コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
2時間後。 予めセットしていたタイマーが鳴る。
奏斗
優菜
結果は優菜の負け。優菜はまさかの負けに動揺が隠せなかったが、奏斗が「早く聞きたい」と言ってきたので、早速話し始めた。
優菜
あの日の父の最後の姿。優菜は鮮明に覚えている。あの時の父は、優菜のことを一番に考えてくれていた。あんな父が好きだった。父が肺がんにさえならなければ、優菜が一人になることはならなかった。
気づけば、優菜は感傷に浸っていた。奏斗の前では決して泣くまいと、溢れそうな感情を必死にこらえる。
優菜
ついさっきまで俯いていた奏斗が微かな笑みを見せる。
優菜
優菜はリビングに飾ってあるドライフラワーを指さす。これは優菜が十歳の時の誕生日プレゼントだったと話すと、奏斗は明らかな笑みを浮かべた。
優菜
奏斗が拍手をする。優菜の中では、聞いてくれたんだという喜びが大きかった。次は、奏斗が話す番だ。
奏斗
優菜はぞっとした。もし今も両親が生きていたら。視力のほとんどない両親が車を運転したら、病気ではなく事故で死ぬことになる。そのため、あまりに無惨な姿で両親を見送りたくなかった。
奏斗
奏斗の素直な気持ちを受け止めようと、優菜は彼の願いを聞くことにした。
優菜
奏斗
奏斗のやりたいことを尊重して、優菜は奏斗に旅行は具体的にどこに行きたいのか尋ねた。
奏斗
優菜
そんな素直に表される奏斗の願いを叶えるのに、優菜は責任が大きいと感じた。