出会いは、衝撃だった

自販機で飲み物を買おうとしたら先客がいて ずいぶん背が高いな、なんて思いながら後ろで順番を待っていると

ﾁｬﾘ-ﾝ

彼が入れようとした500円玉が自販機の下に落ちていってしまった

空気が凍りつく 少し猫背な背中から負のオーラを感じる

後ろにいる私の存在に気づいているのかいないのか、舌打ちをし、なんの迷いもなく千円を入れて飲み物を買った

なんと、そのまま歩きだしたのだ てっきり買ってから屈んで探すのかと思いきや

あまりの事につい呼び止めるとﾋﾟﾀﾘと足を止め、こっちを見た

第一印象【神経質そう】

180を優に超える長身に、不機嫌そうな声色と表情。羽織っているジャージで運動部なんだと理解した しかし呼び止めたのは私で、お金を拾おうともしないその態度に若干の不穏さがある

不機嫌そうな目で自販機を見てる

毅然としたその態度に少したじろぐ まぁ、確かに綺麗な場所ではないけれど…

自分の財布から500円出した

持っていたプリントを筒にして自販機の下を探る。覗くと500円玉が少し奥にあるのが見えた

何とか腕を伸ばし筒を当て、こちら側に手繰り寄せると出てきた 立ち上がってスカートについた埃などを払っていると視線に気づき、顔を上げると何とも言えない顔をしていた

本日2回目の凍りつく空気 私の普通は、どうやら彼には普通じゃないらしい

お互いこの時

変な人だな と思った

そして沈黙 しかし何故か嫌な感じはなく、 初めて会ったタイプの人間 そんな出会いだった