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前回の続きです

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それでは本編へ

僕と影山は卒業式のあと、家にも帰らず、一直線に最寄り駅まで来た。

僕も影山も卒業式の荷物のままだ

あたりはもう暗かった。

月島蛍

影山、いくら持ってる?

影山飛雄

734円

月島蛍

僕は1102円

影山飛雄

…少ねぇな

月島蛍

卒業式に大金持ってこないだろ

影山飛雄

そうだな

月島蛍

1番遠いところ…か

月島蛍

ねぇどっか行きたいところは?

影山飛雄

ねぇよ

月島蛍

強いて言うなら

影山飛雄

んー…

影山飛雄

月島蛍

海?

影山飛雄

そこだと海に飛び込むだけで死ねるだろ

本当にコイツ死ぬことしか考えてないんだな

月島蛍

じゃあなるべく遠くて海が近い駅…

月島蛍

…ここかな

影山飛雄

そこなら…どう行けばいいんだ?

月島蛍

〜線から○○駅で降りてそこから、〜線に乗った先の終点かな

影山飛雄

なるほど、よし行くぞ

影山飛雄

〜線だから、こっちだな

月島蛍

そっち反対方向だよ

月島蛍

方向音痴のおバカさんは僕に黙って着いてきてください

影山飛雄

あ?んだとボケェ

月島蛍

はいはい

電車に揺られ、僕達は死にに行く。

もう夜遅くて人は僕らだけだった。

1回目の乗り換えを過ごし、もうこの電車の終点で僕らは死ぬ。

もうそろそろ終点だ

所持金が少なかったので、ここまで来るのにそんなに時間はかからなかった。

隣の影山はスヤスヤと寝息を立てて寝ている

これから死ぬという実感が湧かない

影山と2人で死ぬ いかにも現実味がない話。

まぁこのフワフワした気持ちのまま死ねたら本望か

流れる景色の中で ふと3年間のバレーを思い出す

僕にとってはたかが部活のまま だったけど3年やり続けたことに 意味があるのだろう。

でもたまに楽しかったな。

でも今更後悔はないよ。

次は終点 △△駅、△△駅

月島蛍

影山、起きて
降りるよ

影山飛雄

フガッ

月島蛍

ふっ、フガッて何

月島蛍

豚かよ

影山飛雄

んー終点…

影山飛雄

早いな…

月島蛍

そうだね

僕らは改札から出て浜辺に降りたあと、少し歩くことにした。

別にすぐ死んでもいいけど、影山と普通に話がしたいから。

夜遅くで人は僕らだけだ。

目の前には黒い海が果てしなく続いていて、潮の音と足音だけがする世界だった。

月島蛍

影山はこの3年間どうだった?

影山飛雄

退屈だった

影山飛雄

バレーのない世界はつまらなかった

月島蛍

そっか

影山飛雄

お前らの練習を見てて、バレーやりたいとしか思っていなかった。

月島蛍

そんな気持ちでよく3年間練習見に来てたよね

月島蛍

本当にバレー以外ないんだなって思ってたよ

影山飛雄

そうだな

影山飛雄

今になってはお前しかいねぇな

月島蛍

ちょっと急に恥ずかしいこというのやめてよ

影山飛雄

お前しかいないからお前と死のうとしてんだろ

月島蛍

いやまぁ理屈は理解できるけど

月島蛍

なぁ君ってさ、僕のこと好きなの?

月島蛍

恋愛的な意味で

特に強調もせず、普通に話の流れで聞いた。

影山飛雄

そうだな

影山飛雄

恋愛的な意味で好きだ

月島蛍

そっか

月島蛍

僕もだよ
僕も君が好き

ずっと押し殺していた言葉を

3年間、言えなかった言葉を今言う

これから死ぬんだから少し、雰囲気があってもいいじゃないか。

影山飛雄

じゃあリョウオモイだな

月島蛍

そうだね

月島蛍

どうする?
恋人になってから死ぬ?

影山飛雄

恋人になるとなんかあんのか?

月島蛍

…ないね

影山飛雄

じゃあこのままでもいいだろ

月島蛍

そうだね

影山飛雄

そろそろ死のう

うすうす気づいていた。

影山は早く死にたいんだって。

まだもう少しと思っていたのは僕だけだって。

月島蛍

うん

僕らは近くの桟橋の上に立った。

近くに灯台があり、そこの光が漏れて、僕らを薄く照らす。

影山飛雄

なぁお前はやりたいことないのか

影山飛雄

やり残したこと

月島蛍

ないね

月島蛍

潔く、君と一緒に死ぬよ

月島蛍

影山は?なんかある?

影山飛雄

…強いて言うなら

影山飛雄

バレーをしたい

月島蛍

うん

影山飛雄

できないってのは分かってんだよ

影山飛雄

3年間いっぱい分かってきたからな

影山飛雄

でもバレーがない世界は俺にとって無価値だから

海を眺めながら寂しそうに言う

そんな影山がどこか遠くに行ってしまうようで何となく怖かった。

本当なら死ぬ以外のことで影山に 何かしてあげたかった。

彼のプレーをまた見たかった。

でも何もできないって僕も彼も とっくに分かっているから。

影山飛雄

そろそろ、いこう

月島蛍

うん

月島蛍

何か言い残すことは?

影山飛雄

…そうだな

影山飛雄

俺はどうしようもねぇくらい
月島が好きだ

月島蛍

僕もだよ

落ちていく。

君の手を絶対に離さない。

海面を照らす灯りが遠ざかっていくのが見えた。

服が水分を吸って下へ下へと 引きずり込む。

次第に何も見えなくなってきた。

メガネも衝撃でどこかにいってしまった。

君の顔は見えないけどそこにいることは確かだ

水中で『愛してる』と言った。

『愛してる』という言葉も水中では泡になって消えていく。

意識も遠ざかってきた。

体中冷たい。 だけど影山を握っている手は暖かい気がした。

影山はもういったのかな

影山、僕はどうしようもなく 君が好き。

もし君と出会うあの日に戻れたなら

僕は、僕は。

君に嫌われるために

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