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ごめんなさい
めっっちゃ更新遅くなりました
ごめんなさい
……はい、どうぞ
_ザッザッ
どうしよう
穂波
怖い
元々お化けが苦手というのも あるけれど
…このセカイのお化けは、 本物だ
本物のお化け
そのお化けを倒さなきゃ いけないなんて……
ザッザッザッ
……そして
わたしの武器は、“救急箱”
もはやそれは武器じゃない
攻撃すら出来ないよ…
最初の方、わたしはそう思ってた
でも本当は………
穂波
わたしは唯一の所持品である 救急箱をぎゅっと抱く
それでも歩みはやめない
ザッザッ、ザッザッ
…いや、やめれない
……そういえば、 気づいたら スマホがなくなっていた
あの白い部屋にいた時、 なぜスマホの存在に 気づかなかったのだろう
…もしかしたら、あの時点で なくなっていたかもしれない けれど
でも、みんなもみんなで、 誰一人確認なんて していなかった
突然のことでパニックに なっていたのかな…
…でも、それでも何回かは スマホに繋がる話が 出ていたはず
一歌ちゃん達とここに来た 理由を話した時とか、
ミクちゃんからみんなが 集まった理由を聞いた時とか……
誰か1人くらい気づいても よかったはず
穂波
ぐるぐると廻る思考が 頭を支配している中、
わたしの足は変わらず地面を 踏みしめながら歩みを 続けていた
穂波
遠くに人影が見えた
その人は座り込んでいる
穂波
知らないうちに足を早く動かす
…物音を立てないように…
もしかしたら妖怪とか そういうのかもしれないし
?
その人は座ったまま何かを ぶつぶつと唱えている
穂波
近くまで来たわたしは、 ようやくその人に見覚えが あることに気づいた
木々の間から差す木漏れ日を受け、 さらさらとした白髪を地面に 垂らしたままの後ろ姿
__間違いない
宵崎さんだ
_カサッ
穂波
音を立てないように 慎重に歩いていたのに、
地面に落ちていた1枚の葉を 踏んでしまった
奏
奏
こちらに気づいた宵崎さんが 振り返った
左手には本を持っていた
宵崎さんは振り返りざまに 右腕をバッと大きく払う
と、宵崎さんの周りに 半透明の結界が現れた
穂波
攻撃は届かないだろう 距離だったが、
鋭い目と姿勢に思わず声を 漏らしてしまった
奏
奏
宵崎さんが右腕をおろすと、 結界も消えた
奏
穂波
穂波
わたしは両腕の中に救急箱を 抱えたまま頭を下げた
元はと言えば声をかけずに 黙って見ていたわたしが悪いのだ
奏
穂波
奏
穂波
奏
穂波
そうだ
色々なことで頭がいっぱいで 忘れてたけど、
あの部屋に集まった人はみんな… 例外もいるらしい けど(宵崎さんは確定)、 セカイを持っているんだっけか
穂波
その事実をすっかり忘れていた
穂波
奏
穂波
奏
奏
穂波
…質問してはいけないこと だっただろうか
長い沈黙のあとの 短い宵崎さんの答えに、
わたしは曖昧に相槌を打った
穂波
奏
穂波
穂波
奏
奏
穂波
穂波
穂波
?
ドスンッ
穂波·奏
上から怪物が降ってきた
わたし達は同時に悲鳴を上げる
と__
ガタガタッ
奏
穂波
わたしの腕の中の救急箱が 騒ぎ出した
穂波
本当はあまり やりたくなかったけど…
わたしは救急箱の鍵を外し、開いた
シュルシュルッ
中から大量の包帯が 躍り出てきて、 怪物に巻き付いていく
奏
宵崎さんは、目の前の光景を 座ったまま見ていた
そして__
ギュッ
穂波
ブチッ
奏
包帯が怪物の首を切り離した
あぁ、見たくなかったのに…
目をつむる間もなく広がる おぞましい光景
それも一瞬のことで、 怪物は灰と化して消えていった
奏
シュルシュルシュル
唖然と座っている宵崎さんの隣の わたしの元へ、
踊るように包帯が戻ってくる
わたしは救急箱から はさみを取り出し、
包帯の汚れた箇所を 切り取っていく
切られた包帯は、 怪物と同じように空へ消えていく
穂波
奏
わたしが黙々と 作業をしている間、
隣は物凄く静かだった
穂波
救急箱に全てしまい終え、 わたしは鍵をかけた
パチン
穂波
奏
そう言って、 やっと宵崎さんが立ち上が……
………ろうとした
グイッ
奏
穂波
宵崎さんは自分の髪を踏んで 後ろに引っ張られた
穂波
奏
今度こそ宵崎さんが立ち上がる
奏
奏
穂波
宵崎さんは 本の3分の1辺りを開いて、 目を閉じる
そして
奏
何かを唱えて目を開き、 ゆっくりと視線を本に移す
奏
宵崎さんは本を見たまま びくりと肩を震わせた
穂波
宵崎さんは深呼吸をして 視線を動かす
奏
奏
穂波
宵崎さんの視線の先は、 一本の木の上の葉っぱ部分
奏
そこを宵崎さんは静かに指さす
奏
奏
ピカッ、ズドーンッ!!!
穂波
宵崎さんが呟いた瞬間、 その木の上に雷が落ちた
わたしは思わず悲鳴をもらし、 例の仕草をしてしまった
穂波
目を開けたわたしは、
穂波
固まってしまった
だって目の前では__
雷の落ちた木が怪物と化して、 静かに消えているのだから
____
奏
穂波
穂波
奏
そんな会話をしながら、 わたし達は森の中を歩く
穂波
奏
__
宵崎さんはどういうきっかけで 朝比奈先輩のセカイに 行けるようになったんですか?
穂波
頭の中に、さっきまで 質問しようとしていた 疑問が浮かんだ
穂波
…………あれ?
奏
奏
奏
なんでわたし今……
奏
えぇっと、わたし…質問したいのは それじゃない……
奏
わたし…まぁ、いっか
奏
奏
穂波
宵崎さんが 指を置いているところは、空白
確かにその上にはよくわからない 単語が並んでいるけど……
穂波
穂波
奏
穂波
奏
穂波
奏
穂波
五線紙……?
ペンも何もないのに…五線紙?
奏
奏
穂波
……ミクちゃん
優しさがあるなら、 早く元の世界·セカイに 帰してほしいんだけど……