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COCKTAIL

1 - 世界の理

♥

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2024年05月26日

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この世界の人間は、生まれてすぐ 3つの人種に分けられる

右肩に「B」のマークがついている"ベース"

左肩に「R」のマークがついている"リキュール"

うなじに「S」のマークがついている"シェイカー"

ベースとリキュールは、ある儀式をすることで 交わることができ

シェイカーもまた シェイカー同士で交わることができる

強く地面を打ち付ける雨音で目が覚め ゆっくりと身体を起こし鏡の前へ立つ

うなじに映る " S " のマーク

─── 俺は ───

──── シェイカーだ ────

朝食を食べ追える頃、すっかり雨は止み 眩しすぎる程の太陽が、濡れた地面を照らしつける

浅野 唯月

(今日は適当に街ふらついて…飯でも食いに行くか)

1日の予定をざっくりと立てながら支度をする 久々の休日、俺は特に用もない街へ出かけた

一色 翼

あっ!先輩先輩!!
唯月せんぱ〜い!!!✨

浅野 唯月

げっ一色…

一色 翼

げってなんですか!?
酷いですよ!

浅野 唯月

へいへい、悪かったよ

浅野 唯月

んで、お前こんなところで
何してんの?

一色 翼

先輩のストーカーです!✨

浅野 唯月

謝罪を撤回する

一色 翼

えっ!?

浅野 唯月

えっ!?じゃねぇよ。
ストーカーとかシャレにならんからやめろ

一色 翼 高校のバスケ部の後輩だ。

やたらと俺をつけてくるわ 距離は近いわでよく分からんやつ

浅野 唯月

まぁ、冗談言うのは良いけど、俺以外にそういう事言うなよ。誤解されるぞ

一色 翼

え?嫉妬ですか?
可愛いですね♡♡

浅野 唯月

話聞いてたか?

一色の冗談をあしらいつつ、再び歩き出すと さも当たり前のように隣を歩き始める

いつもの事だが、こいつはナチュラルにこれなのか? 誰に対しても人懐っこくはあるが……

…面倒なのに好かれたな

一色 翼

心配しなくても、先輩以外にこんな事言いませんよ♡

浅野 唯月

だから…!

浅野 唯月

はぁ…もういい、疲れた

一色 翼

え?疲れました?

一色 翼

俺の家近いんですけど
来ますか?

浅野 唯月

んな下心丸出しの誘いに
乗るわけねぇだろバカ

ニヤニヤとしながら俺の顔を覗き込んでくる こいつは、俺の何をそんなに気に入ってるのだろうか

一色はイケメンだ。 入学してすぐファンクラブが作られるほどには

浅野 唯月

昼飯食いに行く

一色 翼

着いてって良いんですか!?

浅野 唯月

ダメって言っても来るだろ

一色 翼

先輩のそーゆーとこ、
大好きです♡

浅野 唯月

あっそ

でもこれだぞ

どれだけイケメンでも性格これだぞ

余裕でストーカーとかするタイプだぞ

……女心は分からないな

一色 翼

そういえば、
この辺でこの前気になる店見つけたんですよ!

浅野 唯月

そーなのか?
じゃあそこにする

ニコニコと俺の手を引いて小走りに街を進む

少し長い襟足が春風に吹かれて波打つ

うなじに映る「S」のマーク

こいつも俺と同じ 「シェイカー」だ

一色 翼

サンドイッチ美味しかったですね〜!!

浅野 唯月

思ったよりデカかったな…

一色 翼

だから俺が食べますって
言ったのに〜

浅野 唯月

それは無理

一色 翼

ちぇ〜

一色 翼

あっ、
広いベンチ空いてますよ?

たまたま空いていた広いベンチを せっせと陣取り、自分の膝を軽く叩く

一色 翼

はいっ♪どーぞ♪

今回は…下心が感じられなかった

浅野 唯月

ん…

一色 翼

え…珍しい…

誘われるまま一色の膝に頭を乗せ横になる

人の暖かさってのはどうも落ち着くもんで、 だんだんと眠気が込み上げてきた

澄桜 梓

あれ?唯月くん?

その声を聞いた瞬間、眠気なんか全部吹っ飛んだ

優しく包むような、されどイタズラっ気のある 穏やかな声。

さっきまでの胃のモヤモヤがスゥーっ と溶けていくような

爽やかで、桜のようなふわふわとした匂い

浅野 唯月

澄桜さん…?

澄桜 梓

あっ、すみません
お2人の邪魔をしてしまって…

浅野 唯月

いえいえ!
こんなところで会えるなんて…嬉しいです!✨

一色 翼

あっちょっ先輩…!

