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ザブーンザブーン

波の音が俺に語りかける。 もはや放心状態の俺を包むように。

場地 圭介

なんで、、、

場地 圭介

澪葉、、、戻って来いよ、、

しかし、彼女の後ろ姿は次第に小さくなっていく。

場地 圭介

終わりにしようって、、、なんだよ、、それ

場地 圭介

愛想つかされたのか、、?

場地 圭介

じゃあ、、なんで、、泣いたんだよ、、、

ただ、ひたすら自問自答を繰り返した。

なぜ彼女は自ら別れを 告げておきながら、苦しそうな顔で 泣いたのだろうか。

場地 圭介

わかんねぇよ、、、。

ふと、彼女の声が聞こえた気がした。 「圭介っ」と、明るい澄んだ声で うれしそうに駆け寄ってくる 彼女が視えた。

場地 圭介

崖、行くか、、。

誰もいない所で 風に当たりたかった。

きっとここで身を投げても 誰も気づかないだろうな、 なんて思いながら 髪を結ぶ。

場地 圭介

はぁ、疲れたな、、

場地 圭介

もう、誰もいねぇんだな、、

場地 圭介

俺の味方はどこにも、、いねぇんだな

涙が溜まって、視界が霞む。 しかし、涙を流していい訳がない。

涙を流す資格すら、 自分にはない。

流れてこないように、点を仰ぎ、 瞳を閉じる。 そして、寝転ぶ。

場地 圭介

ばいばい、、か、、。

彼女は初めてそう言った。

付き合いたての頃、 一緒に決めたんだ、、確か。

''「またね」は次も会うための約束だから。'' そう言った彼女が脳裏をよぎる。

あれは、去年の夏真っ只中 だったか、、。セミがやかましく 鳴いていた、、。

澪葉の母親が突如 死んだのだ。

しかし、彼女は取り乱すことなく、 父親と喪主を務めていた。

彼女が心配で 参列しに行った。

木が鬱蒼と茂った寺だった。 帰り際、彼女が駆け寄ってきた。

澪葉

圭介、、っ

場地 圭介

、、お前が心配で来ちまった。

澪葉

、、、ありがとう、、。

場地 圭介

、、あぁ。

澪葉

なんで、こんなに落ち着いてるんだ?って思ってるでしょ。

場地 圭介

、、、。

澪葉

信じて、、ないから。

場地 圭介

、、え?

澪葉

お母さんは死んでない、、

場地 圭介

でも、、火葬の時に見ただろ、、

澪葉

うん、、けど、あれはお母さんじゃない、、

場地 圭介

は、、?澪葉お前、何言って、、

澪葉

ねぇ、圭介、私の身の上、
聞いて、、?

場地 圭介

、、あぁ、聞くよ。

彼女は何かに取り憑かれたような 洗脳されたような目をしていた。

きっと、ショックが大きすぎたのだろう。 華奢な中学2年生にかかった重荷は そう軽いものではなかったのだろう。

ミーンミーンミーンミーン

澪葉

私ね、お父さんいないんだ、、。

場地 圭介

え、、一緒に喪主してた人
父親じゃないのか、、?

澪葉

あの人は、義理の父親。

澪葉

私の実の父親は、私が生まれてすぐ
事故で亡くなったんだって、、。

澪葉

お母さんが、教えてくれたの、、。

場地 圭介

っ、、、、

澪葉

その後は、女手一つでお母さんに
育てられてきたんだ、、

場地 圭介

そう、、だったんだな、、、

澪葉

うん、、。お母さんはいつも優しいの。いつも、にこにこしてて、美人で、
私お母さんが大好きなんだぁ、、、(^^)

場地 圭介

いい、、娘だな、、

澪葉

ふふっ、そんなことないよ。
それでね、お母さんが再婚したのは、
おととしの秋。

澪葉

私、すごく嬉しかったんだぁ、、。
ずっと1人で頑張ってきたお母さんだから、今のお父さんと出会って、すごく、
すごく、幸せそうだった。

場地 圭介

そうか、、、

澪葉

今のお父さんも、すごく優しくていい人だし、、。

澪葉

でもね、、今年の初春くらいに、病気が、、見つかったの、、。

場地 圭介

ーーっ、、、!

