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最高👍
あの夏が飽和するだね
あの夏が飽和する!
わかな
きみはそう言っていた
梅雨時ずぶ濡れのまんま
部屋の前で泣いていた
夏が始まったばかりというのに
きみはひどく震えていた
そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ
わかな
わかな
わかな
わかな
わかな
そんなきみに僕は言った
むつき
財布を持って、ナイフを持って
携帯ゲームもカバンに詰めて
いらないものは全部壊していこう
あの写真も、あの日記も
今となっちゃもういらないさ
人殺しとダメ人間のきみと僕の旅だ
そして僕らは逃げ出した
この狭い狭いこの世界から
家族もクラスの奴らも全部捨てて君と二人で
遠い遠い誰もいない場所で二人で死のうよ
もうこの世界に価値などないよ
人殺しなんてそこら中湧いてるじゃんか
むつき
結局、僕ら誰にも愛されたことなどなかったんだ
そんな嫌な共通点で、
僕らは簡単に信じあってきた
君の手を握った時、
微かな震えもすでになくなっていて
誰にも縛られないで二人線路の上を歩いた
金を盗んで、二人で逃げて、
どこにも行ける気がしたんだ
今更怖いものは僕らにはなかったんだ
額の汗も、落ちたメガネも、
今となっちゃどうでもいいさ
あぶれ者の小さな逃避行の旅だ
いつか夢見た
優しくて誰にも好かれる主人公なら
汚くなった僕たちも見捨てずに
ちゃんと救ってくれるのかな?
わかな
わかな
わかな
わかな
わかな
あてもなく彷徨う蝉の群れに、
水もなくなり揺れ出す視界に、
迫り狂う鬼たちの怒号に
バカみたいにはしゃぎあい、
ふと、君はナイフをとった
わかな
わかな
わかな
そして、君は首を切った
まるで、何かの映画のワンシーンだ、
白昼夢を見ている気がした
気づけば僕は捕まって、
君がどこにも見つからなくって、
君だけがどこにもいなくって
そして時は過ぎていった
ただ暑い暑い日が過ぎてった
家族もクラスの奴らもいるのに、
なぜか君だけがどこにもいない
あの夏の日を思い出す、
僕は今も今でも歌ってる
君をずっと探してるんだ
君に言いたいことがあるんだ
九月の終わりにくしゃみして、
六月の匂いを繰り返す
君の笑顔は、君の無邪気さは、
頭の中を飽和している
むつき
むつき
もういいよ、投げ出してしまおう、
そう言って欲しかったのだろう、?
なぁ、?