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アル

(……道中、マジックバッグに入れられっぱなしで)

アル

(暇すぎて死ぬかもって思ってたけど)

アル

(……透視の魔法で外の様子見てたら)

アル

(結構あっという間だったな。)

アル

(……でもやっぱり、あいつらと話ができないのは寂しい。)

アル

(……早くもとの姿に戻れたらいいんだけど。)

道中、紆余曲折ありながら

ルティス村に到着

アル

(……たった2年離れてただけなのに、すごく懐かしい。)

アル

(……全然変わってないなぁ。)

村の衛兵

……こ、これは、これはあなた方は

村の衛兵

……アルのお仲間の方々ではありませんか?

村の衛兵

……このような辺境の地にどのようなご用件で

エドワード

……実はそのアル様のことで

エドワード

お伺いしたいことありまして。

村の衛兵

……アル様だなんて

村の衛兵

あいつもえらく偉くなっちまって。

村の衛兵

……そういえば、そのアルが

村の衛兵

見当たらないようなのですが。

村の衛兵

……アルはどこに?

エドワード

……実は諸事情で遅れてくる予定でして。

村の衛兵

……そうですか。

村の衛兵

……では、この村の村長の家に案内いたしますので

村の衛兵

ついてきてきただけますか?

エドワード

えぇ。よろしくお願いします。

ー村長の家ー

村長

わざわざこのような何もない村に

村長

アルのお連れの方々がお越しくださるとは。

村長

……アルのことでお聞きになりたいことがあると

村長

伺っております。

村長

どうぞ、こちらへ。

エドワード

歓迎していただき、ありがとうござます。

エドワード

これから話すことは、ご内密にしていただきたいので

エドワード

……人払いをお願いできますか。

村長

……分かりました。

アル

(……ついでに遮音結界でも張っておくか。)

村長

……それで本日こちらにお越しいただいたご用件というのは

エドワード

……実際にご覧いただいたほうが早いかと。

エドワード

……クリス。

クリス

はい。

クリスはマジックバッグから

俺(石像)を取り出す

村長

……これはっ!

ネル

……実は、アルが恋煩いにかかってしまいまして。

村長

恋煩い!?

村長

……あれは体の一部が石化するものではないのですか?

ネル

……えぇ、村長がおっしゃる通り

ネル

その程度で治まることが多い病ではあるのですが

ネル

……アルの場合は

ネル

……その、想いが尋常ではなかったようで。

村長

……。

ネル

……恋煩いだけは

ネル

……ヒーラーの私でも治療できないものですから。

ネル

……それで、

ネル

……調べてみた結果、この村に

ネル

……アルの想い人である人物が

ネル

いる可能性が高いことが分かりまして。

ネル

……恋煩いの治療は現状、

ネル

想い人からのキスのみが有効なのです。

ネル

……アルの想い人について何かご存じないでしょうか?

村長

……魔王討伐という大命をいただいておきながら

村長

……アルが皆様にご迷惑をおかけしてしまい

村長

……申し訳ありません。(頭を下げる)

ネル

……村長が悪いわけではないので、

ネル

どうか頭を上げてください。

ネル

……人を好きになることは、

ネル

何も悪いことではありませんから。

村長

……何と慈悲深いお方であらせましょうか。

村長

……私がお役に立てればよかったのですが、

村長

アルに想い人がいるなどという話は

村長

聞いたことがないのです。

ネル

……そうですか。

村長

……ですが、

村長

……アルの幼馴染のルードであれば

村長

誰か知っているかもしれません。

エドワード

……そのルードさんというのは?

村長

ルードはこの村にある鍛冶屋の息子でして

村長

彼自身も鍛冶師として親子で鍛冶屋を営んでおります。

エドワード

その鍛冶屋の場所、教えていただけますか?

村長

……もちろんです。

エドワード

本日はお忙しい中、私どもに

エドワード

お時間を割いてくださり、ありがとうございました。

村長

……こちらこそ、

村長

アルのことどうぞよろしくお願いいたします。

エドワード

……はい。お任せください。

エドワード

それでは失礼いたします。

ジャン

……ふぅ、緊張した。

ネル

……お前、何も喋ってないだろ?

ジャン

……ネルが喋んなって言ったんじゃん!

ネル

……お前に粗相でも起こされたら後が面倒だからな。

ジャン

もう!また俺のこと子供扱いして!

