ポケカメン
暗い部屋に一筋の光が差し込みふと目を覚ます。
眠い目をこすりながら枕のすぐ側に置かれた充電されているスマホをとり起動させると表示された画面には8:00と書かれていた。
正直このまま二度寝をしたいところだが今日はツアーライブの関係で他県に行くことになっているため早めに準備をして家を出なければならないので寝ていて固まった体を伸ばし起き上がった
欠伸をしながらベッドから降りて洗面台に行き顔を洗う。水で濡れた顔を吹いてパジャマを着たままリビングに向かう
ポケカメン
何時集合だったっけと思いながら携帯のメモアプリを開き今日の日程を確認する
ポケカメン
ポケカメン
ポケカメン
そこまで遠くなかったからタクシーを使うのもあれかと思って駅まで歩いてきたがこの一瞬だけで汗だくだ
通勤ラッシュの時間帯ではないが平日なためかやはり人は多く席座れなさそうだなと思いながらホームに向かい電車に乗り込んだ
予想通り電車は混んでいて椅子が空いていないどころか人で溢れかえっているためほぼ満員電車状態だった
外が暑いにも関わらず電車は人でいっぱいな為冷房が付いているとはいえすごく蒸し暑くて苦しい
やっぱり電車はあんま好きじゃないなと思いながら駅まで時間を潰すため携帯を開く
すると突然お尻に違和感を感じた
ポケカメン
俗に言う痴漢というやつだ。男に痴漢をする物好きがいるもんだ、世の中ほんとに何があるか分からない
そんなことを考えて現実逃避をするが内心は恐怖や不安でいっぱいで次第に手が震え出した
ポケカメン
助けを求めたいが恐怖のせいか発した言葉は声にはならなくて意味のない母音だけが小さく出てきただけだった。心の中で葛藤している間もずっと触られ続けていて俺の心は恐怖一つに染まっていた
次第に体が震えだして恐怖のあまり泣きそうになってしまうのを必死に堪える
そんな俺に痴漢野郎は俺が感じているとでも勘違いしたのかお尻を触っていた手をズボンの中に入れて下着越しにお尻を触ったり揉んだりしてきてもう片方の手をシャツの中に潜ませお腹あたりを撫でてくる。心做しか距離も近くなっていて右首あたりに生ぬるい荒い息をかけられているのを感じ鳥肌が立つ
ジジイ
きもちわるい
ポケカメン
振り絞って出した声はとても小さくて掠れていて聞き取れるかどうかわからないような声だ
だが今もジリジリと距離を詰めてきている相手にはしっかり聞こえていたようで
ジジイ
顔を近づけられて荒く汚い吐息混じりに囁かれ背筋が凍る。震えていた体はガッチリと硬直してしまい動かせなかったが体自体は震えたままで必死に堪えた涙が溢れてきてしまった
ジジイ
ジジイ
間近でそう囁いている変態ジジイはまるで愛しいものを見るかのように頬を柔く染めて光のない目で俺を見てくる
ジジイ
ポケカメン
必死に抵抗するが恐怖で硬直した体は思うように動いてくれず変態ジジイは俺とキスをしようと徐々に顔を近づけてくる。
いやだ、こんなの嫌だ…こんなやつとキスなんてしたくない……
ゆぺ、さくら、ふぇに、まいたけ、かにちゃん……
ポケカメン
??
俺を呼ぶ声と共に俺の視界は真っ暗になり何かにぶつかったと思いきや嗅ぎなれた匂いに包まれた
この声とこの匂い、最近はいつものように隣にいたあいつの匂い。俺の居場所、俺の大事な人達のうちの一人
ポケカメン
ゆぺくん☆★
さくらくん。
かにちゃん
ポケカメン
ジジイ
ふぇにくろ
まいたけ
ポケカメン
ゆぺくん☆★
ゆぺくん☆★
ポケカメン
ゆぺくん☆★
ポケカメン
ゆぺくん☆★
あいつに話をするために俺を二人に預け俺を抱きしめてくれていた腕と体を離そうとするゆぺの服を掴んで行くのを阻止する
すごく怖くてでも周りに頼ることも助けを求めることもできなくてずっと怖くて動けなかった俺を呼んで抱きしめてくれたゆぺ、今はゆぺじゃなきゃ嫌だ。
そんな俺の意図に気がついたのかゆぺは体制を戻してまた俺を抱きしめてくれた
いつの間にか警察と駅員さんが来ていてさくらとかにちゃんは警察に事情説明をしていた。警察が来たことにより変態ジジィは警察の方に取り押さえられてジジイを捕まえていたふぇにとまいたけがこっちに向かってきた
ふぇには
ふぇにくろ
と言い頭を撫でてくれて
まいたけは
まいたけ
と背中をさすってくれた
ゆぺの胸元に顔を埋めているから表情はわからなかったがかけられた声はすごく優しくて思わず泣いてしまった。
事情説明を終えたさくらとかにちゃんは俺らの所へ戻っきてくれてゆぺの腕の中で泣いている俺を見て声をかけながら優しく抱きしめてくれた
そんな俺らを見てふぇにとまいたけも抱きしめてくれて、すごく安心した
改めて俺はこいつらに支えられていることを知った。あんなにも恐怖に陥っていたのにこいつらの声が聞けただけでこんなにも安心できる
いつもは恥ずかしいからこんなこと言わないけど今日は特別
ポケカメン
泣いていたから震え混じりだったけど俺の気持ちはしっかり伝わったと思う。
ここは俺の居場所。