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メトロノーム

4 - メトロノーム#4

♥

60

2022年01月25日

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俺らは、すれ違ってしまったとしても、

いつもなら必ず仲直り出来てた、

のに、

仲直りじゃなく、別れると言う 選択肢を取らせてしまった俺は

きっと今まで以上にどうかしている、

自分をほぼ毎日責め続けて 自暴自棄になって

もう苦しいとしか思えなくなった時、

俺の記憶の中で

一つだけ思い出したことがある、

別れを告げる時、

彼女の声は震えていた

俺がどうかしているのに気づいた彼女は、俺のためにもこうしてくれたのか?

だから、彼女は声が震えていたのか?

本当はまだ好きでいてくれてたのだ、と勝手に確信してるけど、

もしそれが本当なら 俺は、最後の最後までクズでいることになる、

すれ違って終わってしまったなら

背中合わせの状態で顔を合わせることなく

お互いの道に進んでしまうのなら

振り返った頃には きっと彼女の姿は見えなくなるし 俺の姿も彼女からは見えなくなる、

あの日からズレたテンポを奏でたメトロノームも

きっといつか同じテンポを示してくれるなら、

そのまま歩き続けていたら、

地球の裏側でいつかもう一度 出会うことが出来るのだろうか、

俺はひたすら歩き続けた

彼女に会えることを信じて

目指した場所は

彼女との思い出の場所なんかじゃない、

彼女と行きたかった場所でもない、

目指したのは、

俺と彼女が初めて出会った大学

会えることを信じて来たけど

来るわけがない、

だって大学は2人とも卒業して一年以上経つ

何らかのイベントがない限り来ることは無い

けれど、今はイベントがある訳でも これから始まる訳でもない

なんでもない日に

俺と彼女の始まった場所を訪れた

たとえ今日が何らかのイベントだったりなにかがあったとしても、

彼女が俺の知らない場所で 何かをしていたとしても、

俺は、この場所で彼女を愛することを毎日のように誓うだろう

伝えたいことがたくさん増えていくだけの俺を、

伝えたいことが途切れることなく 減ることもない俺を、

笑ってくれていいから、

どんなに責められても 俺は受け止めるから、

俺には、

彼女が、

はるだけが、

必要で、大切で、

かけがえのない存在だから、

神様がもしいるのなら、

俺にこの先どんな試練を与えてもいいから、

彼女と会えるようにしてください、

なんて願い、叶うことは無いのか、

俺が大学に行ってから数ヶ月後、

桜の季節になって、

俺が彼女と別れてから1年が経っていた、

何となくもう一度行ってみたい、

そう思って大学へと足を進めた

味気ない風景なことには変わりはない、

けど、

なにか変わったような気がした、

なんだろ、

建物も、空も、何も

変わったところはない

何が違うかわからないまま、

俺は、帰ろうかと思い

足を引いた

その時、

俺は、夢を見ているのかと思った

目を擦っても、

頬を叩いてみても、

夢じゃないし、 痛いし、

俺は、死んだのか? とまで考えたくらいだ、

だって、目の前にいるのは、

坂浜はる

れ、ん、?

目黒蓮

はる、?

目黒蓮

なんで、

坂浜はる

それは、私の台詞なんだけど、

目黒蓮

あ、いや、

思ってもいなかった、

はるに1年もの間どこを探しても会えなかったのに、

目の前にふわっと現れたのだから、

目黒蓮

元気、だったの?

坂浜はる

うん、まぁ、

坂浜はる

そっちは、、なんか痩せた?

目黒蓮

え?あ、そう?

坂浜はる

ちょっとあっち座って話さない?

目黒蓮

うん、わかった

大学の裏庭にあるベンチに座って、彼女は俺に聞いてくる

坂浜はる

なんでここにいるの?

目黒蓮

何となく

坂浜はる

そっか、

目黒蓮

はるは?

坂浜はる

何となく

目黒蓮

一緒かよ

坂浜はる

ふふっ

久しぶりかも、

ちゃんと話して、

しっかり笑って、

俺は、一年以上言えていなかったことを口に出す

目黒蓮

あのさ、

目黒蓮

俺、あれからはるに謝りたいことと感謝したいことがいっぱいあった

坂浜はる

え?

目黒蓮

倦怠期を理由に浮気したことも、
俺が冷たく接してても必ず優しくしてれたことも、

目黒蓮

俺、自分のことしか頭になくて

目黒蓮

子供みたいにコロコロやること変えて、

目黒蓮

自分を見失ってた、

坂浜はる

そんな、

目黒蓮

俺さ、

目黒蓮

もう一度だけ、

目黒蓮

やり直したい、

目黒蓮

俺に2回目とかないと思ってる、

目黒蓮

でも、

目黒蓮

俺には、はるが必要で、大切で、

目黒蓮

はるを幸せに出来る男になるって
振られた日に誓って、もう手遅れなのに、

目黒蓮

俺は、春に、

目黒蓮

笑われても、怒られても、

目黒蓮

どうなってもいい、

目黒蓮

けど俺は、馬鹿なんだよな、

目黒蓮

一年以上経つのに1日も忘れられなかった、

自分の回りきってない頭の中にある精一杯の言葉で気持ちを伝える、

坂浜はる

蓮、

坂浜はる

私こそ馬鹿なんだよ?

目黒蓮

え?

坂浜はる

幸せになってね、

坂浜はる

なんて言ったって私も忘れることなんかなかった、

坂浜はる

1人だけ新しく付き合った人はいたけど

坂浜はる

蓮みたいに波長が合う人じゃなかったんだもん

坂浜はる

私こそ、笑って欲しい、

坂浜はる

ねぇ、蓮

坂浜はる

私のわがまま聞いてよ、

目黒蓮

なに?

坂浜はる

もう1回蓮と付き合いたい

目黒蓮

へ、

俺の中では時が止まった、

それと同時に今までの記憶がフラッシュバックした

あんなことされてなんで?

普通なら二度と私の前に現れないで なんて言ってくると思った

なのに、はるは、

“もう1回蓮と付き合いたい”

って、

目黒蓮

ほんとうに?

坂浜はる

なんで今嘘言うの

ふふっと笑う彼女の顔は優しかった

目黒蓮

今まで以上に大切にするから、

目黒蓮

よろしくお願いします

坂浜はる

大好き

そう言ってベンチから立ち上がったかと思えば、 俺の上に座って抱きついてくる、

坂浜はる

次やったらタダじゃおかないからね

もう二度としないよ、

俺は彼女にも、神様にも誓った

メトロノームのテンポはあれから先、

ズレることなく

同じテンポでリズムを刻み続けていた、

“俺には はるだけいて欲しいんだ”

END

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60

コメント

6

ユーザー

主さん…まじで ありがとうでしかない ですわ(இωஇ )ブワッ

ユーザー

素敵すぎる!

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