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💉『検査のあいまに』🍫
病院のいつもの待合室。 壁の時計の音が、やけに大きく響いてる気がした。
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私はソファに座りながら、なおきりさんが入っていった扉を見つめた。
今日の検査は少し長引くと聞いてたけど、それでも時間が過ぎるたび、胸の奥がざわつく。 “なにか…悪い結果がでたりしてないかな” “倒れたりしないかな…” 考えれば考えるほど不安になって、膝を抱えて、じっとじっと待っていた。
「ーーおまたせ」
扉が開いた瞬間、えとは顔をぱっと上げた。 白衣の看護師さんの奥から、なおきりさんがゆっくり歩いてくる。
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私は立ち上がって、ふっと安堵の息を漏らした。 なおきりさんの声は、いつもの通りにやさしくて、 体調はまだちょっと重そうだけど、笑顔もちゃんとそこにある。
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なおきりさんは、くしゃっと優しく笑って、 私の頭を軽くぽんぽんって撫でてくれた。
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私は照れくさくてそっぽを向いた。 けど、ふんわり赤みが差した頬は隠しきれていないと思う。
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いつもはからかってばかりのなおきりさんが、今日はちょっとだけ真面目で、 そのまなざしがあったかくてーー 思わず、胸がきゅっとなった。
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でもほんとは。 “この時間が、ずっと続けばいいのに”って。 そんなことを考えてた。
🍽️『君の口元に、そっと』🌷
今日は病院の食事がいつもよりちょっとだけ豪華で。 鳥の照り焼きと、ごはん、味噌汁、煮物。 それに小さなプリンまでついていた。
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僕はお盆を見て小さくつぶやいて、隣を見やった。
えとさんが、スプーン片手にプリンを見つめている。 何度も食べてる味のはずなのに、こうして並んで食べるとなんか違って見える。
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えとさんがあわててティッシュを探す姿がちょっとおかしくて、 僕はスプーンをそっと置いた。
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僕はえとさんのほっぺに指をのばして、 ついたプリンをぬぐう。
そのままーー
自分の指をぺろっと舐めた。
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顔を真っ赤にしているえとさんがかわいくて、つい、笑ってしまう。
でも、ほんとはーー そのちょっと甘ったるい味よりも、 えとさんの表情の方がずっとずっと、 僕の胸をいっぱいにした。
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えとさんはぷいっと顔をそむけたけど、 その耳まで真っ赤なのは、僕のせいってことかな。
🎂『知らなかった、僕がこんなに嬉しいって』
今日は、僕の誕生日ーーらしい。 いや、ほんとはそんなに特別だと思ってなかった。 この病院で迎えるのは、もう二回目になるから。
でも、病室のドアをあけた瞬間、僕の思いは簡単に裏切られた。
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えとさんが、笑って立ってた。 手には、小さな手作りの紙袋。 それからーーちょっと不格好な、クラッカー。
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えとさんが紙吹雪をとばした瞬間、僕の胸の奥が一瞬であったかくなった
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僕は少し笑ってから、えとさんの横に座った。
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渡された紙袋を開けるとーー 中には手縫いの小さなマスコット。 見覚えのある、僕とえとさんをイメージしたぬいぐるみ。
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僕はそっとぬいぐるみを手の中に収めて、それから、ふっと目を細めた。
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そっと触れた、えとさんの頬。 少しひんやりして、だけど、あったかい。 こんなふうに「嬉しい」って思える誕生日が、きっと、僕の人生で一番のプレゼントだった。
📻️『ラジオ“なおえと”深夜便』🍫
夜。 カーテン一枚で仕切られたふたつの病室。 電気を消して、声をひそめて、紙コップ電話でこっそり話す “ふたりだけのラジオ”
なおきりさんのベッドの横には、私が作った“ラジオ風”のメモ帳。 トークテーマを手書きで書いた。
「第1回なおえと深夜便🎤 お題:好きな食べ物と、最近ドキッとしたこと」
…この時点で、なおきりさんもう顔真っ赤(笑) でも、「僕がパーソナリティだから」って無理やり落ち着いた声ではじめようとするの。
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って言ったあと、紙コップの先から聞こえてくる小さな笑い声。
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で、えとさんの番。 好きな食べ物は……チョコのアイス。 ドキッとしたことは……
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♨️『すき、に気づいた夜』🍫
廊下の明かりがほんのり灯ってて、なおきりさんもすでに病室の前に立ってた。
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ふたりで、スリッパを引きずる音を鳴らしながら、夜の病院の端っこにある “足湯コーナー”へ。
体調が落ち着いた入院患者だけが使える、秘密の癒しスポット。 今はだれもいなくて、ひんやりとした空気にぽつんと湯気だけがゆれてた。
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並んで腰をおろして、そっと足をお湯に入れる。 じんわりと伝わってくる熱が、胸の奥まで届くような気がした。
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なおきりさんがわたしの足元を見た。 慌てて引っ込めようとして、ぴちゃっとお湯が跳ねた。
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ふたりして笑いながら、お湯に足を戻す。 ……気づいたら、となりにいるなおきりさんの指が、 わたしの指先にちょんって触れた
びっくりして顔を向けると、なおきりさんは湯気の中でちょっとだけ照れた顔してた。
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なんでそんなこと言うの。 胸の奥がキュッてなる。
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でもね、わたしも同じだよ。 “すき”って、こういうことなんだって、今、やっと気づいた。