ヤンデレカリスマお姉さん③

……そうだった、今の今まで 気にも留めていなかったが

姉貴は毎日俺の部屋に ちょっかいかけに来て……

記憶を辿ってみれば、 確かにその度に毎回姉は……

言葉も出なかった。 姉が毎日俺の部屋に来るように なったのはかなり前からだ

それなのに、何で…

そんなに前から、 俺をこうやって貶めようと してたって事なのか……？！

何やってるんだろう 今更キレて抵抗したって 何の意味もないのに。

…ただ、毎日のように 俺の部屋に来て、笑わせに来て…

……何だかんだ凄く優しくて、 良いお姉さんだった。……

……俺は姉のそんな部分に、 嫉妬していたのかも知れない。

だから毎日の様に跳ね除けて……

けど、

あいつが部屋に来る度、 俺はいっぱい笑ったんだなぁ…

気付いたら、目から 涙が零れ落ちていた。

何で自分が泣いてるのか、 自分でも分からない。

逃げられなくなって、 困惑して、自暴自棄になって…

それで泣いてるのか？ …それが一番納得が行くけど。

そうじゃない。

優しかった姉が、 あんなに呑気で面白い姉が、

あんなに俺を笑わせてくれた 姉が、いなくなったようで。

昔の俺はヘタレで、 いっつも姉の背中にいて……

姉に縋り付いて、 胸の中で泣いたりして……

……その度にしっかり守ってくれて よしよしって面倒見てくれて……

…今じゃ、皆の憧れなのに 毎日飽きもせずたかが弟の 俺に構ってくれちゃってさ…

そんな姉が、別人の様で…

無様に崩れ落ちて、 子供みたいに号泣する紅

後ろにいる姉が、スっと こちらに手を伸ばして…

優しく、抱きしめた。

少しはっとなり時計を見ると 時刻は9時15分だった。

段々我に帰っていく内 到底そんな気分になれない と、肩の力を落とした