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静かに並んで座るふたり。

その時だった。

ねっぴーの頭の奥で

突然冷たいような声が走った。

脳内の声

……関わるなっ

脳内の声

山本と話すな

脳内の声

思い出すな

脳内の声

山本と関わったら……

脳内の声

壊されるよ?、君は終わるよ?

ねっぴー

なに……っ!

ねっぴー

また、頭が……!

鼓動が一気に早くなる。

山本の存在が

急に恐ろしい何かのように見えてくる。

ねっぴー

(俺を壊す……?)

ねっぴー

(いや、そんなわけ……)

ねっぴー

(でも、でも)

ねっぴー

……っ、やっぱ……ダメだ……

ねっぴー

俺……!

ダークネス山本

ねっぴー?

ねっぴー

近づくな……っ、

ねっぴー

お前、お前と関わったら

ねっぴー

俺、壊されるっ……!

ダークネス山本

待って、ねっぴー!?

ダークネス山本

落ち着いて!

ねっぴー

やだ……やだっ、

ねっぴー

怖い……なんで

ねっぴー

なんで、そんな顔してんだよ……!!

そう叫ぶと、

ねっぴーは立ち上がってそのまま走り出した。

ダークネス山本

ねっぴー!!

ダークネス山本

待って!!

ダークネス山本

お願いだから、逃げないで……っ!

すぐに山本も追いかける。

けれど距離は一向に縮まらない、

走っても走っても、

ねっぴーの背中が遠い。

ダークネス山本

追いつかない……

ダークネス山本

なんで……身体が……

ふらり、と山本の視界が傾いた。

足がもつれ、

アスファルトを蹴る力が抜けていく。

ダークネス山本

っ、だめだ……っ、

ダークネス山本

ねっぴー……待ってくれ……!

過去の疲労と、焦りと、不安。

すべてが体を重くしていく。

その時、

遠くの街角の影に、

小さくうずくまった背中を見つけた。

ねっぴーだった。

肩を震わせ、まるで子供みたいに

両腕で自分を抱きながら、

壁にもたれて座り込んでいた。

ダークネス山本

いた……ねっぴー……

倒れそうな足取りで、

まっすぐねっぴーの所へ進んだ。

ねっぴー

来るなよ。

ねっぴー

おれに構うなって言ってんの、

ねっぴー

聞こえねぇのかよ

ダークネス山本

うん、聞こえる。

ダークネス山本

でも……嫌だ

ねっぴー

…あ? なんだよ嫌だって。

ねっぴー

命令されてんだよ俺は。

ねっぴー

お前と話すなって、逃げろって、

ねっぴー

関わったら俺は終わるって、

ねっぴー

ずっと、ずっと言われてんだよ……!

ダークネス山本

……知ってるよ。

ダークネス山本

ねっぴーの中で、誰かが命令してるんだろ?

ダークネス山本

俺、全部知ってるよ

ねっぴー

……っ!

ねっぴーは後ずさる。

壁に背中がぶつかった。

ねっぴー

俺はもう、

ねっぴー

お前と関わっちゃいけねぇんだよ……!

ねっぴー

怖ぇんだよ、山本……

ねっぴー

お前が怖ぇんだよ……!

ダークネス山本

怖がらせて、ごめん。

ダークネス山本

でも俺はどこにも行かない

ダークネス山本

お前が命令されてても、

ダークネス山本

俺はここにいる。

ダークネス山本

ねっぴー、逃げないで。怖くないよ

ねっぴー

……うるせぇ……俺は……

ねっぴー

俺は……っ

ねっぴーは歯を食いしばり、

涙がこぼれそうになるのを堪える。

ダークネス山本

そばにいるよ。

ダークネス山本

どんなに怖くても、命令がどんなに強くても、

ダークネス山本

俺が何度でも言う。

ダークネス山本

お前は俺といていいんだ。

ダークネス山本

それが事実だよ

山本の瞳はまっすぐだった。

怯えも、怒りも、何一つない。

ただねっぴーを思う強さだけがあった。

ねっぴー

……なんで、そんな目で見んだよ……

ねっぴー

俺がどんなに、汚れてても、壊れてても……

ねっぴー

お前は……

ダークネス山本

ねっぴーは壊れてなんかいない。

ダークネス山本

誰かにそう思わされてるだけだ

静かに、山本は手を伸ばす

ダークネス山本

触れてもいい?

ねっぴーは少し迷ったあと、

ゆっくり頷いた。

山本の手が、

ねっぴーの頬にそっと触れる。

ねっぴー

……ああ、クソ……なんでだよ。

ねっぴー

なんでお前の手は、こんな……あたたかいんだよ……

ダークネス山本

ねっぴー、信じて。

ダークネス山本

俺はお前を見捨てない、

ねっぴー

ねっぴーは小さく震えながら、

山本の胸元に顔を埋めた

山本は何も言わず、

その背中を抱きしめた。

けれどまだ脳内の声はまだ囁いている。

脳内の声

油断するな。

脳内の声

山本は危険だ。

それでもねっぴーは

山本の胸の音を聞いていた。

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