ネル

……ジャンは俺より年上のくせにそそっかしいから

ネル

何しでかすか分かんねぇし。

ジャン

何もしでかさないよ!

エドワード

はいはい、2人とも喧嘩するのはやめてください。

エドワード

屋台で何か買ってあげますから

エドワード

機嫌直してください。

ジャン

ちょっと、エドまで俺のこと子供扱いしないでよ!

エドワード

……いえ、してませんよ。

ジャン

ちょっと、その間はなに?

エドワード

そんなことより、

エドワード

さっさと先ほど紹介いただいた鍛冶屋に向かいますよ。

ジャン

ちょっと、俺の話はまだ終わってないんだけど……

それから

食べ歩きをしているうちに

鍛冶屋に到着

ルードの父

……いらっしゃい。

アル

(……ルードの親父久しぶりだな)

アル

(……元気そうでなによりだ)

ルードの父

……こんな何もねぇ村にアル坊のお仲間たちが

ルードの父

何の用だい?

エドワード

……何もなくはないですよ。

エドワード

……あなたの鍛冶の腕は王都でも有名ですからね。

ルードの父

そりゃあ、光栄なことで。

ルードの父

それじゃあ、うちで武器の新調かい?

ルードの父

それとも、メンテナンスかい?

エドワード

全員分の装備のメンテナンスをお願いします。

ルードの父

ふむ、しっかり手入れされているな。

ルードの父

これだと、3日もあれば仕上げられるぞ。

エドワード

……そうですか。

エドワード

……実はメンテナンスはあくまでついでで

エドワード

他に用件があって本日はこちらに伺いました。

ルードの父

……他に用?何だいそれは?

ネル

こちらにルードさんはいらっしゃいますか?

ルードの父

うちのせがれに何の用ですかい?

ネル

アルのことでお聞きしたいことがあるのです。

ルードの父

……アル坊のことでねぇ。

ルードの父

ルードは今、作業中でね

ルードの父

少し待っててもらえますかい?

ネル

えぇ、構いません。

それから

数時間後

ルード

……親父、頼まれてた分の作業終わったぞ。

ルード

悪(わり)い、取り込み中だったか。

ルードの父

いや、お前に客だ。

ルード

えっ?俺に?

ルード

……あんたたち!?(アルの仲間たちを見て)

エドワード

……。(頭を下げる)

ルードの父

アルのことで

ルードの父

お前に聞きたいことがあるんだとよ。

ルード

アルのことで!?

ルード

……分かった。

ルード

……ここじゃ騒がしいんで

ルード

……俺の部屋でいいですか?

エドワード

えぇ、構いません。

ールードの部屋にてー

ルード

まどろっこしいことは苦手なので

ルード

単刀直入に聞きますけど

ルード

アルのことで俺に聞きたいことって何ですか?

ネル

……実はね

ネル

……クリス、お願い。

クリス

……はい。

クリスはマジックバッグから

俺(石像)を取り出す

ルード

アルっ!?

ルード

こ、これはどういうことですか!

ルード

ちゃんと説明してください!

アル

(……せっかく久しぶりに会えたのに)

アル

(……こんな顔させたくなかったな)

ネル

……アル、恋煩いにかかっちゃたんだよね。

ルード

はぁっ?

ルード

……恋煩いって

ルード

体の一部が石化するもんじゃないんですか?

ネル

……確かに君が言う通り

ネル

その程度の症状であることが多いんだけど

ネル

どこの誰か知らないけどその人のことが

ネル

あまりに好きすぎるみたいでさ。

ネル

全身石化しちゃったんだよね。

ルード

しちゃったんだよねっじゃないですよ!

ルード

……これ、治るんですか?

ネル

……うん。治るよ。

ルード

……よかった。

ネル

アルの愛してやまない想い人に

ネル

……キスしてもらえたらね♪

ルード

……き、キス!?

ネル

……だから、

ネル

……俺たちは探しにきたんだ。

ネル

……アルが愛してやまない、想い人をね。

ルード

……。

ルード

……そんな人、本当にこの村にいるんですか?

ネル

……さぁ?どうだろう?

