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テラーノベル(Teller Novel)

ミーンミンミンミン

ジワジワジワジワ

天邪 弱

はぁ…ようやく掃除が終わったよ……

暑い暑い夏の日、僕はいつも通り神社の掃除をしていた。

天邪 弱

……いつからだっけな…ここに人が来なくなったの

ここは昔、とても有名で人に溢れた神社だった。

お祈りをする人だっていっぱい居たし、お賽銭箱も毎回満タンになっていた

…でも、今のような暑い夏の日、急にパタリと人が来なくなったのだ

僕がまだ小さい頃

村の人

お前は働き物だな、いつもこの神社は綺麗で居心地が良いよ!

嫌われていた僕にも優しくしてくれた村の人がいた。

その人はいつも優しくて、暖かかった。

お母さん

弱!ちょっと!早く、舞が始まっちゃうでしょ!

天邪 弱

あっ、ごめんママ!今行くね!

この頃の僕は年に一回神楽を踊る。みんなには女みたいで気持ち悪いって言われたけど、僕はこの舞が大好きなんだよ。

小忌衣を身にまとって、出番が来るのを待つ

もう日は落ちて、神社の明かりだけが頼りだった

天邪 弱

ふぅ……

息を整えて、不安をもみ消す

シャン

シャン

シャン

笛や太鼓の音に合わせて鈴を振るう

いつの間にか揃った息はハッキリとしていて、いつもの僕とは大違い

天邪 弱

(やっぱり、神楽が好きだ。)

??

これは…凄いね…

まぁ…もう神楽なんてやってないけど

天邪 弱

疲れた〜…お茶でも飲もうかな……

この神社にはもう僕一人しか居ないけど、それなりに充実していたし、不自由もなかった

親戚も居ないし…ここから出るつもりもない。

天邪 弱

お茶お茶〜〜

小さな冷蔵庫を開けて、冷たく冷えた麦茶を飲む

熱くなった体が一気に涼しくなる気がした

天邪 弱

ぷはぁ……生き返る〜

今はまだ夏休み、まぁ…夏休みだからといって特に予定も無いわけで…

天邪 弱

…暇だなぁ

ここは村から少し離れたところ。勿論スイ◯チやプレ◯テなんてないし…

天邪 弱

…出かけよ…

天邪 弱

よし、これでいいかな?

支度を終え、最後に小さな紅い箱に入っているピアスを手に取る。

天邪 弱

よし…!

天邪 弱

よいしょ…と

村に行くにはいつも獣道を通らなきゃならない。

枝が絡まって転んだりすることがあるけど、もう慣れた道で迷ったことはない。

元々は道も整備されていて、もっと通りやすかった。

まぁ、通れない訳じゃないし…僕はこれでもいい。

神社から少し進んで、ようやく獣道を抜け出せたと思った頃

天邪 弱

ん〜…?

天邪 弱

あれ…

天邪 弱

えっと……?

天邪 弱

いやっ、そんなはず、…

草を掻き分け、進んだ先には見慣れない綺麗な滝があった…

まぁ…俗に言う迷子だ

天邪 弱

どっ、どうしよう…森で迷ったら……僕…

一気に不安が押し上げてきて、思わず涙ぐむ。

天邪 弱

(どうしようどうしようどうしよう……)

その時、急に滝の流れが早くなり、風が木を倒す勢いで吹いた

ビュオーーーーー

天邪 弱

うっ、わ?!?!

風の強さにバランスを崩し、そのまま滝に落ちる。

天邪 弱

いやぁぁぁぁぁぁ!

天邪 弱

(無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!)

足を捻って、必死に枝に捕まろうとしたが届く寸前で……最後まで運がなかったなぁ…

ドボン

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