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凪誠士郎編
凪って霊感強そうじゃないっすか?偏見だけど。
あ、次俺? え〜…めんどくさーい、レオ、やんなきゃダメ? …はぁ、分かったって、
聞いた話でも良いんでしょ。 なら、俺がネッ友から聞いた話。
俺のネッ友……めんどいからゼロって呼ぶね。 ゼロは、なんか趣味が釣りらしくて、よくやってたんだって。
んで、そのゼロ地元に帰って来た時に同級生だったゼロの友達…イチでいいや。イチと一緒に、釣りに行ったらしい。 …違うし。そのイチも釣り好きなの。
ゼロの地元は、なんか入っちゃいけない釣り堀があったんだって。 そこは当たり前だけど人が出入りしないから魚がたくさんいたんだ。
だからゼロとイチはその釣り堀へ出掛けた。誰にもバレないだろうって。
だけど、そこ行った時、綺麗なお姉さんが座ってた。 年齢は20半ばくらいで、腰まである黒髪に、目元隠れるくらいの前髪。 今じゃ結構珍しい、緑色の和服を着てたらしい。 …着るってコスプレくらいでしょ? その人が、岩に座ってじっと海を眺めてたって。
イチとゼロは遊び癖があったから、迷わずその人に声を掛けたんだって。 『隣良いですか?』って、
そのお姉さんがゆっくりとした口調で 『どうぞ』 って。
ゼロとイチは嬉々として隣へ座り、釣り糸に餌をかけて、釣りをしながらお姉さんに話しかけた。 『誰かと待ち合わせですか?』
お姉さんが、 『はい、彼を待っていて…』 ゼロは、なんだ彼氏持ちか、みたいに思って釣りに専念し始めた。 でもイチは寝取り趣味があったから普通にグイグイいったんだって。 …潔何赤くなってんの、童貞かよ。 …うるさ。
んで、イチが『こんなところに待たせるなんて酷い彼なんですね。』そう言った。 お姉さんはそれにはなんの反応もしなかった。 ここら辺でゼロは結構釣れたしもう戻ろうとした。でもイチが粘ったから、イチを残してホテルに帰るってことにしたらしい。 だけど、 妙な感じがして、岩陰からひっそり会話とか聞いてたらしい。
『お姉さん綺麗だよね、二十代くらいでしょ。俺、分かるんだ』 こうイチが言ったらお姉さんが急に笑い出して、 『あら、嬉しい。そんなに若く見えます?私』 イチがおずおず『はい、』と答える。
『ふふ、そうですか、 私、もう二十年もここで彼を待っているんです』
なんて言って、語り出した。
『彼とはもう一年半以上お付き合いしていて、でも彼、浮気していたの。 私が問い詰めたら彼、なんて言ったと思う?』
『ごめん、俺が悪かった、 お前の事大好きなんだ、謝るからどうか許してくれ、』
『笑っちゃいますよね、 愛していたのに、信じていたのに』
イチとゼロはもう指一つでさえ動かせずにいた。お姉さんから伝わるのは単純な殺意と憎悪だけ。
『彼、その後も彼女とのお楽しみだったみたい。私が遊びで本命はあっち…酷いですよねぇ、ホント。』
お姉さんがゆらりとこちらを向く。 さっきまで水滴一つついていなかった髪が湿り水滴がぽたぽた床に落ちていく。
『私、彼と無理心中する気だったんです、彼が振り向いてくれないのならもういっそ殺してしまおうかと…ね。 ………でも、彼は来なかった。』
『来たのは、彼の本命。 私をこの崖から突き落としたの。 私が最後に見たのは彼でもないのよ』
お姉さんがゆっくり立ち上がってイチに手を伸ばす。 華奢な手にも関わらず、イチの首をミチミチと締めあげる。 片手でイチの首根っこを持つと海の方へと迷わず進む。 イチを引きずりながら。 ゼロは泣きそうになりながら動け動けって願うけど、足が動かない。
イチが崖から落ちる寸前お姉さんが、 『ありがとう、一緒に死んでくれて』
って、地を這うような、 低い声でそう呟いた。
めでたしめでたし。 …え。みんなコレで締めてるじゃん、
…ん?あぁ、イチは結局溺死として処理されたらしい。だから多分死んでると思う。
…意外と怖いっしょ。 普通に話されてびびったから。
…これ以上は知らなーい。ゼロに聞かないと分かんないし。 ってか、めんどくなってきたし、早く寝かせてくれない?
次、どーぞ。