テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
がびょ
711
20
れお
222
あの日から1年。
またこの海を見に来ていた。
相変わらずつまんない日々を過ごしてる。
今日もそうなんだって決めつけてた。
なのに、
晴風
凍夏
突然、君が現れた。
悲しいくらいに見慣れた顔の子が、海からこちらを覗いてたんだ。
凍夏
凍夏
凍夏
凍夏
凍夏
凍夏
晴風ちゃんがそこにいて、あたしは耐えられなくて泣き出した。
たくさん謝罪して、海に駆け寄って。
凍夏
近くに来て、ようやく気付いた。
晴風
晴風ちゃんは何も喋らず、ただ無いはずの尾びれを揺らしていた。
晴風ちゃんと再会したあの日から、あたしは毎日海に通っていた。
人魚の晴風ちゃんは喋らないし、ただあたしを見つめるだけ。
…わかってる、きっとあの晴風ちゃんはあたしの幻覚なんだ。
死んだ人が人魚になるなんて、ありえないから。
凍夏
晴風
今日も晴風ちゃんは何も喋らずにそこにいる。
それでもあたしはよかった。
凍夏
喋らなくても、幻覚でも、あたしにとっては幸せな時間だった。
大切な人に会えて嬉しくないわけがないから。
晴風ちゃんと会えるようになって2週間くらい。
凍夏
母
今日も晴風ちゃんの所に行ってお話してきた。
母
お母さんが、真剣な顔で話しかけてきた。
母
母
凍夏
バレた。
全部、バレちゃったんだ。
母
母
母
凍夏
お母さんはきっと正しいことを言ってると思う。
幻覚を見てずっと話してるなんて、おかしいと思う。
母
凍夏
凍夏
でも、治療なんてしちゃったらもう二度と晴風ちゃんに会えない。
そんなことになるなら、あたしおかしいままでいい。
母
母
母
母
凍夏
凍夏
心配してくれてるのにごめんね、お母さん。
でも、あたしはまだ晴風ちゃんといたいんだ。
凍夏
なんで晴風ちゃんに会えなくならなきゃ行けないの?
せっかく見えるようになったのに。
凍夏
晴風ちゃんが見える事実にすがらせてほしい。
晴風ちゃんと幸せでいたいんだ、
まだ今は。
あれからも、お母さんの誘いを断って晴風ちゃんの元に通っている。
凍夏
凍夏
晴風ちゃんの幻覚が見えるようになってから、あたしは明らかにおかしくなっている。
でも、今更やめられなかった。
晴風
晴風ちゃんはずっと、何も言わずに見つめてくる。
このセイレーンは、あたしの心を掴んで離してくれなかった。
毎日お母さんに精神科を勧められて、嫌になってきた。
あたしを癒してくれるのは晴風ちゃんだけ。
だけど、やっぱり話してほしかった。
凍夏
やっぱり、あたしの話を聞いて笑ってほしかった。
晴風
凍夏
変化は突然訪れた。
晴風ちゃんがあたしの名前を呼んで、手招きをしていた。
凍夏
それがなんだか、「もういいよ」って言ってくれてる気がして。
疲れてたあたしは、あの日みたいに海に駆け寄った。
ただ、海に飛び込んだ瞬間、
晴風
凍夏
陸でこっちを見る、人の姿の晴風ちゃんが見えた。
あの日、突然現れた晴風ちゃん。
晴風ちゃんはあたしの幻覚だった。
晴風ちゃんは、疲れたあたしを優しく誘ってくれた。
そんなこと気付いていたけど、目を逸らし続けてた。
そうして晴風ちゃんと同じところへ行って。
限界になって海に飛び込んで。
あたしの罪は終わった。
あたしは罪から逃れた。
コメント
1件
うわ……第2話、すごく重かったね……。 凍夏ちゃんが幻覚って分かってても晴風ちゃんに会いに行くの、切なすぎるよ😢 お母さんの心配も分かるけど、"治療したら会えなくなる"って拒むとこ、胸が締め付けられた。 そしてまさか最終的に海に飛び込んじゃうなんて……人魚の晴風ちゃんが陸から見てたのも伏線だったんだね。 "罪から逃れた"って一文、すごく印象に残った。 続きがすごく気になる……また読みに来るね。