ルード

……どうだろうって

ネル

……この村の周辺にいるってことは分かったんだけどね。

ネル

……誰なのかっていうのは分からなかったからさ。

ネル

……アルはこの通りだし(石像と化したアルを指さす)

ネル

だからアルと親しいっていう君なら

ネル

想い人が誰なのか知ってるかなって

ネル

思って聞きに来たんだ♪

ルード

……俺は知りませんよ。

ルード

……そんな話こいつとしたことないし。

ネル

そっかー。残念。

ネル

俺たちの装備のメンテナンスが終わるまでの3日間は

ネル

この村で探そうと思ってるんだ。

ネル

まぁ、他にも候補はあるし。

ジャン

えっ?そんなこと一言も(エドに手で口を押えられる)

エドワード

余計なことは言わないでください(小声)

エドワード

ネル様には何か考えがあるようなので。

ジャン

……分かったよ。

ネル

で、その間この石像預かってくれる?

ルード

えっ?何で俺が?

ネル

今までマジックバッグに詰め込んで

ネル

ここまで運んできたんだけどさ

ネル

そんな物扱いするのかわいそうじゃん?

ネル

せっかく久しぶりに友人に会えたんだし

ネル

その方がアルも嬉しいかなって思って。

ルード

そ、そんなこと急に言われても困ります。

ネル

大丈夫、大丈夫!

ネル

隠ぺいの魔法かけてあるから

ネル

突然誰かが君の部屋に入って来ても

ネル

勇者の石像があるなんてバレないから。

ルード

そ、そういうことじゃなくて

ネル

あっ、君がアルにキスしてくれてもいいんだよ?

ルード

ちょっと、いきなり何言ってるんですか。

ネル

だって君がアルの想い人かもしれないでしょう?

ルード

そ、そんなこと、あるわけねぇだろ!

ネル

……キスしてみないと

ネル

……そんなこと分からないよ?(小首をかしげる)

ルード

お、俺をからかうのはやめてください。

ネル

からかってなんてないよ。

ネル

……もしそうなら、探す手間が

ネル

省けていいなって思っただけ♪

ルード

あんたって人は!

ルード

……アルはあんたたちにとって

ルード

大事な仲間じゃねぇのかよ!

ネル

……大事だよ。

ネル

……だから、こんなところまで来たんじゃん。

ネル

……半年もかけて。

ルード

えっ?……半年

クリス

僕たちはここに来る前

クリス

魔族領との国境付近にある街にいました。

クリス

……そこでアルが恋煩いにかかって

ジャン

……勇者だからってだけじゃない。

ジャン

……大切な仲間だからここまで来たんだ。

エドワード

……魔王討伐にはどうしても彼が必要なんです。

ネル

ってことだからアルのこと、よろしくね。

ルード

はぁっ?ちょっと

ルード

俺は承諾するなんて言ってな

バタンッ

ネルたちは言いたいことを言い終えると

さっさとルードの部屋を出て行ってしまった。

ルード

……何なんだよ、あの人たち

アル

(……ネルがあんな言い方するなんて)

アル

(……あいつは猫被るのうまいし)

アル

(……初対面の人間には)

アル

(丁寧な話し方をすることが多い)

アル

(……なのに、ルードに対しては挑発するような物言い)

アル

(……もしかしてルードのことが好きだって)

アル

(……バレてるのか?)

sideアルの仲間たち

ジャン

ちょっと、ネル!

ジャン

アルを彼に預けてきちゃって本当によかったの?

ネル

……うん。いいんだよ。

ネル

石化したアルを見た時のあいつの表情

ネル

……ただの友人って感じじゃなかったし。

ネル

……おそらくあいつがアルの想い人だ。

ジャン

えっ!

ネル

……ただの勘だけどな。

ジャン

……まぁ、ネルの勘はよく当たるけど。

ネル

……3日だ。3日で何も起きなければ他を当たればいい。

ネル

……その間は俺たちも少しのんびりしようぜ。

ネル

ここまで来るの結構大変だったし。

エドワード

……まぁ、その程度なら支障はないでしょう。

エドワード

装備のメンテナンスが終わるまでは

エドワード

この村に滞在することになりますから。

クリス

では、宿を探しましょう!

クリス

ここに来るまでに行った実験結果をまとめなくては……。

ジャン

……俺も手伝っていい?

クリス

もちろんです。助かります。

ジャン

やった!

ー宿屋にてー

ネル

それじゃあ、おのおの3日間自由に過ごすってことで

ネル

解散!!

石化勇者にキスを

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