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セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
セリウス
夜は、ロイドにとって「戦いの後の休息」ではなく「自分との戦い」の始まり
仲間たちがそれぞれの部屋で笑いながら眠りについている頃、彼だけは静かな闇に縛られていた。
胸が苦しい。
呼吸が浅くなって、肺が潰れるように痛い。
ロイド
ロイドは声にならない声を押し殺し、布団を頭から被った。深夜の基地に、 自分の荒い呼吸音を響かせるわけにはいかない。
仲間に気づかれたら――心配される。迷惑をかける。それが一番怖かった。
ロイドは“グリーンニンジャ”だった。 光の化身、選ばれし者。
笑顔でみんなを導き、強くあらねばならない存在。
けれど、それは“ロイド”という仮面を被った姿にすぎなかった。
本当の自分は、何度も心の中で叫んでいた。
“――やめたい。もう、背負えない。俺はただの子供だ。助けて。”
けれど、その声は誰にも届かない。 届かせてはいけない。
机の引き出しの奥から、一冊のノートを取り出す。 表紙は擦れて、紙はところどころ破けていた。
そこにはロイドの心が、荒々しい字で刻まれていた。
「疲れた」
「戦いたくない」
「期待に応えられない」
「俺はただのゴミだ」
文字はどんどん大きくなり、震え、黒く塗りつぶされたページもあった。 そこにロイドがいる。誰にも見せられない、本当の自分。
書いても、心は軽くならなかった。
だが、吐き出さなければ潰れてしまう。
手首に冷たい刃を当てる。
ロイド
鮮やかな赤が滲むと、張り詰めた何かが一瞬だけ緩む。
痛みで心が少しだけ現実から引き離される。
けれど、そのあとに襲うのは深い自己嫌悪。
“――何をしてるんだ、俺は。”
誰かが知ったら、失望する。
それでも止められない。止めたら、
壊れるから。
涙が落ち、白いシーツに赤と透明が混ざった跡が染みを作った。
ロイドはそれを見つめ、
声を殺して泣いた。