引っ越すことになった
まだ若干寒さが残る春、三学期の終わるぎりぎりだった
ほんとうに急な仕事で、私は関東に戻ることになった
前の時は、もう少し事前に準備できたけど、今回はほんとに突然
関東側から今の関西側に来て、毎日がぐっと楽しかったけれど
もう、終わるみたい
私は家でお留守番になった
学校には行ってはいけないって
何故かは分からないけど、ママの言うことは絶対だもん、
登下校の時間には、お外に出る
みんな事情を知っているらしく、優しく手を振ってくれる
私も笑顔で振り返す
うちは通学路が2パターンに別れているけど、毎回私が通っていた右側のコンビニ方面を歩いていた
ふと思いつき、反対側の通学路にある、ゲームセンターに行ってみた
うちの制服を着ている人が沢山いて、なんだか嬉しくなった
その中に、一際輝いて見える2人組の男子高校が居た
うちの制服だ
時が止まった
茶色いくせっ毛で、猫背の彼
私の後輩、可愛い後輩
凄く顔面偏差値高い、
私の、好きな人
胸の奥できゅん、となった
ああ、今日も変わらずかっこいい
私が居なくても、変わらず、かわいいけどかっこいい
ぶわっと、涙腺が緩んだ
やばい、こんな人混みで泣きだしたらおかしい
その時、彼に話しかけるかわいらしいポニーテールの女の子がいた
知り合いらしい
莉子
彼女がふんわり笑うと、彼..“ショッピ”に見とれていた女子がため息をついた
「あれには勝てない」と
カノジョ、いたのか
涙腺はもっと緩んだ
やばい、と思いそそくさとゲームセンターを出ようと歩く
syp
ふと、ショッピが私を呼んだ気がした
振り返ると、確実に私の方へ歩いていた
私は逃げた、沢山人のいるクレーンゲームコーナーへ。
こんな泣き顔、絶対に見られたくなかった
syp
外に出て一本道をダッシュした時、ついに捕まった
どうしよう、私の顔はぐしゃぐしゃ
やっぱり、コンビニの方面に行くんだったな、と後悔している
彼はやさしいから、私を慰めてくれた
「何があったんですか」って
「君のせいだよ」って
言えない、言えるはずがない
引っ越してしまうんだ、どうせなら、と
泣き止んだ後に「一緒に散歩しないか」と提案した
彼と手を繋いで歩いた
いいのかな、カノジョいるのに、大丈夫かな
不安ばかりがずっと募っていった
別に、恋人繋ぎはしていないけれど
...恋人繋ぎがよかったな
私は行動にうつした
右手の人差し指と中指を恐る恐る緩めると、彼は驚いて指全体の握る力を緩めた
私は彼の小指と薬指の間に手をいれた
恋人繋ぎのようで、違うつなぎ方
幸せな時間はあっという間に過ぎていった
「送ってくれてありがとう」
そう微笑んで、私は家に入ろうとした
syp
目が覚めた
白が基調のシンプルな部屋
私の、部屋
なんだ、夢か
私の頬には一筋の涙が伝っていた
あ、ちょっといじったわいの夢です
今日の夢っす
夢の中に戻りたい...!!
コメント
16件
サラさんって夢まで最高なんですか!?
夢に帰りたい()
夢最高すぎる