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誰も俺の事なんか、 本気で見てないって思ってた。 メンバーに会うまでは。 笑っていれば大体のことは隠せた。 皮肉も毒も軽口に包んで、 ツッコまれる前に先に笑えば、 相手は深くは踏み込んでこない。 それが俺の生き方だった。 ずっと、自分自身を守るための鎖だった。 ラップを始めたのは なにか新しいことに挑戦したいと思ったからだ。 自分でも単純過ぎるのはわかってる。 けど始めてみたら以外にも楽しくて。楽しすぎて。 でも本音は誰にも話さない。 あおって何考えてるかわかんない。 何度もそう言われてきた。 でも別にわかって欲しいとは思わなかった。 そう思い込んでいた。 アストレインの練習生になった最初の頃。 自分の居場所はここにもないと思っていた。 ラップの実力には自信があった。 けれど、他のラップラインのメンバー、じぬやしうにマイクを回すたび、 何かに引っかかった。 俺の言葉は誰にも届いてない気がする。 ある日練習室に1人残っていたとき、 練習室のドアが開き、じぬが入ってきた。
JINU
JINU
息が止まりそうになった。 バレてた。 誰にも悟られないようにしてきたのに。
JINU
小さく笑うリーダー。 逃げなくていい。 そう言われ気がした。 あれから俺は少しずつ変わっていった。 ふざけるのは変わらない。 けれどたまに誰かの背中を叩く時だけは、 本当の言葉を使うようになっていた。 デビュー直前、しうとのラップセッションで、 俺ははじめて自分の過去を書いたリリックを披露する。 黙り込むしうに照れ隠しのように笑っていた。
AO
そう言うと鼻で笑ってしうは答える。
SIU
今、アストレインの真ん中でマイクを持つ自分は。 以前より少し素直になった。 笑いながらも、 大事なものはちゃんと守っている。 本気になったら壊れると思っていた。 でも今は違う。 この宇宙のどこかで、 自分の言葉を待っている誰かがいると信じて、 マイクを握る。 誰より自由に、本気で。
ハートとか沢山つけて下さりありがとうございます まじ感謝ですわ