針は8時を指している。
涼太
「亮平、そろそろ帰るぞ」
亮平
「え?」
亮平
ババ抜き大会3戦目に参加していた僕は
ジェシーさんからカードをひいたところ
で涼太さんに声をかけられた。
ジェシーさんからカードをひいたところ
で涼太さんに声をかけられた。
涼太
「帰って、飯食って寝る時間だ。」
亮平
「はぁい」
亮平
まるでお母さんみたいな物言いに、僕は
小さく笑ってうなずく。
小さく笑ってうなずく。
涼太
「来い、亮平」
亮平
立ちあがると、涼太さんは僕の手にまた
手袋をつけてくれた。
手袋をつけてくれた。
亮平
「ありがとう、涼太さん」
涼太
「体は大丈夫か?」
亮平
「うん、大丈夫だよ」
涼太
「そうか……」
亮平
言葉は少ないけれど涼太さんの顔がホッ
としたのがわかった。
涼太さん、心配性だな……。
そして、僕達は狼牙のみんなを振り返る。
としたのがわかった。
涼太さん、心配性だな……。
そして、僕達は狼牙のみんなを振り返る。
涼太
「ジェシー、見回り強化しとけ」
ジェシー
「うっす!」
亮平
涼太さんはジェシーさんにそう指示を
出して肩をポンっとたたく。
それだけで涼太さんがジェシーさんを
1番頼りにしているのがわかった。
出して肩をポンっとたたく。
それだけで涼太さんがジェシーさんを
1番頼りにしているのがわかった。
慎太郎
「また、遊びにきてくださいっす、
亮平さん」
亮平さん」
樹
「今度は夜通しでババ抜きやろーぜ!!」
ジェシー
「もう、ババ抜きはいいだろ!」
ジェシー
「でも、亮平さんは大歓迎!!」
こーち
「亮平さん、手料理また食べたいっす」
亮平
みんなが僕たちに手を振りながら見送っ
てくれる。
てくれる。
亮平
「はいっ!!」
亮平
ここに、僕の居場所を見つけた気がした
またここへ来て僕を待ってくれている
人たちがいる。
僕の病気のことを知らないからこそ、
自然に接してくれる。
それが、僕の気持ちを軽くしてくれた。
またここへ来て僕を待ってくれている
人たちがいる。
僕の病気のことを知らないからこそ、
自然に接してくれる。
それが、僕の気持ちを軽くしてくれた。
亮平
―ガチャン。(ドアを開ける音)
亮平
「ただいまー」
亮平
家に帰ってくると、僕は誰もいない部屋
にそう声をかけた。
にそう声をかけた。
涼太
「誰もいないのにか?」
亮平
不思議そうな顔で、涼太さんが僕を見つ
めてくる。
めてくる。
亮平
「今は、僕がいるから、ちゃんと言い
たかったの。おかえりなさい涼太さん」
たかったの。おかえりなさい涼太さん」
涼太
「……ただいま。亮平、おかえり」







