綺彩(キト)
えっ…貴方が…この…
声の…持ち主…?
綺空(キア)
はい…!
綺彩(キト)
あっ…あのっ…その…
言葉が詰まる
頭を沢山の疑問がよぎり
上手く話せない
すると綺空は先に言葉を発した
綺空(キア)
…私と貴方の名前
どこか似ているでしょう?
綺彩(キト)
えっ…あっ…はい…
綺空(キア)
私の母は亡くなったんです。
綺空(キア)
亡くなった母は私の弟を産む時…
「この子は貴方が守ってね」
綺空(キア)
そう言われました。
綺空(キア)
私は必死に弟を探しました
綺空(キア)
それから約8年ほどでしょうか…
綺空(キア)
やっと弟が見つかりました。
綺彩(キト)
弟さん…見つかって良かったですね…
綺空(キア)
はい。
綺空(キア)
貴方が
私の弟なんですから
綺彩(キト)
……え?
綺彩(キト)
いやっ…俺に兄弟はいないはず…
綺空(キア)
私は綺彩さんを守るために離れたんです。
綺空(キア)
いやっ…母が貴方を守りたかったんです。
綺空(キア)
母は「死ぬまでこの子は私が守る、綺空は普通の暮らしをして、幸せになってね」
綺空(キア)
そう言いました。
頭がこんがらがる
綺空さんが俺の姉…?
そしたら母は「亡くなった」…
綺彩(キト)
母は…もういないんですかッ…?
綺空(キア)
…はい
綺彩(キト)
嘘だッ…そんなッ…
あの後、綺空と血液検査に行き
結果は同じだった
母はもういない
寒い夜も
暑い昼も
暖かな朝も
どこを探したって母はいないんだ
そう…頭で分かっていても
信じ切れずに
ただ1人で歌っていた
顔が赤くなるほどに泣きながら