紫
私は霊夢達と別れた後スキマの中にとどまっていた
紫
それは自分の式神達に涙を見せたくなかったから
紫
幻想郷は現世に帰ると記憶がなくなる
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彼も例外ではなかった
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実は彼は幻想郷に来たことがある
紫
しかも彼はその当時最大の異変を解決していった
紫
だから私は彼ととても仲が良かった
紫
...私は彼が好きだった
紫
いつもはふんわりしているのに仲間のことは一番に大事にする
紫
一人が嫌いで何かと理由をつけては私のところに来てた
紫
人懐っこくてみんなに好かれていた彼が...
紫
私は、大好きだった
紫
もうあの時の彼はいない
紫
もうあの彼の笑顔は見れない
紫
たとえ同じ容姿でも一番違いが分かってしまうのは私
紫
そんな中いつも通りを演じるのはつらかった
紫
どうしても涙が流れてしまう
紫
賢者が涙を流すなど笑われてしまうだろう
紫
それでも私にも血は流れている
紫
立派な人間である
紫
涙も流れる
紫
だから一人の時くらい泣いても...
紫
私は膝から床に崩れた
紫
涙が止まらなかった
紫
彼がいなくなった時に涙は枯らしたはずだった
紫
彼がいなくなったのはちょうど100年前
紫
ここで100年経っても外の世界では時間が進まない
紫
しかも彼は妖怪という種族まで付与されていた
紫
だから彼はいなくならないと思っていた
紫
しかし、それは違った
紫
彼はいなくなってしまった
紫
涙をのんだのは私だけではなかった
紫
一緒に戦った鬼や他の妖怪なども
紫
その中には霊華もいた
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霊華は霊夢の母親だ
紫
彼女は特に悲しんでいた
紫
私と同じように彼に恋をしていたからだ
紫
彼女は好きなことを誰にも知られないようにしていた
紫
「 博麗の巫女が恋をするなど...」 と言っていたからだ
紫
「霊華、あんた思い伝えなくていいの??」
紫
「 彼のこと好きなんでしょ?」
霊華
「 私は博麗の巫女だ」
霊華
「 博麗の巫女としてやることをやらないと恋などできない」
霊華
「 中途半端は嫌いなもんでね」
霊華
「 それに彼も中途半端な女なんて好きじゃないだろう」
紫
「 霊華は本当に真面目ねぇ」
紫
「 好きなら好きって伝えればいいのに」
紫
「 じゃないと彼はどっか行っちゃうかもよ?」
霊華
「 彼は妖怪兼人間だ」
霊華
「 死ぬことなどないだろう」
霊華
「 ましてや私たちから離れるなんてことも...」
紫
「 それもそうね」
紫
あの時の会話は今でも鮮明に思い出せる
紫
あの会話をした翌日、彼がいなくなったのだ
紫
彼がいなくなった後、霊華は病で倒れた
紫
そして17年前、霊華は亡くなった
紫
彼女は彼に何も答えないままこの世を去ることになってしまった
紫
私はスキマの中で泣き続けた
紫
戻ってこない彼と彼女
紫
私は最愛の二人を失ってこれからどうして行けばいいのだろう
紫
それでも前に進まないといけない
紫
それこそ、こんな姿を彼と彼女に見られては
紫
二人に心配されてしまうだろう
紫
だから泣くのはこれで最後にしよう
紫
これからはあの二人に心配されないためにも
紫
「 あの彼」にも私は普通に振る舞わなくてはいけない
紫
だから私は泣いた
紫
これから泣くことのないように
紫
今ある涙を出し切るために
紫
声を出し膝をついて
紫
子供のように、泣いた...
霊夢
「ん?あれって」
魔理沙
「 秦こころじゃないか」
魔理沙
「 あいつを見かけるのは珍しいな」
霊夢
「 そうね」
霊夢
「 あの子が人里に降りてくるのは何か用があるからかしら」
魔理沙
「 おーい!こころ〜!」
こころ
「 霊夢と魔理沙じゃん」
こころ
「 どうしたの?」
霊夢
「 私達は紅魔館に行くところよ」
こころ
「ねぇ...その人...誰?」
霊夢
「 こいつは外から来た住民よ」
莉桜
「こいつって...」
こころ
「 彼を...少し借りてもいい?」
霊夢
「 別にいいけど...」
霊夢
「 結構時間かかりそう?」
こころ
「 そんなことない」
こころ
「 すぐ終わると思う」
霊夢
「 じゃあいいわよ」
こころ
「 ありがとう」
こころ
「名前は?」
莉桜
「り、莉桜です」
こころ
「 わかった」
莉桜
「あ、あなたは...?」
こころ
「 私は秦こころ」
こころ
「 気軽にこころって呼んでくれて構わないわ」
こころ
「 それであなたはここに選んだ理由はね...」
こころ
「 あなた、何か隠してない?」
莉桜
「 特には隠してないです...」
こころ
( 自覚がない...)
こころ
( 彼の中からもう一つの感情が見える)
こころ
( 彼と似た、別の感情が...)
こころ
「 教えてくれてありがとう」
莉桜
「 それだけですか...?」
こころ
「 それだけよ」
こころ
「 あ、あと一つ」
ガサゴソガサゴソガサゴソ
こころ
「 これを受け取って」
莉桜
「 これは...?」
こころ
「 これはあなたを守ってくれる」
こころ
「 もしピンチになったり命の危機になったりしたら」
こころ
「 これを身につけてみて」
莉桜
「 わ、分かった...」
こころ
「それだけ」
こころ
「 聞いてくれてありがとね」
こころ
「 それじゃあ行っていいよ」
こころ
「 あ、待って!」
こころ
「 一つ言うの忘れてた」
こころ
「 それをもらったことは誰にも言わないこと」
こころ
「 守ってね」
莉桜
「 わ、わかった...」
莉桜が去った後...
こころ
( 彼の中の感情はとても強い)
こころ
( 強いっていうのは実力的なこと)
こころ
( 多分誰にも負けないほど強い)
こころ
( だけど、何か嫌な予感がする...)
こころ
( 気をつけて...)
夢主
ご視聴ありがとうございました!
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また次回会いましょう!