澪葉

乳がん、、?だっけ、
もう、手の施しようが
なかったんだって、、。

澪葉

それを聞いたのも、、 容態が
悪くなってからだったんだけどね、、。

澪葉

お父さんは、知ってたみたい。

澪葉

私とお母さんは、軽い胃腸炎か何か
だから、って聞かされてた、、。

場地 圭介

澪葉

それが、、今年の5月とかだったっけ、、、。

澪葉

それから、お母さんは寝てることが
多くなって、、、

澪葉

起きてても、すごく苦しそうだった、、。

澪葉

でも、そこから、3ヶ月、、、

澪葉

お医者さんも、よくここまで
もった、、って、褒めてた…。

澪葉

、、、最後はね、、何も苦しまずに、、
眠ったまま、、逝ったんだ、、って

場地 圭介

、、、、そう、、、、か、、、

澪葉

ヒュウッヒュウ、、、ハァッハァッ

話し終えた途端、 彼女がいきなり苦しそうに 呼吸をした。

過呼吸だった。

澪葉

ヒュウッ、、、ハァッハァッ

場地 圭介

おい?!澪葉、、?!
しっかりしろ、、どうした、、

澪葉

嘘、、だ、、ハァッ、、おかあ、、ヒュゥッ、、、さんは、、ハァッ

澪葉

死んで、、、ない、、、

澪葉

ハァッハァッ、、、寝て、、る、、ハァ、、だけ、、

場地 圭介

息、、吸え、、!

何度も、何度も 背中をさすった。

場地 圭介

大丈夫、、、か、、?

澪葉

はぁ、はぁ、、

澪葉

だいぶ、、落ち着いた、、。
ありがとう、、、、

ぎゅ、、

いてもたってもいられず、 思わず、抱き締めた。

澪葉

圭、、、介、、?

場地 圭介

この方が落ち着くだろ、、。

そっと、頭を撫でた。 泣いていいんだよ、、、と 言いたかった。

しかし、抱き寄せたその肩の 華奢さに驚いた。

こんなに小さくて、細い体で 肉親がいなくたった、という事実が 受け止められるとでも思っているのだろうか。

神はなんて冷たいんだ、と思った。 そして、今、彼女を護るべきは 自分ではないか、と思った。

場地 圭介

、、泣け、、よ、、、

澪葉

、、え、、?

場地 圭介

俺の胸、貸してやっから、
思いっきり泣けよ、、、。

そうでもしないと壊れちまうだろ、と 喉まで出てきた言葉を呑み込んだ。

場地 圭介

辛くても、、向き合わなきゃダメだ、、、。おかしくなる、、。次に進めなくなる、、。

澪葉

ぅぅ、、ぁぁあ、、、ぅぁあ

彼女は、苦しそうな嗚咽を漏らしながら、俺のシャツにしがみついて、 何時間も泣いた。

そして、泣き終え、落ち着いたとき、 彼女が言った。

澪葉

ねぇ、知ってる、、?

場地 圭介

なんだ、、?

澪葉

人ってさ、別れ際、
''またね'' って言うじゃん、

場地 圭介

あぁ、

澪葉

''またね'' ってね、
次、また会うための約束
なんだよ、、?

そんなこと、考えたこともなかった。

澪葉

お母さんが、珍しく苦しそうじゃないとき、教えてくれたの。

澪葉

だからさ、これから、

澪葉

別れ際は、絶対「またね」
って言お。

場地 圭介

またね、、、、か、、

場地 圭介

いいな、、^^

澪葉

うん、^^

赤く染めた目を細めて、 彼女は笑った。 それが、どうしようもなく愛おしくて 儚かった。

その日から、 澪葉のことは自分が護る、と決めた。 何よりも、大切にすることを誓った。

場地 圭介

(っ、何が ''護る'' だよ、、)

場地 圭介

守られてんのは俺じゃねぇか、、、

場地 圭介

なんであんな顔させちまったんだろ

場地 圭介

、、かっこ悪いなぁ、俺は。

仰向けでいたのに、 涙が溢れてくる。

場地 圭介

、、ぅぐ、、、

場地 圭介

澪葉、、、

場地 圭介

大、、好き、、だ、、、、

きっと、彼女は、 俺の守らなくちゃいけないものを 1つ、代わりに守ってくれたんだ。

 自分の身をを徹して。

自惚れているが、 きっとそうなのだろう。 そうじゃなかったら、 泣く理由など思いつかない。

場地 圭介

でもよ、、ごめんな澪葉。

場地 圭介

俺、決めたことは曲げねぇんだ。

明後日はハロウィン。 抗争の日だ。東卍は、、マイキーは、、俺目当てで来るのだろう。

でも、俺は稀咲を殺るために行く。 稀咲は、三番隊隊長。 無傷じゃ済まなそうだ。

長くなる前に、 もう一度、彼女に会いたい。 彼女を守りたい。

場地 圭介

、、、ぅし、会いに行くか、、。

夜空には、月が浮かんでいる。 もう少しで満月。

場地 圭介

澪葉ぁ、、月が、、綺麗だな、、。

月に照らされて、 海もきらきらと光っている。

場地 圭介

海、、も、、綺麗だな、、

想いは届いただろうか。 そんなことを考えながら、立ち上がり、崖をおりた。

今回は場地さん目線のお話でした!

切ない、、

場地さぁぁぁああん、、!

次回は最終話かもしれないです!

いいねが200超えると嬉しくて😭
ほんとにありがとうございます!
最近の励みです😭

次回もお楽しみに、、!

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