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堕ちた翼に祈りを

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堕ちた翼に祈りを

5 - 4,語られぬ真実、祈りはまだ遠く

♥

321

2025年07月01日

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rara🎼

アイコン変えた〜!

rara🎼

ちな課題のプリントに描いた落描きですね(汗)

rara🎼

まぁそんなことはさておき、第4話です!

nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 天使パロ⚠️

rara🎼

ご本人様には一切関係ありません!
苦手な方はback推奨!

rara🎼

では!

rara🎼

どうぞ!!

夜の川辺は静かだった。

雨が通り過ぎたあとの大気にはまだ湿り気が残り、葉の先からぽたり、ぽたりと雫が落ちる。

川の水面は濁りを含んでゆっくりと流れ、どこか哀しげな音を立てていた。

そんな静寂の中、二つの影が対峙している。

いるま_ドミニオン

ようやく……見つけた

その声は、川面に落ちる月の光ほどに静かで、けれども確かな震えを孕んでいた。

いるまは、ほんのわずかに息を呑み、目の前の男を見つめる。

堕天した天使──なつ。

かつては隣に立ち、数多の祈りを共に支えてきた存在。

その背にあったはずの紅みがかった白銀の翼は、今や黒に染まり、淡く揺れる夜の空気の中で沈んだ影となっていた。

なつ_ソロネ

……探すなって、言っただろ

なつの声は低く、そして乾いていた。

それは諦めとも、遠ざけようとするための優しさとも取れる声音だった。

いるま_ドミニオン

言われたって……無理だな

いるまは、ゆっくりと一歩だけ近付く。

踏みしめた土の音が、妙に大きく耳に残った。

いるま_ドミニオン

お前が居なくなった日、何が起きたか、誰も何も教えてくれなかった

いるま_ドミニオン

記録は消え、存在すら……曖昧にされてた

いるま_ドミニオン

けど、それでも探し続けた

なつは視線を逸らし、空を仰ぐ。

低く垂れ込めた雲の隙間から、月がその姿をのぞかせている。

淡い光が彼の頬を照らすも、そこに影が深く落ちていた。

なつ_ソロネ

……俺は、自分の意思で堕ちたんだよ

なつ_ソロネ

触れてはいけないものに触れて……戻れなくなった

いるま_ドミニオン

でもよ……!

