ヒーロー
其れは人々を悪から救済し、愛を与えるもの。
ヴィラン
社会に適応できず零れ落ちた人たち。
僕たちヒーローはヴィランを退治するためではなく、救うために存在するのだ。
警察
ヴィラン
マスクにサングラスを掛けたヴィランが刃物を女性の首に当てる。
女性
女性
女はヴィランが悪いかのような口振りで警察官に助けを求めた。
警察官は腰に掛けてある拳銃を取り出し、ヴィランの足に狙いを定め、引き金を引く。
ぱぁんっ。銃声と共に周りにいた烏、雀が舞い上がった。
ヴィラン
ヴィランは刃物を地面にカランっと音を立てて落とし、足を抱えて丸くなる。
警察
女性
警察
ヴィラン
ヴィラン
女性は警察に保護され負傷者一名の事件だった。
皆様に聞こう。
今此の場で悪はヴィラン?それともヒーロー?
大多数は口を揃えてこう言うだろう。
「ヴィランは人を殺そうとした、だからヴィランが悪だ」
然し、実際ヴィランは殺すどころか女性に傷ひとつ与えていない。
其れに比べてヒーローは銃で自分より圧倒的に弱い武器を持つものを撃ったのだ。
さぁ。何方が悪い?
人間の仲間分けをしたがる性質が歪ませた此の社会を浄化するのは誰だ。
先生
生徒
とある県立中学校。
其処にヴィランの中学生が居た。
机に鉛筆で書かれた痛々しい文字をを放課後になっても尚消しゴムで消していた。
先生
ヴィラン
その中学生は朝上靴を片方隠され、体操服を隠され、机にカッターナイフで傷を付けられ…
教師が声を掛けたのは放課後だった。
ヴィラン
ヴィラン
女性
教師は声を震わせて言った。
ヴィラン
ヴィラン
中学生は涙目で訴える。然し教師は
女性
少女は純粋無垢な心でその言葉を信じて3ヶ月待った。
そして齢14という若さで此の世を去った。
その2日後学校側は会見を開いた。
亡くなった少女は日々の事を日記に記して居たようで学校側は何故対処しなかったのかと問い詰められている。
少女の担任は涙をぽろぽろと流し、
「対処はしたが、結果は変わらなかった。とても申し訳なかった」っと
校長、教頭、担任揃って嘘だらけの会見だった。
その頃のニュースはとても鮮明に覚えている。
助けられたのなら助けろよと怒った記憶も有る。
こんな事で人は死んではならないという思いで私は教師になった。
私はその信念を貫いて、大学卒業後間もなく教師という職についた。
私は虐められている子供を二人救った。
自分を傷つけている子供を4人救った。
とても素晴らしい事をして居ると思う。
校長
先生
校長
校長
先生
私が助けた筈の生徒が死んだ。
事故でも、他殺でもなく、自殺で
其の生徒は自傷行為をしていた、私が見つけて親身に話を聞いて、刃物を親に預かって貰うよう指示して、親御さんに伝えた。
完璧に抜かりなく救った。
校長から一枚の紙を渡された。
先生
校長
二つ折りにされたメモ用紙をそっと開くと其処には「しね」の文字がびっしりと。
最後に「私は貴方に殺された。貴方があの時私を救うフリなどしていなければ私は今も生きていた。一生償え。人殺し」
っと。私は声が出なかった。
足が竦んで地べたに座り込んで泣いた。
私が今泣いたって彼女は戻らないし、過去は変わらない。
後日退職した。
先生
私は自室で首に縄を掛けた。
私は善かれと思って助けた人はかえって地獄に落としてしてしまった。
私は人殺し。
誰か誰が正しくて、誰が間違え?
教えて。
本物のヒーローは
誰?
警察
警察
コメント
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二話の物語の解説をするといじめとか、自傷に焦点を当てるのではなくヒーローの愚かさとか、自惚れて救える人が救えなくなってしまう。そう云うことをする人たちを本当にヒーローと呼べるのか?というところが肝です。学校側は問題を起こしたくない、世間に知られたくないから校内で揉み消して、誰かが亡くなる。 強い信念を持ったかわり偏見が付き纏い誰かを苦しめる。学校の先生って社会経験の少ない人が多いから仕方無いかもね
いじめはそう簡単に無くならない…ニコッ (4年間のいじめ、2年間の脅しを経験した人)