ザーザー 雨が地面を叩く音 一つ一つがものを突き刺すような 勢いで降る雨は
私の心のようだった
降る雨はやがて窓を泣かせる
流れる涙は 光に反射することなく 曇ったまま流れ落ちてゆく
靴を履き,地面に足を下ろす
土が靴を柔らかく包み込んだ 気持ちの悪い感覚で あの時を思い出す
彼
〇〇
彼
か細い声で私に約束した
けど、その約束は果たされなかった
その日から 私の心には雨雲がかかる その雨は、消して晴れることなく 現在まで降り続く
そのときに彼から流れ出た 血の匂いを今でも懸命に覚えている
手についたその血は 泥のように私を汚した
私は溜息をつく 思い出すたびに胸を雨が突き刺す
痛い、苦しい、冷たい
あれから一年 今日が彼の命日だ
〇〇
だから会いに来てよ 約束守ってよ
私は傘もささずに 外に飛び出る
体が冷える 私もいっそこのまま彼の元に行こうかな
普通なら濡れるの嫌だ 雨で遊ぶなんて子供かよ とでも思うだろう
でも何故か今の私は それが楽しかった
〇〇
水たまりを足でピチャピチャと 汚した、泥で茶色くなったその水たまりは私の心を表すようだった
時間が立ち、水が再び透き通る
〇〇
水たまりを覗き込む
〇〇
水たまりには 私の顔と、彼の顔が映っていた
〇〇
私は振り返る、しかし当然誰もいない
〇〇
約束、果たしてくれたんだね 私の心に少し光が差す
〇〇
〇〇
強く降り注ぐ雨も その瞬間だけ 少し落ち着いた気がした
完
コメント
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コンテスト参加ありがとうございます! 主人公の現情を自然界の物に表していたり発想力がすごいと思いました。