いるまの声が僅かに強くなる。

いるま_ドミニオン

それでも、お前は今も誰かを助けてる

いるま_ドミニオン

今日、この川辺で__俺は見た

いるま_ドミニオン

絶望してた子供に、お前は手を伸ばしていた

いるま_ドミニオン

地獄に引きずるようなやり方じゃない

いるま_ドミニオン

ただ……その子の心を、救おうとしていた

なつはしばらく黙ったままだった。

その沈黙は、否定でも肯定でもなく、ただ重く静かに流れていた。

いるまはその沈黙に向けて、なおも言葉をなげかける。

いるま_ドミニオン

噂で聞いた

いるま_ドミニオン

誰にも気づかれない場所で、“黒い羽の天使が、迷える者に言葉をくれた”って

なつ_ソロネ

救いなんかじゃない

なつ_ソロネ

ただ……落ちる前に、せめて何かを残したかっただけだ

なつは、ふと口元を歪めて笑った。

けれどそれは、どこまでも虚ろな笑みだった。

なつ_ソロネ

勘違いしてる

なつ_ソロネ

俺がやってるのは“救済”じゃない

なつ_ソロネ

お前の言うような、そんな綺麗なものじゃない

いるま_ドミニオン

それでも、結果として誰かが前を向いた

いるま_ドミニオン

__違うか?

いるまの問いに、なつはわずかに視線を下ろす。

その目には、何かを押し殺すような痛みがあった。

なつ_ソロネ

……俺はな、いるま

なつ_ソロネ

誰かを救いたかったんじゃない

静かに、けれどはっきりと、言葉を続ける。

なつ_ソロネ

ただ……地獄に堕ちるのが怖かったんだよ

なつ_ソロネ

俺自身が

その告白は、思いがけないほど弱々しかった。

なつ_ソロネ

だから、誰かの絶望に触れて、それを少しでも変えられたら__

なつ_ソロネ

もしかしたら、俺は……まだ、どこかに光を持っているんじゃないかって……そんな希望に、縋ってるだけだ

いるま_ドミニオン

……

いるまは目を伏せ、しばらく何も言わなかった。

心のどこかで、なつの言葉に覚えがあった。

自分にも__そんな感情が芽生えたことがあった

任務の最中、人間の泥のような欲望に触れた時

その中に、ほんの小さな祈りが混ざっているのを見た時

救うべきか、それとも見捨てるべきか。

答えのない問いに触れる度、胸の奥が軋んだ。

__そして今、いるま自身もまた、揺れていた。

なつはその揺れに気づいたのか、ゆっくりと口を開く。

なつ_ソロネ

お前も……もう、触れてしまってるんじゃないのか?

いるま_ドミニオン

……

言葉を失ったいるまを、なつは見つめた。

なつ_ソロネ

戻れよ

なつ_ソロネ

お前まで堕ちたら……誰が“あの頃の俺たち”を覚えていられるんだ

その言葉の優しさに、いるまは目を伏せたまま、拳を握った。

いるま_ドミニオン

……だったら、なつ、お前は__

なつ_ソロネ

俺はもう、戻れない

強い口調だった。

なつ_ソロネ

今の俺は、天使の祈りにはもう応えられない

なつ_ソロネ

……だから、祈らなくていい

そう言い残して、なつは踵を返した。

背中に揺れる黒い羽が、夜の闇に溶けてゆく。

まるで、最初からそこにいなかったように。

いるまは、最後までその背を追わなかった。

目を閉じる。

かすかに湿った空気が、まぶたをなぞった。

天界・祈祷の間。

こさめは、ひとり水盤の前に座していた。

両手を組み、瞳を閉じ、静かに祈る姿。

こさめ_アークエンジェル

なつくん……どこにいるの?

声に出さない問いが、光の中に溶けていく。

水面はただ、静かに揺れていた。

何も映さない。

祈りの力が届かない相手。

それは既に、天界から遠く離れた場所に居る証拠だった。

けれど、こさめの手は揺るがなかった。

こさめ_アークエンジェル

でも……それでも、こさめは信じてる

こさめ_アークエンジェル

なつくんが、誰かを傷つける為に堕ちたわけじゃないって

こさめ_アークエンジェル

今も、きっと……誰かのために、手を伸ばしてるって

自分の無力さが、胸を痛める。

気づけなかった自分。

何も出来なかった自分。

けれど、だからこそ__せめて祈る。

それが、こさめに出来る唯一の、そして最大の誠実だった。

その頃、空の下。

天界の塔の屋上で、らんが風に吹かれていた。

らん_ソロネ

……やっぱり、お前は、まだ全部は堕ちていない

誰に届くとも知れぬ声を、空へ投げる。

見えはしない。

けれど、あの夜、雲の切れ間からわずかに揺らいだ光は、たしかに“なつ”のものに思えた。

らんは静かに、目を閉じた。

らん_ソロネ

お前が、どこにいても……俺は見てる

胸の奥で灯る、小さな炎のような記憶。

それを燃やし尽くさぬよう、彼は祈らず、ただ“見続ける”ことを選んでいた。

__祈りはまだ届かない。

けれど、きっと、完全に失われてもいない。

そしてこの空にはまだ、揺らめく希望の光が__残っている。

第4話・了

rara🎼

お帰りなさい!

rara🎼

次回!

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡50

rara🎼

では!

rara🎼

ばいばい!!

堕ちた翼に祈りを

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