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夢を見た
内容はよく覚えていないが 、夢の中のオレは楽しそうで 、現実を捨てたくなる程幸せなものだった
――――気がする
まあ夢が現実より好ましいなんて当然のことだ
あ 、今向こうで白い鳩が飛んで――
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
“ 初めまして ”
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
この世界に稀に存在する “タイプ” という性質を持った人間 。 決まって毎年世界にたったの16人ずつ生まれる人種 。 そんな特殊な人間が集まる施設――もとい学校 。
それがここ 、 名門校 “マイヤーズ=ブリッグス・タイプ・カレッジ” 。 通称 “MBTI” 。
一般入試は受け付けておらず 、“タイプ” である者のみが入学する権利を得られる 。
“タイプ” は一般人の様な名を持たず 、彼らの様に4字のアルファベットによって構成された名を持っている 。
何かと日頃から世話を焼いているのはENTPの唯一の幼馴染である INFP 。 人助けを生き甲斐とするタイプの持ち主 。
“タイプ” 同士の相性というものも存在するが 、例え相性が悪くとも個人としての人格によって意味をなさない一例もある 。
その一部に当てはまるのが彼らだ 。
ᎬᚻᎢᏢ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
INFPが鍵棚から教室の鍵を手早く手に取り早くも背を向け職員室を出て行く様を見れば
オレ要らなかったろ
――なんて内心莫大な量の文句を連ねながらも彼女に続いて職員室を出ようと背を向けると同時に職員室と廊下を跨ごうとした――――
ドッ
ᎬᚻᎢᏢ
物体に軽く衝突した鈍い音が小さく聞こえた 。
そうか 、人とぶつかったのか 。
そう素早く認識し 、衝突した際に反射的に瞑ってしまった眼をこじ開け 決して謝意の気持ちはない突発的に出る形だけの謝罪を述べようと口を開く 。
ᎬᚻᎢᏢ
そこで音は止まった 。
はくはくと口だけが 無意識に動いているような気がする 。
だって俺には眩しすぎたんだ 。
ᎬᎦᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᎦᎢᏢ
視線を彼の顔から下げていくと 、首から下げられたプレートに目が行った 。
本来在校生に支給される名札の代わりだが 、明らかに見慣れない顔なのは確かだ 。
… ESTP ……
ᎬᎦᎢᏢ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
予想外のタイミングで横槍が入りマヌケにも程がある素っ頓狂な声が出てしまった 。
ᎬᚻᎢᏢ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
オレはその場から逃げるようにINFPの背中を強く押して速足で廊下に出た 。
暫く歩いてからやっと歩を緩め 、何となく来た方向を横目で覗く 。
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
ᎬᚻᎢᏢ
人間性の悪さが垣間見える感想を述べ 、脱力した勢いのあまり机の上に組んだ両足を乗せる 。 そんなENTPを注意することを忘れ 、横で残念そうに眼前の黒板を呆然と見詰めるINFP 。
その内 まだ少し聞き慣れない鐘の音が校内に響き 、タイミング良く担当教師が入室し 、教卓に位置する 。
教師
Ꭸᚻ𝙵Ꮲ
最早流れ作業なのか 、後ろの席で盛大に机の上に足を乗せているENTPすら見えていないらしい 。
それを鼻で笑いながら号令には取り合えず参加し 、今日の日直らしいINFPの「 着席 」の声がかかる前に若干先駆けて着席し 、今度は大人しく机の下で脚を組む 。
教師
!?
生徒
生徒
… なわけねーよな
そんな教師の突然の発表にざわめく教室 。特に女子からは歓声と念仏の様な声が目立って聞こえてくる 。
これを想定していた様子の教師は一応落ち着くよう呼びかけるが勿論雑音で満たされたこの教室で彼の指示が耳に入った者は一人としていない 。
教師
止まないと思われていた雑音は何故か教師の一言で搔き消えた 。
ᎬᎦᎢᏢ
ᎬᚻᎢᏢ
今は春の終わり頃
オレにとってはひと味違う春の延長戦が 始まろうとしていた――