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あの鏡

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あの鏡

1 - あの鏡

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8

2018年07月26日

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その鏡はショーウィンドウにあるどの鏡よりも私の目を引いた

仕事帰りに通りかかる度見える

その鏡はとても買えなくて。

半年たって漸く買えるお金が手に入った

漸くあの鏡が買える

そう思うととても胸が高鳴るのを感じた

店員

いらっしゃいませ~

紗由理

あの、白黒の鏡が欲しいのですが

店員

あの鏡を・・・!?

紗由理

ええ。

店員

・・・畏まりました。では、鏡を買って何か起こっても責任を負いません。

紗由理

大丈夫です。

漸く、漸く買えたんだ・・・!

私はそう思いながら家に帰る近道の公園を通りかかった

そのときだった

おじいちゃん

紗由理ちゃん。

紗由理

あれ、おじいちゃん?

おじいちゃん

その袋の中に何が入っておる

紗由理

白黒の鏡だよ。

おじいちゃん

白黒・・・か。

おじいちゃん

その鏡をすぐ手放すのじゃ

紗由理

どうして?

おじいちゃん

その鏡は・・・

紗由理

もう!口を出さないで!

おじいちゃん

紗由理・・・ちゃん・・・

なんで!なんでなのよ・・・

どうして口を出すの!?

もうやだ。

一ヶ月

1年

1年半

紗由理

買って1年半か・・・

紗由理

今日も仕事行かなきゃ・・・

職場

紗由理

おはよう・・・ございます

美春

おはよー、紗由理ちゃん

美春

ねぇ、ここ最近窶れてない?

紗由理

美春先輩・・・そんなことないです。

・・・本当は自分でも窶れていると思っている。

でも、美春先輩に迷惑を掛けるわけにいかない。

そういえばおじいちゃんどうしたかな?

今日、何か買って寄ってみよう

ついでに鏡のこと聞いてみよ

おじいちゃん宅

紗由理

おじいちゃーん?

おじいちゃん

おお。紗由理ちゃん

紗由理

あのさ、前はごめんね

おじいちゃん

大丈夫じゃよ

紗由理

あのさ、これ

おじいちゃん

おお。ありがとう

紗由理

それと、何であんなに鏡を嫌うの?

おじいちゃん

・・・実はな、わしの子供は紗由理ちゃんの父、徹だけでなく結子もいたんだ。

おじいちゃん

結子は徹の妹でな、とても思いやりのある子じゃった。

おじいちゃん

でな、結子は紗由理ちゃんの持っているその鏡を買って来たんじゃ

おじいちゃん

『お父さん、私鏡買ったの。綺麗でしょう?』って自慢げに話してきた。

おじいちゃん

でも、そこから結子はおかしくなった

おじいちゃん

何処へいくえも持っていく・・・

おじいちゃん

そんなある日結子は用事の帰りだった

過去

結子

今日も綺麗ね・・・

交差点

ブーン

結子

え?

―――――――――――

おじいちゃん

結子は交通事故にあったのじゃ

おじいちゃん

わしは病院で息を引き取る結子から最後の言葉を聞いたのじゃ

おじいちゃん

『あの白黒の鏡を・・・割れていても良いから取っ手がなくても良いから一緒に焼いて』

おじいちゃん

わしはその通りにした。

おじいちゃん

けれど紗由理ちゃんが持っているときとても驚いた

紗由理

そうだったんだ。

その日の内に売りに行ったのは言うまでもない

買いとり店

店員

いらっしゃいませ

美春

あの、この白黒の鏡下さいます?

その日紗由理は憎悪を感じた

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