急に立ち上がったせいか、体幹がぶれ転倒しかけた ところを、一色が手を伸ばすよりも先に、 澄桜さんが俺を抱き寄せた

浅野 唯月

あっ…す…すいません…!

澄桜 梓

いえいえ。
むしろ俺の方こそ、こんな形になってしまい申し訳ないです…

一色 翼

そう思うなら、先輩のこと離したらどうですか?

一色 翼

誰だか知らないけど、さっきから無駄に距離近いです

一色 翼

SOCIALDISTANCE!

澄桜 梓

あはは…

澄桜 梓

そうしたいのは山々なんですが…

澄桜さんの服を掴み、大きく深呼吸をする

澄桜さんのふわりとした香りにうっとりしていると 一色が勢いよく俺を澄桜さんから引き剥がした

浅野 唯月

なにすんだよ!

一色 翼

それより

一色 翼

説明してくれませんか?

浅野 唯月

何をだよ

一色 翼

その人が誰なのか
先輩とどういう関係なのか

ムスッとしかめっ面をしながら澄桜さんを睨む

ご立派な嫉妬だな。お前は俺の彼氏かよ

澄桜 梓

だって。僕たちの関係
疑われてますよ?

澄桜 梓

可愛い彼氏さんに…♪

浅野 唯月

え!?

浅野 唯月

違います!
付き合ってないです!

にやりと口角を上げ悪戯な笑みを浮かべる

この人のこういう表情は…すごくグッとくる

一色 翼

で?
結局あんた誰なんですか

浅野 唯月

あっえっと…

澄桜 梓

ふふ、いいですよ唯月くん

澄桜 梓

自己紹介が遅くなってしまって。申し訳ないです

澄桜 梓

澄桜 梓
静音大学に通う2年生です

澄桜 梓

唯月くんとは、高校のとき部活が一緒だったんですよ

入学式当日

俺は熱を出し3日間学校を休むことになった

高校生活始まりの3日間ってのは 思ってたよりも重要で

周りに溶け込めずにいた俺に声をかけてくれたのが 澄桜さんだった

一色 翼

うちのOB…

一色 翼

ていうか、静音大学って…

一色 翼

先輩が今年受験するって言ったとこじゃないですか

澄桜 梓

え?

一色の言葉を聞いた澄桜さんが、驚いた様子で こちらを見てくる

しばらく会っていなかったから 受験の話も澄桜さんにはしていない

浅野 唯月

えっと…

浅野 唯月

実は…同じとこ受けようと思ってて…

浅野 唯月

ダメ…ですかね…?

申し訳なさそうに聞くと 澄桜さんはパッと花のような笑顔を咲かせた

澄桜 梓

ダメじゃないですよ

澄桜 梓

むしろとても嬉しいです

浅野 唯月

っ!✨

一色 翼

…先輩

すると、先程まで静かに俺たちの会話を聞いていた 一色が、堪忍袋の緒が切れた…と言わんばかりに 俺の腕を引っ張ってきた

一色 翼

電車遅れます

浅野 唯月

えっ?電車?

一色 翼

行きますよ

浅野 唯月

あっちょっ…

浅野 唯月

澄桜さん!また今度!

そう別れを告げると、さっきの綺麗な笑顔のまま ひらひらと手を振ってくれた

澄桜さんは、名前の通り 澄み切った空に咲く桜のような人だ

綺麗で優しく穏やか。 それでいて艶やかな一面も持ち合わせる 大人な人

そんな俺の大好きな人は

シェイカーである俺と、繋がることのない

" ベース " だ

COCKTIL

羽衣 くらげ

皆さんはじめまして

羽衣 くらげ

羽衣 くらげです

羽衣 くらげ

ここでは物語の構成上加えられなかった用語等の説明をしていきます

静音大学 (せいお だいがく) 全国有数の調理師育成専門学校 音楽の学校じゃないんかい! ってツッコミは受け付けません()

シェイカー 生まれてすぐに分かる第三の性別 シェイカー同士で交わることが出来る 世界で最も人口が多い

ベース 生まれてすぐに分かる第三の性別 ある儀式を行う事で、リキュールと交わることが出来る

リキュール 生まれてすぐに分かる第三の性別 ある儀式をすることでベースと交わることができる。

鮎橋高等学校 (あゆはしこうとうがっこう) 唯月たちの通う高校 バスケ部の強豪として知られている

羽衣 くらげ

というような感じです

羽衣 くらげ

次回!

羽衣 くらげ

第2話「羨ましい」

羽衣 くらげ

お楽しみに…♪

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