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僕の母親が、今の義父と再婚したのは6年前。
母
小学校から帰ってきて、それからダンスのレッスンに行って その後、2人でいつものように食卓を囲んでいた時に突然言われた。
最初は反対だった。 だって、僕のアッパは、僕が5歳の時に病気で亡くなった チョン・スビン…あの人だけだから。 想い出はそれほど多くはないけど かっこよくて、優しくて、力持ちで そんなアッパの事が大好きだった。
ホソク(幼少期)
オンマ、言ってたのに。 アッパの事をこれからも愛し続けるって。 『ホソクの事は、オンマが守っていくから大丈夫だよ、』って。
それに、一つ年上の義兄ができるっていうのも 僕は受け入れ難かった。
でも。
母
自分のお腹に手をあてたオンマに 幸せそうな顔で、そう言われてしまったら。
ホソク(幼少期)
"嫌だ"なんて 言えるわけがなかった。
そのまま母親は再婚して キム・スンヒョンという人が僕の義父に その連れ子のキム・ナムジュンが義兄になった。
ナムジュンは初めて会った時 その鋭くて冷たい目で僕の事を睨むように見てきたから 少し気味が悪かったのを覚えている。
義父
ナムジュンに良く似た、整った顔で僕に笑いかけた義父は そんなナムジュンとは対照的な… 少し熱っぽいような目で、僕を見てた。
ちょっと、気持ち悪い。 そう思った。
気のせいだったら良かったんだけど 今思うと…その時に思った僕の感覚は やっぱり正しかった。
ホソク(幼少期)
再婚して半年後。 新しい家にも、家族にもなんとか慣れてきた頃。 紅葉が鮮やかに色付く季節に弟が産まれた。 当時小学五年生だった僕は、弟のジョングクが可愛くて仕方なくて しょっちゅう構って世話を焼いてた。
ホソク(幼少期)
ナム
第一印象は悪かったはずなのに 僕はナムジュンの事を“ナムジュナ”と呼ぶほどに懐いてた。
ナム
ナムジュンはまだ僕と同じ小学5年生なのに やたらと大人びた笑顔で、僕に言った。 その顔に胸がドキリと高鳴ったのは きっと、まだ恋愛経験のなかった僕が起こした ただの錯覚だったんだろう。
真夜中の、静かで暗い部屋。
布団をかぶって寝ていたはずなのに はだけてしまったのか 感じる肌寒さ。
身体が重い。 何かに、のしかかられているような。
寝苦しい。 変な感じがする。 お腹の辺り…素肌にまるで蛇が這ってるみたいな感覚。 くすぐったい。
それは、だんだんと上に移動していく。 おかしい。 なに…?
下着をたくしあげられて ぼんやりとしてた脳が一気に冴える。
え?
人…?人、だ。 僕の上に、人が乗っかっている。 僕の体を誰かが触ってるんだ。
生温かくて湿った何かが 僕の胸辺りを這う。 なにしてるの?
相手は僕がまだ眠っていると思ってる。 恐怖で手足は動かない。 我慢できない不快感が一気に込み上げてきて 恐る恐る、気づかれないように そっと目を開けた。
背筋が凍った。 全身の細胞が、拒絶するように縮み上がった。 嘘であって欲しかった。 夢であって欲しかった。
そこに、居たのは___
ジン
ホソク
その声で、目を覚ました。
夜明け前の薄暗い闇の中で 一緒に寝ていたはずのジンヒョンが僕の両頬を手で包みながら 心配そうに僕を覗き込んでいた。
ホソク
息をするのを忘れてたみたいで 短い呼吸を何度も繰り返す。
汗をかいていたのか 髪が顔に張りつき パジャマ代わりに着てたジンヒョンの大きなTシャツが 身体にまとわりついていて不快だ。 それに、寒い。 汗のせいで体が冷えたんだ。
ジン
その問いかけに 返事をする余裕はなかった。
頭の中は、真っ黒な感情に埋め尽くされていたから。
最悪だ。 最悪、 最悪最悪最悪…っ…
ホソク
ぼろぼろと溢れる涙を拭いもせずに ジンヒョンに腕を伸ばして抱きついた。 安心感を求めるようにジンヒョンの胸に顔を埋めて 泣きながら言った。
ホソク
忘れたくても、忘れられない記憶。 なぜなら、それはいまだに "夢"として、定期的に現れるから。
気持ちの悪い、悍ましい夢だ。
ジン
僕の冷たい唇に、ジンヒョンの温かい唇が重なる。 ギシッとベッドの軋む音がして、そのまま倒れ込んだ。
アイツの、アイツらの事を考えられなくなるように とにかく今は頭も身体も、ジンヒョンでいっぱいにして欲しかった。
ホソク
少しだけ開けた引戸の隙間から保健室を覗く。
養護教諭のユンギ先生が肩肘をつきながら 机の上で書き物をしていた。
良かった。 他に生徒はいなさそうだ。
ユンギ
ユンギ先生はちらりと僕を一瞥した後に いつも通りの淡々とした口調で言った。
僕が明らかなサボりであることは見てわかる。 それでも突っぱねたりせず どうした、と理由を聞いてくれるあたり ユンギ先生は僕に甘い。
そもそもこの人、この間 なんで養護教諭なんて似合わない仕事してんのって聞いたら 『楽してサボれるから。』 だって。 そもそもサボりには寛容な人なのかもしれない。
保健室に入ると香る、いつもの消毒の匂い。 静かに引き戸を閉めたあと 一目散に向かったのは白いベッドの上。 ひんやりとしたシーツの感触が心地いい。
ユンギ
ホソク
ユンギ
ホソク
乱れてるってシャツのボタンあけてるだけだし…。 こういう細かいところは口うるさいんだよなぁ。
倒れ込んでた体を起こすと 足元に畳んである白い毛布を手に取る。 少し硬めの枕に頭を乗っけて毛布に包まった。
すると、またユンギ先生から おい、と僕を引き止めるような声がかかる。
ユンギ
ホソク
ユンギ
椅子から立ち上がって わざわざ僕の寝てるベッドまで来たユンギ先生。
あ、これガチで心配してくれてる。
ホソク
これは本当だ。 昨日、あの悪夢を見てから 結局寝れなかった。色んな意味で。
ジンヒョンには悪い事をした。 きっとヒョンも、今頃は僕と同じように眠くて仕方ないだろう。
怪訝そうな顔で見てくる先生。 僕はニヤリと笑みを浮かべる。
ホソク
ユンギ
ホソク
ユンギ
僕の答えに、先生は目を瞑って深ーいため息を吐いた。 先生の顔、まさに呆れ顔ってやつ。
ユンギ
ホソク
ユンギ
とかなんとか言いながら シャッと仕切りカーテンを閉めてくれたユンギ先生は やっぱり僕に甘い。